今回はネイピア数 e を使い倒す問題にチャレンジ。問題を解き終えることには e の扱い方が上手になると思うよ。
媒介変数 t を用いて表された曲線
C:x=21(et+e−t),y=21(et−e−t)
を考える。
(問1) 点 M の座標を (0,1) とする。曲線 C 上の点 P に対して,MP を最小にする t の値 t0 を求めよ。
(問2) (問1) の t0 に対する曲線 C 上の点を Q とする。Q における C の接線を ℓ とするとき,曲線 C と接線 ℓ および x 軸で囲まれた部分 D の面積を求めよ。
(問3) (問2) の D を y 軸の周りに 1 回転させてできる立体の体積を求めよ。
微分して増減表をつくる
(1)から始めます。
MP の長さは三平方の定理で求めることができます。ルートがあると計算がややこしいので MP を 2 乗した値の最小値を考えていきましょう。
f(t)=MP2 として
={21(et+e−t)}2+{21(et−e−t)−1}2
=41(et+e−t)2+41(et−e−t)2−(et−e−t)+1}
ここで,(et+e−t)2 は
=e2t+2et⋅e−t+e−2t
=e2t+2et−t+e−2t
=e2t+2e0+e−2t
=e2t+2+e−2t
となります。
同様にして,(et−e−t)2=e2t−2+e−2t となります。
=41(2e2t+2e−2t)−et+e−t+1
=21e2t+21e−2t−et+e−t+1
次に,式を微分しましょう。
ネイピア数は微分しても形が同じになるという便利な性質があります。
また,合成関数のときは
(e2x)’=e2x⋅(2x)’=2e2x
となります。2x を微分した 2 をかけるのを忘れずに。さらに
(e−t)’=e−t⋅(−t)’
=e−t⋅(−1)=−e−t
この場合は符号が逆になるから注意して。計算ミスしやすい。
f′(t)=e2t−e−2t−et−e−t
e2t−e−2t−et−e−t=0 とすると
a2−b2=(a+b)(a−b) の因数分解をする。
(et+e−t)(et−e−t)−(et+e−t)=0
(et+e−t)(et−e−t−1)=0
ここで et+e−t=0 のとき
et+et1=0
両辺に et をかけて
e2t+1=0
e2t=−1
e って 2.7 くらいの正の数だから,何乗しても正の数になる。つまり,この方程式は解なし。
また,et−e−t−1=0 のとき
et−et1−1=0
両辺に et をかけて
e2t−1−et=0
et=k とすると
k2−k−1=0
k=21±1+4
k は正の数だから
=21+5
よって
et=21+5
t を求めるために,両辺の対数をとります。
loget=log21+5
tloge=log21+5
loge はもともと
logee ということだった。つまり,
loge=1 になる。
t=log21+5
増減表は
tf′(t)f(t)⋯−
log21+50⋯+
たとえば,t=0 とすると,f′(0)=1−1−1−1=−3 になるのでマイナスです。
また,たとえば t=10 とすると
f′(t)=e2t−e−2t−et−e−t
=e2t−et−e2t1−et1
=e20−e10−e201−e101
となります。こうすると,e20 は e10 よりはるかに大きな数で,e201 と e101 は 1 よりもずっと小さい数だから,プラスになります。
この辺りは実際に解答欄に書くわけではないので,頭の中のイメージとして持っておくだけで大丈夫です。
したがって
t0=log21+5 (答え)
積分で面積を求める
(2)に進みます。
グラフの概形を描くために x,y をそれぞれ t で微分し,増減表を作ります。
x=21(et+e−t)
t で微分すると
dtdx=21(et−e−t)
et−e−t=0 とすると,t=0 のときに左辺が e0−e−0=1−1=0 となるので,t=0 で極値をとります。
さらに微分します。
dt2d2x=21(et+e−t)
et+e−t の場合,et と e−t はどちらもつねに正の数で 0 になることはありません。よって,et+e−t=0 としても解はありません。
また
y=21(et−e−t)
dtdy=21(et+e−t)
dt2d2y=21(et−e−t)
増減表は
tdtdxdt2d2xxdtdydt2d2yy⋯−++−00e1e00⋯++++
まず,接線 ℓ を求めましょう。
接線の傾きは
dxdy になる。
