千葉大数III

【数IA場合の数・数III極限】Cをより深く理解するための練習問題(千葉大2020第9問)

正の整数 $n$ に対して,
$\displaystyle a_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k$,$\displaystyle b_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k k$,$\displaystyle c_n=\sum_{k=0}^n \cfrac{{}_n\text{C}_k}{k+1}$,$\displaystyle d_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k k^2$
とする。
(1) $a_n$ を求めよ。
(2) $b_n$ を求めよ。
(3) $c_n$ を求めよ。
(4) $d_n$ を求めよ。
(5) 極限値 $\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\cfrac{a_nb_n}{c_nd_n}$ を求めよ。

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二項定理

(1) $a_n$ を求めよ。

$\displaystyle a_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k$

たとえば,$n=3$ なら
$a_n={}_3\text{C}_0+{}_3\text{C}_1+{}_3\text{C}_2+{}_3\text{C}_3$
となります。

こういう形の式,どこかで見たことない?

二項定理っぽいですね。

二項定理はたとえば $(a+b)^3$ なら
$={}_3\text{C}_0a^3b^0+{}_3\text{C}_1a^2b^1+{}_3\text{C}_2a^1b^2+{}_3\text{C}_3a^0b^3$
でした。
もし,ここで $a$ と $b$ を 1 としたら,上の式と同じ形になります。
つまり
$a_n=(1+1)^n=2^n$ (答え)

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C の定義を利用する

(2) $b_n$ を求めよ。

$\displaystyle b_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k k$

$k=0$ のとき,${}_n\text{C}_k k$ は 0 になるので,この式は

$\displaystyle b_n=\sum_{k=1}^n {}_n\text{C}_k k$

と同じことです。

ここからは,C の定義を用いる必要があります。

たとえば ${}_5\text{C}_3$ ならどういう計算する?

$\cfrac{5\cdot4\cdot3}{3\cdot2\cdot1}$ ですね。

この式の分子は $5\cdot4\cdot3$ ですが,これは 5 の階乗を 2 の階乗で割るという計算になおすことができます。

${}_5\text{C}_3=\cfrac{5\cdot4\cdot3\cdot2\cdot1}{3\cdot2\cdot1\cdot(2\cdot1)}=\cfrac{5!}{3!(5-3)!}$

これが C の定義になります。

${}_n\text{C}_r=\cfrac{n!}{r!(n-r)!}$

よって

$\displaystyle b_n=\sum_{k=1}^n \cfrac{n!}{k!(n-k)!}\cdot k$

ここで
$\cfrac{k}{k!}=\cfrac{\cancel{k}}{1\cdot2\cdot3\cdots(k-1)\cdot\cancel{k}}=\cfrac{1}{(k-1)!}$
となるので
$\displaystyle b_n=\sum_{k=1}^n \cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}$

また
$n!=1\cdot2\cdot3\cdots(n-1)\cdot n$
$=(n-1)!\cdot n$
となるので

$\displaystyle b_n=n\sum_{k=1}^n \cfrac{(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!}$

さらに
$n-k=(n-1)-(k-1)$
だから
$\displaystyle b_n=n\sum_{k=1}^n \cfrac{(n-1)!}{(k-1)!\{(n-1)-(k-1)\}!}$

$\displaystyle b_n=n\sum_{k=1}^n {}_{n-1}\text{C}_{k-1}$

あとは (1)でやったように,二項定理で考えます。

$=n\cdot2^{n-1}$ (答え)

ad

2 項定理を利用するときの注意点

(3) $c_n$ を求めよ。

$\displaystyle c_n=\sum_{k=0}^n \cfrac{{}_n\text{C}_k}{k+1}$

(2)と同様に C の定義で考えていきます。

$\displaystyle=\sum_{k=0}^n \cfrac{1}{k+1}\cdot\cfrac{n!}{k!(n-k)!}$

はいはい質問。$k$ が 0 のとき $k!$ ってどうなるんですか?

