【数III】法線の式を作って,円の中心座標を求める(千葉大2019第10問)

座標平面上の円 $C$ は,点 $(0,0)$ を通り,中心が直線 $x+y=0$ 上にあり,さらに双曲線 $xy=1$ と接する。このとき,円 $C$ の方程式を求めよ。ただし,円と双曲線がある点で接するとは,その点における円の接線と双曲線の接線が一致することをいう。

法線の式を求める

実際にグラフを描いてみましょう。そうすると,OP = QP の関係が見えてくると思います。

まず,点 Q の座標を $\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$ として,接線と法線について考えていきましょう。

$xy=1$ より

$y=\cfrac{1}{x}=x^{-1}$

$y’=-x^{-2}=-\cfrac{1}{x^2}$

これより,法線の傾きを $m$ とすると

$m\cdot\Big(-\cfrac{1}{x^2}\Big)=-1$

が成り立つので,$m=x^2$ となります。

$x=t$ のときの法線の傾きは $t^2$ となり,これが $\Big(t,\cfrac{1}{t}\Big)$ を通るので,法線の方程式は

$y=t^2(x-t)+\cfrac{1}{t}$ ・・・①

となります。

円の中心座標を求める

これと,$x+y=0$ つまり

$y=-x$ ・・・②

との交点が円の中心です。そこで,式を連立してみましょう。

②を①に代入して

$-x=t^2(x-t)+\cfrac{1}{t}$
$-x=t^2x-t^3+\cfrac{1}{t}$
$t^2x+x=t^3-\cfrac{1}{t}$
$(t^2+1)x=\cfrac{t^4-1}{t}$
$(t^2+1)x=\cfrac{(t^2+1)(t^2-1)}{t}$
$x=\cfrac{t^2-1}{t}=t-\cfrac{1}{t}$ ・・・③

②に代入して

$y=\cfrac{1}{t}-t$ ・・・④

OP = QP より,三平方の定理を用いて

$\text{OP}^2=\text{QP}^2$

$\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2+\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=\Big(t-\cfrac{1}{t}-t\Big)^2+\Big(\cfrac{1}{t}-t-\cfrac{1}{t}\Big)^2$

左辺について,$\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2$ と $\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2$ は同じものです。

$\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=\Big\{(-1)\Big(\cfrac{1}{t}-t\Big)\Big\}^2$
$=(-1)^2\Big(\cfrac{1}{t}-t\Big)^2$
$=\Big(\cfrac{1}{t}-t\Big)^2$
となる。

よって

$2\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=\Big(-\cfrac{1}{t}\Big)^2+(-t)^2$
$2\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=\cfrac{1}{t^2}+t^2$

さらに右辺を因数分解をしていきます。ここで

$\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=t^2-2t\cdot\cfrac{1}{t}+\cfrac{1}{t^2}$
$=t^2+\cfrac{1}{t^2}-2$

$t^2+\cfrac{1}{t^2}=\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2+2$

であることを利用して

$2\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2+2$

移行して

$2\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2-\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=2$
$\Big(t-\cfrac{1}{t}\Big)^2=2$
$t-\cfrac{1}{t}=\pm\sqrt{2}$

③,④を振り返ると,$(x,y)=\Big(t-\cfrac{1}{t},\cfrac{1}{t}-t\Big)$ だから,円の中心座標は $(\sqrt{2},-\sqrt{2})$,$(-\sqrt{2},\sqrt{2})$ となります。

円の半径を求める

そして,原点と円の中心座標との距離が円の半径となるので

$(\sqrt{2})^2+(-2\sqrt{2})^2=r^2$
$r^2=2+2=4$
となります。

したがって,円の方程式は

$(x-\sqrt{2})^2+(y+\sqrt{2})^2=4$
$(x+\sqrt{2})^2+(y-\sqrt{2})^2=4$

(答え)