【数IIB数列】2 次関数の最大・最小がつくる数列/特性方程式で一般項を求める(神戸大2020文系第2問)
$n$ を自然数とし,数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$ を次の (i),(ii) で定める。
(i) $a_1=b_1=1$ とする。
(ii) $f_n(x)=a_n(x+1)^2+2b_n$ とし,$-2\leqq x\leqq1$ における $f_n(x)$ の最大値を $a_{n+1}$,最小値を $b_{n+1}$ とする。
以下の問に答えよ。
(1) すべての自然数 $n$ について $a_n>0$ かつ $b_n>0$ であることを示せ。
(2) 数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
(3) $c_n=\cfrac{a_n}{2^n}$ とおく。数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。
数学的帰納法
(1) すべての自然数 $n$ について $a_n>0$ かつ $b_n>0$ であることを示せ。
まず $n=1$ として,初項を代入してみます。
$f_1(x)=a_1(x+1)^2+2b_1$
$=(x+1)^2+2$
この 2 次関数は下に凸で頂点が $(-1,2)$ です。
$-2\leqq x\leqq1$ の範囲では,最大は $x=1$ のときで,最小は $x=-1$ のときで,最小値 2 です。
$f_1(1)=(1+1)^2+2=6$
よって
$a_2=6,b_2=2$
同じことを繰り返していきます。
$f_2(x)=a_2(x+1)^2+2b_2$
$=6(x+1)^2+4$
$a_3=28,b_3=4$
$a_n>0$,$b_n>0$ はちゃんと成り立つようです。
これがすべての自然数 $n$ について成り立つことを示すには,数学的帰納法を用いるとよいでしょう。
すべての自然数 $n$ について
$a_n>0,b_n>0$ ・・・(*)
[I] $n=1$ のとき
$a_1=b_1=1$
よって,$n=1$ のとき(*)が成り立つ。
[II] $n=k$ のとき(*)が成り立つと仮定すると
$f_k(x)=a_k(x+1)^2+2b_k$
$a_k>0$ より,$f_k(x)$ は下に凸のグラフで,$x=1$ のとき最大値をとり,また最小値は $2b_k$ となるので
$a_{k+1}=f_k(1)$
$4a_k+2b_k>0$
$b_{k+1}=2b_k>0$
よって,$n=k$ のとき(*)が成り立つ。
[I],[II]より,すべての自然数 $n$ において,(*)が成り立つ。(証明終わり)
一般項を求める
(2) 数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
(1)を振り返ると,$b_2=2b_1$,$b_3=2b_2$,・・・という関係になっていました。よって
$b_1=1$
$b_{n+1}=2b_n$
これは初項 1,公比 2 の等比数列です。
$b_n=2^{n-1}$ (答え)
さらに一般項を求める
(3) $c_n=\cfrac{a_n}{2^n}$ とおく。数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。
(1),(2)を手がかりに,$a_n$ について考えてみましょう。
$a_n$ は $f_n(x)$ の最大値のほうで,$x=1$ のときに最大値をとりました。
$f_1(1)=a_1(1+1)^2+2b_1=a_2$
$f_2(1)=a_2(1+1)^2+2b_2=a_3$
となります。
ここから,漸化式が考えられます。
$a_{n+1}=4a_n+2b_n$
(2)より,$b_n=2^{n-1}$ だから
$a_{n+1}=4a_n+2\cdot2^{n-1}$
$=4a_n+2^n$
これをもとにすると,今度は $c_n$ の漸化式がつくれそうです。
$c_{n+1}=\cfrac{a_{n+1}}{2^{n+1}}$
$=\cfrac{4a_n+2^n}{2^{n+1}}$
$=\cfrac{4a_n}{2^{n+1}}+\cfrac{2^n}{2^{n+1}}$
$=\cfrac{2a_n}{2^n}+\cfrac{1}{2}$
$=2c_n+\cfrac{1}{2}$
漸化式ができあがりました。
$\alpha=2\alpha+\cfrac{1}{2}$ として
$\alpha=-\cfrac{1}{2}$
$\begin{matrix}&c_{n+1}&=&2c_n&+&\cfrac{1}{2}\\-)&\alpha&=&2\alpha&+&\cfrac{1}{2}\\\hline&c_{n+1}-\alpha&=&2(c_n-\alpha)\end{matrix}$
$\alpha=\cfrac{1}{2}$ を代入して
$c_{n+1}-\cfrac{1}{2}=2\Big(c_n-\cfrac{1}{2}\Big)$ ・・・①
$c_n+\cfrac{1}{2}=d_n$ として
$d_1=c_1+\cfrac{1}{2}$
$=\cfrac{a_1}{2}+\cfrac{1}{2}$
$=1$
よって,①は
$d_{n+1}=2d_n$
となる。
これは,初項 1,公比 2 の等比数列だから,一般項は
$d_n=2^{n-1}$
$c_n+\cfrac{1}{2}=2^{n-1}$
$c_n=2^{n-1}-\cfrac{1}{2}$ (答え)
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