テクノロジーは教育を改善しない スティーブ・ジョブズの言葉

iPhoneなどで知られるアップル社の創業者スティーブ・ジョブスは、コンピューターテクノロジーの世界で大きな影響力を持つ人物でした。彼は1996年のインタビューで、コンピューターが教育に役に立つという考えに否定的な見解を述べています。

”私は以前はテクノロジーは教育に役立つと思っていまた。私はおそらく、地球上で他の誰よりも多くコンピューター機器を学校に与えることを先導してきました。しかし、私はこの問題は技術が解決することを期待できるものではないという避けられない結論に到達せざるを得ませでした。教育の問題点はテクノロジーで修正することはできません。技術の量によって突破口が開かれることはありません。それは政治的な問題です。その問題は社会政治的です。”

コンピューターはあくまで補助的なもの

スティーブ・ジョブスは、教育に必要なのは知的好奇心を与える人間の存在であり、コンピューターがそれに取って代わることはできないと考えていました。1995年のインタビューでは以下のように述べています。

”コンピューターは非常に反応的ですが、積極的ではありません。あなたが主体的であろうとそれらは主体的ではありません。それらは非常に反応的です。子どもたちが必要とするのは、より積極的なものです。彼らにはガイドが必要です。彼らはアシスタントを必要としません。私たちがこの問題を解決するための材料は世界中にあると思います。それは他の場所に分散しているだけです。”

ジョブスはコンピューターはあくまで学習効率を上げるためのツールとして用いることはできても、子供の知的好奇心を引き出す役割は担えないと感じていたようです。その意味では、コンピューターはあくまで補助的なものに過ぎません。

スティーブ・ジョブズは教育についても多くの言葉を残している。

教育には人間の手が必要

とは言え、このインタビューが行われたころはまだコンピューターの性能は低く、インターネットも普及し始めたばかりでした。それから20年以上が経過した現在、AIを導入した学習ツールが開発され、Youtubeを開けば映像による講義を数多く見ることもできます。教師はAIによって仕事が奪われる職業の一つとして数えられるようになっています。

その一方で教師には別の役割も期待されています。それは学習計画や将来の進路設計など、ガイド役して生徒を導くことです。この仕事はやはり人間でなければできないと言われています。スティーブ・ジョブズが指摘した教育とテクノロジーの問題点は、時代とともに状況が大きく変化しながらもなお本質的には変わっていないのかもしれません。