【数A整数、数B数列:合同式使いたくない人向け】整数解を求める方法を使い倒して倍数を求めてみる(九州大)
初項 $a_1=1$、公差 $4$ の等差数列 $\{a_n\}$ を考える。以下の問いに答えよ。
(1) $\{a_n\}$ の初項から第 $600$ 項のうち、$7$ の倍数である項の個数を求めよ。
(2) $\{a_n\}$ の初項から第 $600$ 項のうち、$7^2$ の倍数である項の個数を求めよ。
(3) 初項から第 $n$ 項までの積 $a_1,a_2\cdots a_n$ が $7^{45}$ の倍数となる最小の自然数 $n$ を求めよ。(九州大2017)
整数解を求める方法で7の倍数になる項を求める
まずは(1)から。等比数列は以下の方法で一般項を求めます。
$a_n=a_1+(n-1)d$ ($a_1$:初項、$d$:公差)
よって
$a_n=1+(n-1)\cdot 4$
$=4n-3$
$a_n$ は $7$ の倍数なので
$4n-3=7k$ (kは整数) とします。
ここから整数解を求める方法で $4n-3$ が $7$ の倍数になる条件を考えます。移項して
$4n-7k=3$
整数解を求める方法ではいった式が成り立つ $n$ と $k$ の値を考えるのでした。$n=-1,k=-1$ とすると $3$ になりそうです。
$4\cdot (-1)-7\cdot (-1)=3$
となります。ここで
$4n-7k=3$
$4\cdot (-1)-7\cdot (-1)=3$
上の式から下の式を引きます。
$4(n+1)-7(k+1)=0$
$4(n+1)=7(k+1)\cdots\text{①}$
$4$ と $7$ は互いに素であるから、$k+1$ は $4$ の倍数である。
$l$ を整数として $k+1=4l$ とすると
$k+1=4l$
$k=4l-1$
①に代入して
$4(n+1)=7(4l-1+1)$
$4(n+1)=28l$
$n+1=7l$
$n=7l-1$
ここで $1\leqq n\leqq 600$ だから
$1\leqq 7l-1\leqq 600$
$2\leqq 7l\leqq 601$
$\displaystyle\frac{2}{7}\leqq l\leqq\frac{601}{7}$
$l$ は整数だから
$1\leqq l\leqq 85$
よって 85個 (答え)
整数解を求める方法で $7^2$ の倍数になる項を求める
(2) を考えます。$7^2$ の倍数は $7$ の倍数でもあるので (1) の結果を使ってみましょう。
(1) より
$a_n=4n-3$
$a_n=4(7l-1)-3$
$=28l-4-3$
$=28l-7$
$=7(4l-1)$
$a_n$ が $7^2$ の倍数のとき $m$ を整数として
$a_n=7^2m$
$7(4l-1)=7^2m$
$4l-1=7m$
$4l-7m=1$
ここで、左辺が $1$ になる $l$ と $m$ の値を考えます。$l=2,m=1$ でうまくいきそうです。
$4\cdot 2-7\cdot 1=1$
よって
$4l-7m=1$
$4\cdot 2-7\cdot 1=1$
上の式から下の式を引くと
$4(l-2)-7(m-1)=0$
$4(l-2)=7(m-1)\cdots\text{①}$
$4$ と $7$ は互いに素であるから、$m-1$ は $4$ の倍数である。$p$ を整数として
$m-1=4p$
①に代入して
$4(l-2)=7\cdot 4p$
$l-2=7p$
$l=7p+2$
(1)より $1\leqq l\leqq 85$ だったので
$1\leqq 7p+2\leqq 85$
$-1\leqq 7p\leqq 83$
$\displaystyle -\frac{1}{7}\leqq p\leqq \frac{83}{7}$
$p$ は整数だから
$0\leqq p \leqq 11$
よって 12個 (答え)
さらに $7^3$ の倍数になる項を考える
(3)を考えます。
(2)より
$a_n=7(4l-1)$
$=7\{4(7p+2)-1\}$
$=7(28p+8-1)$
$=7(28p+7)$
$=7^2(4p+1)\enspace(0\leqq p\leqq 11)$
ここで、$7^3$ になる場合を考えると $p=5$ のとき $4p+1=4\cdot 5+1=21$ となり、$a_n$ は $7^3$ の倍数になる。
また
$n=7l-1$
$l=7p+2$
より
$n=7(7p+2)-1$
$=49p+14-1$
$=49p+13$
であり、$p=5$ を代入すると
$n=258$ となる。
以上をまとめると
$a_n$ は
$n=7l-1$ のとき $7$ の倍数 $(1\leqq l\leqq 85)$
$n=49p+13$ のとき $7^2$ の倍数 $(0\leqq p\leqq 11)$
$n=258$ のとき $7^3$ の倍数
$n=258$ のときを考えると
$258=7l-1$
$l=37$
つまり、第$258$項までの間に $7$ が $37$ 個出てくるということです。つまり、第 $258$ 項までをかけ算すると $7^{37}$ の倍数になると言えそうですが、実際にはそこに $7^2$ と $7^3$ の倍数が出てくるので $37$ 個ではないはずです。
そして、さらに注意。$7^2$ の倍数になる項は $7$ の倍数になる項でもあるので、$7$ の数を余計に数えてしまうことになります。同様に、$7^3$ の倍数の項は $7$ と $7^2$ の倍数の項でもあるので、その分を割り引いてカウントします。
つまり、$a_1 a_2\cdots a_{258}$ の中には $7$ が $37+6+1=44$ 個含まれる。
さきほど、$l=37$ だったので、次の $l=38$ を考えると
$n=7\cdot 38-1=265$
つまり $a_{265}$ までかけ算したときに $7$ が一つ増えるということです。
また、$p=5$ だったので、次の $p=6$ を考えると
$n=49\cdot 6+13=294$
となり $a_{294}$ までかけ算したときに $7^2$ つまり $7$ が二つ増えます。
$294$ よりも $265$ の方が先に来るので、$a_1 a_2\cdots a_{265}$ のときに $7$ が一つ増えて、$7$ が $45$ 個になります。
よって $n=265$ (答え)
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