【数III微積】1/(3+x^3) の積分は tan で置換する(国公立レベル)(東京都立大2015理系第3問)

2 つの曲線で囲まれた図形の面積求めるけど,今回は積分で tan に置換するパターンやるよ。あと,共有点の見つけ方も定石と少し違うヤツをやる。

座標平面において曲線 y=3x2+3y=\cfrac{3}{x^2+3} を C1C_1,曲線 y=x2+ky=x^2+k (kk は定数)を C2C_2 とする。C1C_1 と C2C_2 のすべての共有点において互いの接線が直交しているとき,以下の問いに答えなさい。(東京都立大2015)

(1) 定数 kk の値を求めなさい。また,C1C_1 と C2C_2 のすべての共有点の座標を求めなさい。

(2) C1C_1 と C2C_2 で囲まれる部分の面積 SS を求めなさい。

直線どうしが直交するとき

連立して共有点見つけたらいいですか?
普通はその手順だけど,計算手詰まりになると思うよ。

共有点を見つけようとすると

3x2+3=x2+k\cfrac{3}{x^2+3}=x^2+k
(x2+3)(x2+k)=3(x^2+3)(x^2+k)=3
x4+(3+k)x2+3k=3x^4+(3+k)x^2+3k=3
x4+(3+k)x2+3k3=0x^4+(3+k)x^2+3k-3=0
x2=3k±9+6k+k212k+122x^2=\cfrac{-3-k\pm\sqrt{9+6k+k^2-12k+12}}{2}
=3k±k26k+212=\cfrac{-3-k\pm\sqrt{k^2-6k+21}}{2}

無事,死亡しました。
だから,止めておけと。


共有点から見つけるのはどうも難しいようです。そこで,もう一つの条件,接線が直交するところから攻めてみましょう。

式を微分して接線の傾きを求めます。

C1:y=3x2+3C_1:y=\cfrac{3}{x^2+3}

商の導関数
{f(x)g(x)}=f(x)g(x)f(x)g(x){g(x)}2\Big\{\cfrac{f(x)}{g(x)}\Big\}’=\cfrac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}

ここ,分子が引き算になるところに注意してね。間違えて足し算する人多いから。

y=(3)(x2+3)3(x2+3)(x2+3)2y’=\cfrac{(3)'(x^2+3)-3(x^2+3)’}{(x^2+3)^2}
=6x(x2+3)2=-\cfrac{6x}{(x^2+3)^2} ・・・①

C2:y=x2+kC_2:y=x^2+k
y=2xy’=2x ・・・②

①,②より

6x(x2+3)22x=1-\cfrac{6x}{(x^2+3)^2}\cdot2x=-1

直交する直線の傾きどうしをかけると 1-1 になるんだった。

12x2=(x2+3)212x^2=(x^2+3)^2
12x2=x4+6x2912x^2=x^4+6x^2-9
x46x2+9=0x^4-6x^2+9=0
(x23)2=0(x^2-3)^2=0
x2=3x^2=3
x=±3x=\pm\sqrt{3}

3\sqrt{3}3-\sqrt{3} のどちらでも良いのですが,共有点の式に代入しましょう。

3(3)2+3=(3)2+k\cfrac{3}{(\sqrt{3})^2+3}=(\sqrt{3})^2+k
12=3+k\cfrac{1}{2}=3+k
k=52k=-\cfrac{5}{2} (答え)

つまり,k=52k=-\cfrac{5}{2} の条件において,すべての共有点で互いの接線が直交していることになります。このとき x=±3x=\pm\sqrt{3} だから,C2C_2 に代入して

(3)252=352(\sqrt{3})^2-\cfrac{5}{2}=3-\cfrac{5}{2}
=12=\cfrac{1}{2}

同様に

(3)252=12(-\sqrt{3})^2-\cfrac{5}{2}=\cfrac{1}{2}

したがって,共有点は

(3, 12), (3, 12)\Big(\sqrt{3},\space\cfrac{1}{2}\Big),\space\Big(-\sqrt{3},\space\cfrac{1}{2}\Big) (答え)

tan の置換積分

(2)に進みます。

グラフを自分で描くときは,ざっくりしたもので良い。C1C_1 が C2C_2 の上にくることだけ分かっていれば大丈夫。

 S=333x2+3x2+52  dx\displaystyle S=\int_{-\sqrt{3}}^{\sqrt{3}}\cfrac{3}{x^2+3}-x^2+\cfrac{5}{2}\space dx

