横浜国立大高校数学の解法

x 軸に平行なベクトルを方向ベクトルで表す/回転体の体積(横浜国立大2020理系第4問)

$xyz$ 空間に,2 点 A$(1,2,9)$,B$(-3,6,7)$ を通る直線 $\ell$ がある。また,$\ell$ 上の点 P,Q と,$x$ 軸上の点 R,S は

直線 PR $\perp$ $xy$ 平面,直線 QS $\perp$ $x$ 軸,直線 QS $\perp$ $\ell$ 

をみたす。次の問いに答えよ。

(1) P,R の座標を求めよ。

(2) Q,S の座標を求めよ。

(3) 線分 PQ を $x$ 軸のまわりに 1 回転してできる曲面と,P を含み $x$ 軸に垂直な平面と,Q を含み $x$ 軸に垂直な平面で囲まれた立体の体積を求めよ。

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ベクトル方程式

(1)から始めます。

点 P は直線 $\ell$ 上にあるので,これをベクトル方程式として表してみます。

$\overrightarrow{\text{OP}}=\overrightarrow{\text{OA}}+k\overrightarrow{\text{AB}}$ として

$\overrightarrow{\text{AB}}=\overrightarrow{\text{OB}}-\overrightarrow{\text{OA}}$
$=(-3,6,7)-(1,2,9)$
$=(-4,4,-2)$

$\overrightarrow{\text{OP}}=(1,2,9)+k(-4,4,-2)$
$=(-4k+1,4k+2,-2k+9)$

点 P は $y$ 座標が 0 だから

$4k+2=0$
$k=-\cfrac{1}{2}$

したがって

$\text{P}(3,0,10)$

さらに,点 R は $x$ 軸上にあるので,$y$ 座標と $z$ 座標が 0 の点です。

したがって

$\text{R}(3,0,0)$ (答え)

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x 軸をベクトルで表す

(2)に進みます。

まず,直線 QS $\perp$ $\ell$ から

$\overrightarrow{\text{AB}}\cdot\overrightarrow{\text{QS}}=0$

という式を作ることができます。

あともう一つ

直線 QS $\perp$ $x$ 軸

という条件から,式を作ります。

んー,$\overrightarrow{\text{QS}}\cdot\overrightarrow{\text{OS}}=0$ とかしたらいいですか?

なるほど。それでやってみようか。

点 Q もまた,$\ell$ 上の点なので,(1)と同様にベクトル方程式を作ってみます。

$\overrightarrow{\text{OQ}}=\overrightarrow{\text{OA}}+k\overrightarrow{\text{AB}}$ として

$=(-4k+1,4k+2,-2k+9)$

S の座標が分からないので $t$ としてみます。

$\overrightarrow{\text{OS}}=(t,0,0)$ として

$\overrightarrow{\text{QS}}=\overrightarrow{\text{OS}}-\overrightarrow{\text{OQ}}$
$=(t+4k-1,-4k-2,2k-9)$

これを用いて

$\overrightarrow{\text{AB}}\cdot\overrightarrow{\text{QS}}=-4(t+4k-1)+4(-4k-2)-2(2k-9)=0$
$-4t-16k+4-16k-8-4k+18=0$
$18k+2t=7$ ・・・①

また

$\overrightarrow{\text{QS}}\cdot\overrightarrow{\text{OS}}=t(t+4k-1)=0$

$t=0$ または

$t+4k-1=0$ より

$t=-4k+1$

解が 2 個ってことは,点 S って 2 か所あるってこと?

そうではない。実は,最初の仮定に問題がある。

ここで,解が 2 個になったのは $\overrightarrow{\text{OS}}=(t,0,0)$ としたことが原因です。

解の一つは $t=0$ ですが,これはいわゆる零ベクトルです。零ベクトルは何をかけても 0 になるのだから,内積が 0 になるのは当たり前のことです。しかし,それによって,垂直であることを示すことはできません。

つまり,内積ゼロ=垂直はつねに成り立つわけじゃない。片方がゼロだと成り立たないの。

じゃあ,どうしたらいいんですか?

