三角形の面積比/四面体の面積比(横浜国立大2016理系第3問(文系第3問))
四面体 OABC があり,$\overrightarrow{\text{OA}}=\vec{a},\overrightarrow{\text{OB}}=\vec{b},\overrightarrow{\text{OC}}=\vec{c}$ とする。三角形 ABC の重心を G とする。点 D,E,P を $\overrightarrow{\text{OD}}=2\vec{b}$,$\overrightarrow{\text{OE}}=3\vec{c}$,$\overrightarrow{\text{OP}}=6\overrightarrow{\text{OG}}$ をみたす点とし,平面 ADE と直線 OP の交点を Q とする。次の問いに答えよ。
(1) $\overrightarrow{\text{OQ}}$ を $\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ を用いて表せ。
(2) 三角形 ADE の面積を $S_1$,三角形 QDE の面積を $S_2$ とするとき,$\cfrac{S_2}{S_1}$ を求めよ。
(3) 四面体 OADE の体積を $V_1$,四面体 PQDE の体積を $V_2$ とするとき,$\cfrac{V_2}{V_1}$ を求めよ。
ベクトルを 2 通りで表す
(1)から始めます。
まず,点 Q は平面 ADE 上の点なので
$\overrightarrow{\text{OQ}}=s\overrightarrow{\text{OA}}+t\overrightarrow{\text{OD}}+u\overrightarrow{\text{OE}}$ $(s+t+u=1)$
$=s\vec{a}+2t\vec{b}+3u\vec{c}$
という式を立てます。
もちろん,この式だけでは何もできないので,次の手を考えます。
点 Q は OG の延長線上にあるので
$\overrightarrow{\text{OQ}}=k\overrightarrow{\text{OG}}$
と表すことができます。
そして,点 G は三角形 ABC の重心です。
三角形の重心を G とすると
$\overrightarrow{\text{OG}}=\cfrac{\overrightarrow{\text{OA}}+\overrightarrow{\text{OB}}+\overrightarrow{\text{OC}}}{3}$
$\overrightarrow{\text{OQ}}=\cfrac{k}{3}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})$
ここで 2 つの式を比べると
$\overrightarrow{\text{OQ}}=s\vec{a}+2t\vec{b}+3u\vec{c}$
$\overrightarrow{\text{OQ}}=\cfrac{k}{3}\vec{a}+\cfrac{k}{3}\vec{b}+\cfrac{k}{3}\vec{c}$
$s=2t=3u=\cfrac{k}{3}$
という関係が成り立ちます。ここから
$s=2t$
$t=\cfrac{s}{2}$
$s=3u$
$u=\cfrac{s}{3}$
これを $s+t+u=1$ に代入すると
$s+\cfrac{s}{2}+\cfrac{s}{3}=1$
$6s+3s+2s=6$
$11s=6$
$s=\cfrac{6}{11}$
$s=\cfrac{k}{3}$ だから
$\overrightarrow{\text{OQ}}=\cfrac{6}{11}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})$ (答え)
三角形の面積比
(2)に進みます。
AQ の延長線と DE の交点を R とします。R は DE 上の点だから
$\overrightarrow{\text{AR}}=s\overrightarrow{\text{AD}}+t\overrightarrow{\text{AE}}$ $(s+t=1)$
が成り立ちます。
$\overrightarrow{\text{AR}}=s(2\vec{b}-\vec{a})+t(3\vec{c}-\vec{a})$
$=-(s+t)\vec{a}+2s\vec{b}+3t\vec{c}$
また
$\overrightarrow{\text{AR}}=k\overrightarrow{\text{AQ}}$
$=k\Big\{\cfrac{6}{11}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})-\vec{a}\Big\}$
$=-\cfrac{5}{11}k\vec{a}+\cfrac{6}{11}k\vec{b}+\cfrac{6}{11}k\vec{c}$
式を比べると
$\cfrac{5}{11}=s+t=1$
$k=\cfrac{11}{5}$
よって
$\overrightarrow{\text{AR}}=\cfrac{11}{5}\overrightarrow{\text{AQ}}$
が成り立つので,AQ:QR = 5 : 6
これは三角形の高さの比と等しくなります。底辺の等しい三角形の面積は高さに比例するので
したがって $\cfrac{S_2}{S_1}=\cfrac{6}{11}$ (答え)
体積の比を求める
(3)に進みます。
(2)より
△QDE = △ADE × $\cfrac{6}{11}$
高さが等しい四面体の体積は低面積に比例するので,四面体 OQDE の体積は四面体 OADE の $\cfrac{6}{11}$ です。
(3) 四面体 OADE の体積を $V_1$,四面体 PQDE の体積を $V_2$ とするとき,$\cfrac{V_2}{V_1}$ を求めよ。
四面体 OQDE と PQDE は底面積が等しく,体積の比は高さの比に等しくなります。そこで,高さの比を求めてみます。
$\overrightarrow{\text{OP}}=6\overrightarrow{\text{OG}}$ より
$\overrightarrow{\text{OP}}=6\cdot\cfrac{1}{3}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})$
$=2(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})$
(1)より,$\overrightarrow{\text{OQ}}=\cfrac{6}{11}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})$ だったので
OQ : OP = $\cfrac{6}{11}$ : 2 = 3 : 11
が成り立ち,これより
OQ : QP = 3 : 8
が成り立ちます。これが四面体の高さの比です。
$V_2=V_1\times\cfrac{6}{11}\times\cfrac{8}{3}$
$=\cfrac{16}{11}V_1$
$\cfrac{V_2}{V_1}=\cfrac{16}{11}$ (答え)
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