これ,左右対称の遇関数であることが分かると計算楽になる。
遇関数なんですか。
y=x252y=x^2-\cfrac{5}{2} は y=x2y=x^2 を縦方向に平行移動したヤツだから,遇関数であることはすぐに分かるよね。

さらに,y=3x2+3y=\cfrac{3}{x^2+3} は,例えば  xx に 11 を代入したときと 1-1 を代入したときでどちらも 34\cfrac{3}{4} になるので,それをもとに遇関数であることに気づくと良いでしょう。

言われてみると気づく。

よって

 S=2033x2+3x2+52  dx\displaystyle S=2\int_0^{\sqrt{3}}\cfrac{3}{x^2+3}-x^2+\cfrac{5}{2}\space dx

ここで

033x2+3  dx\displaystyle\int_0^{\sqrt{3}}\cfrac{3}{x^2+3}\space dx

分母に数字+x2x^2 の形がきたら,tan\tan に置換するとうまくいきます。

x=3tanθx=\sqrt{3}\tan\theta とおくと

3\sqrt{3} はどういうこと?
2 乗したら 3 になる数。計算進めたら意味分かる。

dx=3cos2θ  dθdx=\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta

 x03θ0π4\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{|c|c|c|}\hline x&0&\sqrt{3}\\\hline\theta&0&\frac{\pi}{4}\\\hline\end{array}

式を θ\theta に置き変えていきましょう。

0π43(3tanθ)2+33cos2θ  dθ\displaystyle\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\cfrac{3}{(\sqrt{3}\tan\theta)^2+3}\cdot\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta
=0π433tan2θ+33cos2θ  dθ\displaystyle=\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\cfrac{3}{3\tan^2\theta+3}\cdot\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta
=0π433(1+tan2θ)3cos2θ  dθ\displaystyle=\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\cfrac{3}{3(1+\tan^2\theta)}\cdot\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta
=0π411+tan2θ3cos2θ  dθ\displaystyle=\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\cfrac{1}{1+\tan^2\theta}\cdot\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta

最初に 3tanθ\sqrt{3}\tan\theta ってしておくと,こうやって 3 をカッコの外に出すことができる。結局,1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\cfrac{1}{\cos^2\theta} の公式を使いたいの。
何でその公式使うんですか?
x2+3x^2+3 だと多項式で約分できないけど,1cos2θ\cfrac{1}{\cos^2\theta} だと単項式になる。同時に,置換すると cos2θ\cos^2\theta ができるから約分して消すことができるの。この辺はテクニック。

=0π411cos2θ3cos2θ  dθ\displaystyle=\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\cfrac{1}{\cfrac{1}{\cos^2\theta}}\cdot\cfrac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta}\space d\theta
=0π43  dθ\displaystyle=\int_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}\sqrt{3}\space d\theta
=[3θ]0π4=\Big[\sqrt{3}\theta\Big]_0^{\small{\frac{\pi}{4}}}
=3π4=\cfrac{\sqrt{3}\pi}{4}

また

03x2+52  dx\displaystyle\int_0^{\sqrt{3}}-x^2+\cfrac{5}{2}\space dx
=[x33+52x]03=\Big[-\cfrac{x^3}{3}+\cfrac{5}{2}x\Big]_0^{\sqrt{3}}
=3+532=-\sqrt{3}+\cfrac{5\sqrt{3}}{2}
=332=\cfrac{3\sqrt{3}}{2}

最後に,2 つの式をくっつけるけど 2 をかけるの忘れずに。

したがって

S=2(3π4+332)S=2\Big(\cfrac{\sqrt{3}\pi}{4}+\cfrac{3\sqrt{3}}{2}\Big)
=3π2+33=\cfrac{\sqrt{3}\pi}{2}+3\sqrt{3} (答え)