剰余の定理と組立除法を用いて3次関数の係数を決定する(神戸大2020文系第1問)

(1) $b,c$ を $a,p$ を用いて表わせ。

(2) $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は,$f’\Big(p+\cfrac{4}{3}\Big)=0$ をみたすとする。$a$ を $p$ を用いて表わせ。

(3) (2)の条件のもとで $p=0$ とする。曲線 $y=f(x)$ と $y=f'(x)$ の交点を $x$ 座標が小さい方から順に A,B,C とし,線分 AB と曲線 $y=f'(x)$ で囲まれた部分の面積を $S_1$,線分 BC と曲線 $y=f'(x)$ で囲まれた部分の面積を $S_2$ とする。このとき,$S_1+S_2$ の値を求めよ。

剰余の定理と組立除法

(1) $b,c$ を $a,p$ を用いて表わせ。

式を実際に $x-p$ で割ってみましょう。

$\begin{matrix}1&a&b&c&|\underline{p}\\&p&p^2+ap&p^3+ap^2+bp\\\hline1&p+a&p^2+ap+b&p^3+ap^2+bp+c\end{matrix}$

$f(x)$ を $x-p$ で割った余りは $p^3+ap^2+bp+c$ になりましたが,割り切れるということは余りが 0 になるということです。よって

$p^3+ap^2+bp+c=0$ ・・・①

$f(x)=(x-p)\{x^2+(p+a)x+p^2+ap+b\}$

さらに $x-p$ で割りましょう。

$\begin{matrix}1&p+a&p^2+ap+b&|\underline{p}\\&p&2p^2+ap\\\hline1&2p+a&3p^2+2ap+b\end{matrix}$

同様に

$3p^2+2ap+b=0$ ・・・②

が成り立ちます。

①,②から $b,c$ を表してみましょう。

②より

$b=-3p^2-2ap$ (答え)

①に代入して

$p^3+ap^2+(-3p^2-2ap)p+c=0$
$p^3+ap^2-3p^3-2ap^2+c=0$
$-2p^3-ap^2+c=0$
$c=2p^3+ap^2$ (答え)

微分する

(2) $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は,$f’\Big(p+\cfrac{4}{3}\Big)=0$ をみたすとする。$a$ を $p$ を用いて表わせ。

とりあえず微分して $f'(x)$ を求めてみましょう。

$f'(x)=3x^2+2ax+b$

$f’\Big(p+\cfrac{4}{3}\Big)=3\Big(p+\cfrac{4}{3}\Big)^2+2a\Big(p+\cfrac{4}{3}\Big)-3p^2-2ap$

(1)より $b=-3p^2-2ap$ でした。

$=3\Big(p^2+\cfrac{8}{3}p+\cfrac{16}{9}\Big)+2ap+\cfrac{8}{3}a-3p^2-2ap$
$=3p^2+8p+\cfrac{16}{3}+\cfrac{8}{3}a-3p^2$
$8p+\cfrac{16}{3}+\cfrac{8}{3}a=0$

両辺を 8 で割って

$p+\cfrac{2}{3}+\cfrac{1}{3}a=0$

両辺を 3 倍して

$3p+2+a=0$

$a=-3p-2$ (答え)

グラフを描いて面積を求める

(3) (2)の条件のもとで $p=0$ とする。曲線 $y=f(x)$ と $y=f'(x)$ の交点を $x$ 座標が小さい方から順に A,B,C とし,線分 AB と曲線 $y=f'(x)$ で囲まれた部分の面積を $S_1$,線分 BC と曲線 $y=f'(x)$ で囲まれた部分の面積を $S_2$ とする。このとき,$S_1+S_2$ の値を求めよ。

$p=0$ とすると

$a=-2$

$b=0$

$c=0$

となります。よって

$f(x)=x^3-2x^2$

微分すると

$f'(x)=3x^2-4x$

$3x^2-4x=0$ とすると

$x(3x-4)=0$
$x=0,\cfrac{4}{3}$

増減表は

$\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{|c||c|c|c|c|c|}\hline x&\cdots&0&\cdots&\frac{4}{3}&\cdots\\\hline f'(x)&+&0&-&0&+\\\hline f(x)&\nearrow&0&\searrow&&\nearrow\\\hline\end{array}$

$f(x)$ と $f'(x)$ の交点を求めると

$x^3-2x^2=3x^2-4x$
$x^3-5x^2+4x=0$
$x(x^2-5x+4)=0$
$x(x-1)(x-4)=0$
$x=0,1,4$

(2)で極値をとる $x$ の値は分かっているから,実際はムリに増減表作らなくても良い。グラフの概形が描ければ大丈夫。

求める面積は,2 次関数と直線に囲まれた部分の面積です。こういう場合は 6 分の 1 公式を用いて面積を求めましょう。

6 分の 1 公式

$y=ax^2+bx+c$ と直線の交点の $x$ 座標を,$\alpha,\beta$ とすると,曲線と直線で囲まれた部分の面積は

$S=\cfrac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3$

$f'(x)=3x^2-4x$ より

$S_1=\cfrac{3}{6}(1-0)^3=\cfrac{1}{2}$
$S_2=\cfrac{3}{6}(4-1)^3$
$=\cfrac{1}{2}\cdot3^3$
$=\cfrac{27}{2}$
$S_1+S_2=\cfrac{1}{2}+\cfrac{27}{2}=14$ (答え)