数列と合成関数の融合問題(東京都立大2017理学部第3問)

各項が実数である無限数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$ に対し,関数
$f_n(x)=\cfrac{a_nx-b_n}{(2^{n+1}-2)x-(2^{n+1}-1)}$ $(n=1,2,3,\cdots)$
を考える。ただし,$a_1=0$,$b_1=1$ とする。$n=1,2,3,\cdots$ に対し,
$f_{n+1}(x)=f_n(f_1(x))$ $\Big(x\not=\cfrac{3}{2},\space x\not=\cfrac{2^{n+2}-1}{2^{n+2}-2}\Big)$
が成り立つとき,以下の問いに答えなさい。
(1) $f_2(x)$ と $a_2$,$b_2$ を求めなさい。
(2) $t=f_1(t)=f_2(t)=f_3(t)=\cdots$ をみたす実数 $t$ をすべて求めなさい。
(3) 数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$ の一般項をそれぞれ求めなさい。

合成関数に代入する

(1)から始めます。
$f_2(x)=f_1(f_1(x))$ ・・・①
また
$f_1(x)=\cfrac{a_1x-b_1}{(2^2-2)x-(2^2-1)}$
$=\cfrac{-1}{2x-3}=\cfrac{1}{3-2x}$
①に代入して
$f_2=f_1\Big(\cfrac{1}{3-2x}\Big)$
$=\cfrac{1}{3-2\Big(\cfrac{1}{3-2x}\Big)}$
ここは,$f_1(x)=\cfrac{1}{3-2x}$ だから,$f_1(f_1(x))$ は $f_1(x)$ の $x$ の部分をさらに $f_1(x)$ に置きかえるということです。つまり
$f_1(x)=\cfrac{1}{3-2x}$ より
$f_1(f_1(x))=\cfrac{1}{3-2f_1(x)}$
$=\cfrac{1}{3-2\Big(\cfrac{1}{3-2x}\Big)}$
となります。
$=\cfrac{1}{\cfrac{9-6x-2}{3-2x}}$
$=\cfrac{3-2x}{7-6x}$
$=\cfrac{2x-3}{6x-7}$ ・・・②
また
$f_2(x)=\cfrac{a_2x-b_2}{(2^3-2)x-(2^3-1)}$
$=\cfrac{a_2x-b_2}{6x-7}$ ・・・③
②と③を比べると
$a_2=2$,$b_2=3$ (答え)

数学的帰納法で考える

(2)に進みます。
$t=f_1(t)$ の関係から $t$ の値を考えてみましょう。
$f_1(t)=t$ とすると
(1)より
$f_1(t)=\cfrac{1}{3-2t}=t$
$t(3-2t)=1$
$-2t^2+3t-1=0$
$2t^2-3t+1=0$
$(2t-1)(t-1)=0$
$t=\cfrac{1}{2},\space1$
また
$f_1(t)=t$ のとき
問題文より $f_{n+1}(x)=f_n(f_1(x))$ だから
$f_{n+1}(t)=f_n(f_1(t))=f_n(t)$
となります。つまり,$f_2(t)=f_1(t)$,$f_3(t)=f_2(t)$,・・・が成り立つので,数学的帰納法の考え方からすべての自然数 $n$ について $f_n(t)=t$ が成り立つと言えます。
$t=f_1(t)=f_2(t)=f_3(t)=\cdots$
が成り立つ。
したがって
$t=\cfrac{1}{2},\space 1$ (答え)

式を連立する

(3)に進みます。
$t=\cfrac{1}{2},\space1$ のとき,$f_n(t)=t$ が成り立つことを利用します。
$f_n\Big(\cfrac{1}{2}\Big)=\cfrac{1}{2}$ より
$f_n\Big(\cfrac{1}{2}\Big)=\cfrac{\cfrac{1}{2}a_n-b_n}{\cfrac{1}{2}(2^{n+1}-2)-2^{n+1}+1}$
$=\cfrac{a_n-2b_n}{2^{n+1}-2-2\cdot2^{n+1}+2}$
$=\cfrac{a_n-2b_n}{-2^{n+1}}=\cfrac{1}{2}$
$2b_n-a_n=2^n$ ・・・①
また
$f_n(1)=1$ より
$f_n(1)=\cfrac{a_n-b_n}{2^{n+1}-2-2^{n+1}+1}$
$=\cfrac{a_n-b_n}{-1}=1$
$b_n-a_n=1$ ・・・②
①-②
$b_n=2^n-1$
②に代入して
$2^n-1-a_n=1$
$a_n=2^n-2$
したがって
$a_n=2^n-2$,$b_n=2^n-1$ (答え)