$0!=1$ になる。理屈というよりは組合せの計算を成り立たせるための決まりごとだと思って。

ここで,$k!\cdot(k+1)=(k+1)!$ だから
$\displaystyle=\sum_{k=0}^n\cfrac{n!}{(k+1)!(n-k)!}$

$(n+1)!=n!\cdot(n+1)$ より

$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n\cfrac{(n+1)!}{(k+1)!(n-k)!}$
$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n\cfrac{(n+1)!}{(k+1)!\{(n+1)-(k+1)\}!}$
$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n{}_{n+1}\text{C}_{k+1}$

ここから 2 項定理にもちこむときに注意が必要です。

最初の話に戻ると
$(a+b)^3={}_3\text{C}_0a^3b^0+{}_3\text{C}_1a^2b^1+{}_3\text{C}_2a^1b^2+{}_3\text{C}_3a^0b^3$
のように,2 項定理は ${}_3\text{C}_0$ の項から始まります。つまり
${}_{n+1}\text{C}_0+{}_{n+1}\text{C}_1+\cdots{}_{n+1}\text{C}_{n+1}=(1+1)^{n+1}$
としたいのですが
$\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_{n+1}\text{C}_{k+1}={}_{n+1}\text{C}_1+{}_{n+1}\text{C}_2+\cdots$
となるので,2 項定理になおすときに ${}_{n+1}\text{C}_0$ の項が足りません。そこで

$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\sum_{k=0}^n{}_{n+1}\text{C}_{k+1}$
$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\Big\{\sum_{k=0}^n{}_{n+1}\text{C}_{k+1}+{}_{n+1}\text{C}_0-{}_{n+1}\text{C}_0\Big\}$

として,つじつま合わせをします。

$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}\Big\{2^{n+1}-{}_{n+1}\text{C}_0\Big\}$
$\displaystyle=\cfrac{1}{n+1}(2^{n+1}-1)$ (答え)

さらに C の定義を利用する

(4) $d_n$ を求めよ。

$\displaystyle d_n=\sum_{k=0}^n {}_n\text{C}_k k^2$

$k=0$ のとき ${}_n\text{C}_kk^2=0$ なので

$\displaystyle=\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{k!(n-k)!}\cdot k^2$
$\displaystyle=\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}\cdot k$

$k$ を細工して $k=k-1+1$ とします。

$\displaystyle=\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}\cdot\{(k-1)+1\}$
$\displaystyle=\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}\cdot(k-1)+\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}$

ここも,$k=1$ のとき $(k-1)$ の部分が 0 になるので

$\displaystyle=\sum_{k=2}^n\cfrac{n!}{(k-2)!(n-k)!}+\sum_{k=1}^n\cfrac{n!}{(k-1)!(n-k)!}$

あとは(2)でやった計算を思い出しながら進めていきましょう。

$\displaystyle=n(n-1)\sum_{k=2}^n\cfrac{(n-2)!}{(k-2)!(n-k)!}+n\sum_{k=1}^n\cfrac{(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!}$
$\displaystyle=n(n-1)\sum_{k=2}^n{}_{n-2}\text{C}_{k-2}+n\sum_{k=1}^n{}_{n-1}\text{C}_{k-1}$
$=n(n-1)\cdot2^{n-2}+n\cdot2^{n-1}$
$=n(n-1)\cdot2^{n-2}+2n\cdot2^{n-2}$
$=\{n-1+2\}\cdot n\cdot2^{n-2}$
$=n(n+1)\cdot2^{n-2}$ (答え)

極限を求める

(5) 極限値 $\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\cfrac{a_nb_n}{c_nd_n}$ を求めよ。

$\cfrac{a_nb_n}{c_nd_n}$
$=\cfrac{2^n\cdot n\cdot2^{n-1}}{\cfrac{2^{n+1}-1}{n+1}\cdot n(n+1)\cdot2^{n-2}}$
$=\cfrac{2^n\cdot2^{n-1}}{(2^{n+1}-1)\cdot2^{n-2}}$
$=\cfrac{2^{n+n-1-n+2}}{2^{n+1}-1}$
$=\cfrac{2^{n+1}}{2^{n+1}-1}$

となるので

$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\cfrac{a_nb_n}{c_nd_n}$

$\displaystyle=\lim_{n\rightarrow\infty}\cfrac{2^{n+1}}{2^{n+1}-1}$

分母・分子を $2^{n+1}$ で割ると

$\displaystyle=\lim_{n\rightarrow\infty}\cfrac{1}{1-\cfrac{1}{2^{n+1}}}$
$=\cfrac{1}{1-0}=1$ (答え)

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