専門知識をマスターするのに必要な時間は? 10,000時間ルールの考え

何か一つのことに熟達した専門家になることは、大変な苦労を伴うものです。

作家のマルコム・グラッドウェルは、何かの専門家になるためには一つのことに10,000時間を費やす必要があるという考えを提唱しています。

”1990年代に、作家のマルコム・グラッドウェルは「10,000時間ルール」と呼ばれる理論を紹介した。その考えは、もし誰かが何かを10,000時間練習したら、その人たちは「才能がある」と言われるのに十分なほど上達するだろうということだった。彼はマイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツのような人々を調べた。ビル・ゲイツは十代のとき自分のすべての時間をコンピューターをプログラムするのに費やした。彼はゲイツのような人が費やした時間を合計し、「10,000時間ルール」を思いついた。(弘前大)”

高校生が英語をマスターするのに必要なのは1000時間

上で述べたプログラミングのように、何らかの専門的な技能を身につけるのに必要な時間は10,000時間と言われています。しかしこの数字を達成するのは容易ではないでしょう。例えば1日3時間勉強したとして、365日休みなく続けても達成するまでに10年かかる計算です。ビル・ゲイツになるためには超人的な努力が必要だということなのでしょう。
ちなみに高校生の場合は 1,000時間ルールの方が現実的です。例えば、英語をまったくやったことがない状態から英検2級レベルの英語力を身につけるのに必要な時間が概ね1,000時間と言われています。これには学校の授業時間も含まれ、またどんな形でもいいので英語に触れた時間の合計として考えて構いません。
そうは言っても、中学・高校で普通に英語の授業を受けていればとっくに1000時間を超えているはずなのですが、「それでも英語ができない」と嘆いている人も多いでしょう。
その問題点は、やはり授業の受け方や時間の使い方の問題です。英語が聞こえてきてもまるでBGMでも聞いているかのように聞き流すだけ、先生を眺めているだけでは、その1時間は意味のない1時間だったということです。「絶対覚えてやるぞ!」とか「どうしてそうなるの?」とか、自ら積極的に授業に参加する姿勢を身につけると自然と英語の力も向上していくはずです。

1日3時間ずつ頑張れば1年で達成できる計算か。

浪人生とかでもドン底の英語力を1年で大逆転する人も多いし、ちゃんと取り組めばチャンスはいくらでもあるよ。

でも、やっぱそれだけ頑張るのなかなかできないですよね。

好奇心と情熱が結果を生む

マルコム・グラッドウェルは10,000時間も何かに取り組むことを可能にするものは、何よりもpassion「情熱」であると言っています。その情熱はその人に本来備わった好奇心に突き動かされたものなのです。たとえば、ノーベル賞受賞者は他の科学者より22倍も多くの確率で役者やダンサー、マジシャンを演じた経験があり、12倍も多く詩・演劇・小説を書き、2倍の確率で音楽を演奏したり作曲したりしているのです。
役者を演じたり、詩を書いたりすることが直接にノーベル賞につながっているわけではありません。しかし、その人が好奇心に突き動かされて行動しているということが結果的にノーベル賞の受賞につながった、ということなのです。