a を正の定数とし,f(x)=∣x2+2ax+a∣ とおく。以下の問に答えよ。
(1) y=f(x) のグラフの概形をかけ。
(2) y=f(x) のグラフが点 (−1,2) を通るときの a の値を求めよ。また,そのときの y=f(x) のグラフと x 軸で囲まれる図形の面積を求めよ。
(3) a=2 とする。すべての実数 x に対して f(x)≧2x+b が成り立つような実数 b の取りうる値の範囲を求めよ。
負の値をとるとき・とらないとき
(1)から始めます。
絶対値があるので,絶対値の中が正の数になるときと負の数になるときで,分けて考えなければなりません。とは言え,それは a の値によって変わります。
x2+2ax+a は下に凸のグラフなので,いったん平方完成して頂点が x 軸より上になるか下になるかを考えましょう。
y=x2+2ax+a として
=(x+a)2−a2+a
=(x+a)2+a−a2
頂点は (−a,a−a2) となるので,a−a2≦0 のとき,関数は負の値をとる部分ができ,a−a2>0 ならば 0 または正の値をとることになります。
a−a2≦0
a2≧ a
a は正の数だから両辺を a で割ることができます。
a>1
また
a−a2>0
a2<a
a<1
a は正の数だから,a≧1 のときと,0<a<1 のときでグラフの形が変わります。
グラフの概形を 2 つに分けて描きましょう。
a≧1 のとき
0<a<1 のとき
面積を求める
(2)に進みます。
y=∣x2+2ax+a∣ に (x,y)=(−1,2) を代入すると
2=∣(−1)2+2a(−1)+a∣
2=∣1−2a+a∣
2=∣1−a∣
絶対値の部分を考えると,a が 1 より小さければ 1−a は正の数で,1 より大きければ負の数になります。
0<a<1 のとき
2=1−a
a=−1 →a は正の数だから,不適
a≧1 のとき
2=−1+a
a=3
よって,a=3 (答え)
次に,面積を求めます。
f(x) に a=3 を代入すると
f(x)=∣x2+6x+3∣
=∣(x+3)2−9+3∣
=∣(x+3)2−6∣
(x+3)2−6=0 とすると
(x+3)2=6
x+3=±6
=−3±6
面積を求めます。ここは,2 次関数と直線で囲まれた領域になるので,6 分の 1 公式を利用しましょう。
S=6(β−α)3
=6(−3+6+3+6)3
=6(26)3
=6486
=86 (答え)
直線との関係
(3)に進みます。
a=2 とすると
f(x)=∣x2+4x+2∣
f(x)≧2x+b ということは,曲線と直線をタテ方向で比べたとき,曲線が直線よりも上にあるということです。
y=2x+b は b の値によってタテ方向に平行移動するので,いろいろパターンを考えてみると,①と②の場合が考えられます。グラフはあくまで概形なので,この段階ではどちらになるかは分かりません。
②の場合について考えてみましょう。このとき,直線は曲線の接線になるので,傾きは 2 です。
y=x2+4x+2 として
y’=2x+4
2x+4=2 とすると
2x=−2
x=−1
曲線と x 軸の交点は
x=−2±22−2=−2±2
だから
−1<−2+2
より,②の形にはなりません。
したがって,①の形で考えると,直線は (−2+2,0) を通るので
y≧ ax+b
0≧2(−2+2)+b
b≦4−22 (答え)
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