ワセリンは油田から発見された スキンケア商品の生みの親チェスボロー

今日、ワセリンと言えばどんな家庭にでもある薬や化粧品に含まれています。保湿作用があり、軟膏と呼ばれることもあります。身近なワセリンですが、実は石油から精製されています。そして、その発見劇はまさに石油が掘り出される油田で起こったのです。

”ポンプは時折止まり、ポンプの内側にある黒いろう状の物質を取り除かなければならないことが分かった。それは「ロッドワックス」と呼ばれ石油に伴って地下から浮かび上がったものだった。彼は油田の労働者がやけどや切り傷を負ったときに、このワックスを傷口につけると傷が良くなると聞かされた。必要な量のオイルを購入したあと、チェスボローはロッドワックスのビジネスとしての可能性に興味を持つようになり、この黒いワックスを精製、試験し、市販する決意を固めた。(南山大)”

ワセリンの発明者、ロバート・チェスボロー

1859 年の夏、22 歳の化学者だったロバート・チェスボローはランプに使う油の販売に苦労していました。その油はクジラの脂肪を使ったものであり、その当時クジラは手に入れるのが徐々に難しくなっていました。

チェスボローはクジラに代わる新しい油を求めてペンシルバニアの油田を訪れます。そのとき彼は、油田から湧き出る油の中から傷を治すのに役立つ成分を偶然発見するのです。

チェスボローは油田で手に入れた真っ黒で匂いのするワックスを自分の研究室に持ち帰り、10 年間に渡って研究を続けます。やがて、その中から白に近く純度の高い成分を精製することができるようになりました。また、その成分は動植物由来の油と違いすぐに腐ることもありませんでした。彼は自ら実験台となり腕にやけどや切り傷を作ってその成分を塗ります。その結果、この成分はこれまでの医薬品よりもはるかに傷の治りが良いことが分かりました。

実験イタすぎて想像したくない!

カラダ張ってるよね!

ワセリンの発売

当時の広告。

こうして、その成分はワセリンと名付けられ 1874 年に商品化します。チェスボローは手始めにニューヨークで商品のサンプルを無料で配り始めます。世間から好意的な評価を受けると商品の注文は飛躍的に増え、それを足がかりにアメリカ全土に販路を広げていきます。やがてワセリンが他の医薬成分と混ぜ合わせて使われるようになると、アメリカ中の家庭の常備薬にワセリンが置かれるようになったのです。

チェスボローは毎日ワセリンを食べていた

こうして億万長者となったチェスボローは 96 歳まで長生きしました。生前のチェスボローは、自分の長寿の秘訣は毎日スプーン一杯のワセリンを食べることだと述べていました。ワセリンが本当に長寿に役立ったかどうかはともかく、現代の私たちが医薬品やスキンケア商品として毎日のようにワセリンを使うようになったのも、彼の発見のおかげなのです。

えーと、ワセリンって原料は石油でしたよね?

ですよ。最後までカラダ張ってるよね!