【数Ⅲ積分】対数log を積分する(1)

log の積分って公式無いですよね。
無いよ。基本は部分積分。あと置換積分とかいろいろ絡むヤツあるけど、まとめてやっとくと扱い方が分かってくると思うよ。

部分積分を使う~その1

まずは部分積分の公式のおさらいをしましょう。式がかけ算になっているときに使うのが部分積分です。

部分積分の公式
$\displaystyle\int f(x)g'(x)\enspace dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)\enspace dx$

$g'(x)$ の部分がポイント。

では、問題を解いてみましょう。

$\displaystyle\int\log x\enspace dx$

かけ算じゃないですよ。

ムリヤリかけ算にするのよ。

ここで与式を $\displaystyle\int 1\cdot\log x\enspace dx$ と考えます。こうすることで、かけ算に持ち込むのです。
そして、$(x)’=1$ より、式を書きかえます。
$\displaystyle\int (x)’\cdot\log x\enspace dx$

$x$ を微分したら $1$ になるから、元の式と同じになることを確認してね。

あとは、部分積分の公式に従って解いていきましょう。
$\displaystyle\int (x)’\cdot\log x\enspace dx\\=\displaystyle x\log x-\int x\cdot\frac{1}{x}\enspace dx\\\displaystyle=x\log x-\int dx\\\displaystyle=x\log x-x+C$
(答え)($C$ は積分定数)

$\log x$ を微分すると $\displaystyle\frac{1}{x}$ になる。公式思い出してね。
はいはい質問。$\displaystyle\int dx$ ってどういうこと?
ああ、それは $\displaystyle\int 1\enspace dx$ を省略してるの。一般的には $1$ だけなら省略するよ。

部分積分を使う~その2

$\displaystyle\int \log(x+1)\enspace dx$

$\displaystyle\int (x)’\cdot\log(x+1)\enspace dx$でオッケーですか?

それやると解けないよ。

$\displaystyle\int (x)’\cdot\log(x+1)\enspace dx\\\displaystyle=x\log(x+1)-\int \frac{x}{x+1}\enspace dx$

積分のところが計算できない。

これだと解けないよね。だから、やり方変えるよ。

前の問題では $(x)’=1$ としましたが、微分して $1$ になる式は $x$ だけではありません。$(x+1)’=1$ や $(x+2)’=1$ のように、$x+C$ ($C$ は定数)の式なら、何でもオッケーなのです。

それ、気づかないですよ。

そうね。だから知識としてあらかじめ知っておくべきだね。

そこで、今回は $x$ ではなく、式の中にある $x+1$ で考えてみましょう。
$(x+1)’=1$ より
$\displaystyle\int \log(x+1)\enspace dx$
$\displaystyle=\int 1\cdot\log(x+1)\enspace dx$
$=\displaystyle\int (x+1)’\cdot\log(x+1)\enspace dx$
ここから部分積分を使います。
$\displaystyle=(x+1)\log(x+1)-\int (x+1)\cdot\frac{1}{x+1}\enspace dx\\\displaystyle=(x+1)\log(x+1)-\int dx\\\displaystyle=(x+1)\log(x+1)-x+C$
(答え)

部分積分を使う~その3

次いくよ。

$\displaystyle\int x^2\log x\enspace dx$

どうしたらいいんですか?
微分したら $x^2$ になるヤツを考えて。
んー、$\displaystyle\frac{x^3}{3}$ ですか?

オッケー。それで解けたも同然。

$\displaystyle\left(\frac{x^3}{3}\right)’=x^2$ より
$\displaystyle\int x^2\log x\enspace dx\\\displaystyle=\int\left(\frac{x^3}{3}\right)’\cdot\log x\enspace dx\\\displaystyle=\frac{x^3}{3}\log x-\int \frac{x^3}{3}\cdot\frac{1}{x}\enspace dx\\\displaystyle=\frac{x^3}{3}\log x-\frac{1}{3}\int x^2\enspace dx\\\displaystyle=\frac{x^3}{3}\log x-\frac{1}{3}\cdot\frac{x^3}{3}+C\\\displaystyle=\frac{x^3}{3}\log x-\frac{x^3}{9}+C$
(答え)

部分積分を使う~その4

$\displaystyle \int \frac{1}{x\log x}\enspace dx$

全然分からないです。

式を分解して、$\displaystyle \int \frac{1}{x}\cdot\frac{1}{\log x}\enspace dx$ とします。ここで、微分して $\displaystyle\frac{1}{x}$ になる式を考えましょう。

$\displaystyle(\log x)’=\frac{1}{x}$ より
$\displaystyle \int \frac{1}{x\log x}\enspace dx\\\displaystyle=\int\frac{(\log x)’}{\log x}\enspace dx\\\displaystyle=\log |\log x|+C$
(答え)

ここは公式 $\displaystyle \int\frac{g'(x)}{g(x)}\enspace dx=\log|g(x)|+C$ を思い出してね。

部分積分を使う~その4

$\displaystyle \int(\log x)^2\enspace dx$

ここも、部分積分に持ち込むために1をかけるよ。

$\displaystyle=\int 1\cdot(\log x)^2\enspace dx\\\displaystyle=\int x'(\log x)^2\enspace dx\\\displaystyle=x(\log x)^2-\int x\cdot2(\log x)\cdot\frac{1}{x}\enspace dx\\\displaystyle=x(\log x)^2-2\int \log x\enspace dx\\\displaystyle=x(\log x)^2-2(x\log x-x)+C$

1個目でやった $\int \log x\enspace dx=x\log x-x$ を思い出してね。

$x(\log x)^2-2x\log x+2x+C$  (答え)

大事なのは部分積分に持ち込むための微分の部分の作り方です。部分積分の仕組みを十分理解して応用していきましょう。