方向ベクトル使うといい。

たとえば,上で作った $\overrightarrow{\text{OQ}}=\overrightarrow{\text{OA}}+k\overrightarrow{\text{AB}}$ の $\overrightarrow{\text{AB}}$ の部分が方向ベクトルです。このベクトルはベクトルの向きを表していて,それを $k$ 倍することで $\overrightarrow{\text{AB}}$ に平行なさまざまなベクトルを表すことができます。

同じように,$x$ 軸に平行なベクトルを,たとえば $(1,0,0)$ として表すことで $x$ 軸の代わりに用いることができます。

$x$ 軸に平行なベクトルを $(1,0,0)$ として,$\overrightarrow{\text{QS}}$ との内積を求めると

$1\cdot(t+4k-1)+0\cdot(-4k-2)+0\cdot(2k-4)$
$=t+4k-1=0$

よって

$4k+t=1$ ・・・②

こうやって,$x$ 軸に平行で,かつ零ベクトルでないものを用意することで,正しく解を導ける。

①,②を連立すると

$\begin{aligned}18k+2t=7\\-)8k+2t=2\\\hline10k=5\\k=\cfrac{1}{2}\end{aligned}$

②に代入して

$4\cdot\cfrac{1}{2}+t=1$
$t=-1$

したがって

Q$(-1,4,8)$
S$(-1,0,0)$

(答え)

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回転体の体積

(3)に進みます。

2 つの平面は $x$ 軸に垂直だから,図はざっくり上のようなカンジ。

直線 QP のあいだに点 T を作って,これが Q から P まで移動しながら,円の面積を積分で積み上げていくイメージです。

(1)と(2)で求めた Q,P の座標から積分区間は $[-1,3]$ です。したがって,体積は

$\displaystyle\int_{-1}^3\pi r^2\space dx$

と表されます。次に,$r^2$ の式を作ってみます。

点 T は QP 上の点だから,同様にベクトル方程式で表してみましょう。

直線 QP 上の点を T とすると

$\overrightarrow{\text{OT}}=\overrightarrow{\text{OQ}}+k\overrightarrow{\text{QP}}$

ここで $\overrightarrow{\text{QP}}$ は

$\overrightarrow{\text{QP}}=\overrightarrow{\text{OP}}-\overrightarrow{\text{OQ}}$
$=(3+1,0-4,10-8)$
$=(4,-4,2)$

となるので

$\overrightarrow{\text{OT}}=(-1,4,8)+k(4,-4,2)$
$=(4k-1,-4k+4,2k+8)$

よって,三平方の定理より

$r^2=(-4k+4)^2+(2k+8)^2$

これ,$r^2=(4k-1)^2+(-4k+4)^2+(2k+8)^2$ じゃないんですか?

それ,原点からの距離ってことになってしまう。T から $x$ 軸に垂線下ろしたとき,T の $x$ 座標と垂線の足の $x$ 座標は同じだから,$x$ 軸方向は 0 って考えないといけない。結構,想像力必要かもね。

$=16k^2-32k+16+4k^2+32k+64$
$=20(k^2+4)$

体積は

$\displaystyle V=20\pi\int_{-1}^3k^2+4\space dx$

ここ,$dx$ じゃなくて $dk$ では?

空間図形のときは注意しないといけないけど,この回転体はあくまで $xyz$ 空間に存在しているのだから,軸を勝手に変えたらダメ。$x$ という軸と $k$ という軸ではモノサシの尺度が違うって思うと良い。ただし,置換積分で尺度の変換をちゃんとしてやればオッケー。

$x=4k-1$ とすると

$dx=4\space dk$

$\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{|c|c|}\hline x&-1\rightarrow3\\\hline k&0\rightarrow1\\\hline\end{array}$

$V=\displaystyle20\pi\int_0^1(k^2+4)\cdot4\space dk$
$=\displaystyle80\pi\int_0^1k^2+4\space dk$
$=80\pi\Big[\cfrac{k^3}{3}+4k\Big]_0^1$
$=80\pi\cdot\cfrac{13}{3}$
$=\cfrac{1040}{3}\pi$ (答え)

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