dxdy=dtdxdtdy
=21(et−e−t)21(et+e−t)
=et−e−tet+e−t
t=t0 とすると
=et0−e−t0et0+e−t0
ここで,et0 の値を求めてみます。パターンとして覚えましょう。
et0=k として,両辺の対数をとると
loget0=logk
t0=logk
log21+5=logk
k=21+5
eloga みたいな形が来たら,いったん
=k として両辺の対数を取るってのを覚えておく。
よって
et0=21+5
=21+5
また
e−t0=1+52
=(1+5)(1−5)2(1−5)
=−42(1−5)
=25−1
これらを代入すると
dxdy=21+5−25−121+5+25−1
=1+5−5+11+5+5−1
=225
=5
t0 のときの x,y を x0,y0 とすると,接線 ℓ の方程式は
y=5(x−x0)+y0
となります。x0 と y0 を求めましょう。
x0=21(et0+e−t0)
=21(21+5+25−1)
=25
y0=21(et0−e−t0)
=21(21+5−25−1)
=21
したがって
ℓ:y=5(x−25)+21
=5x−2
x 軸との接点を求めます。
5x−2=0 とすると
x=52=525
ここから点 Q の座標を (x0,y0) として,面積を求めます。考え方としては三角形の面積から,曲線 C,x=x0 の直線,x 軸で囲まれた部分を引くと良いでしょう。
三角形の面積は
21(x0−525)⋅y0
と表すことができます。
=21(25−525)⋅21
=41⋅1055−45
=405
また
∫1x0y dx
=∫1x021(et−e−t) dx
=21∫1x0et−e−t dx
dt ってしたらダメ。横軸は
x だから
dx になるよ。
それは横軸
t,縦軸
y のグラフを描いて面積求めることになる。これは増減表作るときに
dtdy 求めたからわかると思うけど単調増加のグラフができるから全然別もの。
t の式を
x で積分するってのはできない。こういうときは置換積分するといいよ。
x=21(et+e−t)
dx=21(et−e−t) dt
xt1→x00→t0
よって
=21∫0t0(et−e−t)⋅21(et−e−t) dt
=41∫0t0(et−e−t)2 dt
=41∫0t0e2t−2+e−2t dt
e2t は合成関数だから,積分するとき
2t の微分の逆数,つまり
21 をかけるというルールを思い出して。
=41[21e2t−2t−21e−2t]0t0
=81[e2t−4t−e−2t]0t0
=81(e2t0−4t0−e−2t0−1+1)
ここで,e2t0 は (et0)2 と書き換えられる。
(et0)2=(21+5)2
=41+25+5
=23+5
また
(e−t0)2=(25−1)2
=45−25+1
=23−5
となるので
=81{23+5−4log21+5−23−5}
=85−21log21+5
したがって求める面積は
S=405−85+21log21+5
S=−105+21log21+5 (答え)
y 軸の周りに 1 回転させてできる立体の体積
(3)に進みます。
イメージこんな感じ。曲線
C がつくる回転体は
x 方向が半径になるから,そこから円の面積をつくって積分していく。あと真ん中が空洞になるからその部分の体積をあとから引く。
まず,曲線 C がつくる回転体の体積を求めましょう。
V1=∫0y0πr2 dy
=π∫0y0{21(et+e−t)}2 dy
=4π∫0y0e2t+2+e−2t dy
ここも置換積分で対処します。
y=21(et−e−t)
dy=21(et+e−t)dt
yt0→y00→t0
=4π∫0t0(e2t+2+e−2t)⋅21(et+e−t)dt
=8π∫0t0e3t+et+2et+2e−t+e−t+e−3t dt
=8π∫0t0e3t+3et+3e−t+e−3t dt
=8π[31e3t+3et−3e−t−31e−3t]0t0
=8π{31e3t0+3et0−3e−t0−31e−3t0−31−3+3+31}
=8π{31e3t0+3et0−3e−t0−31e−3t0}
ここで
e3t0=(et0)3
さきほど,(et0)2 を求めたのでそれを利用しましょう。
(et0)3=(et0)2⋅et0
=23+5⋅21+5
=43+35+5+5
=2+5
また
(e−t0)3=(e−t0)2⋅e−t0
=23−5⋅25−1
=435−3−5+5
=5−2
となるので
=8π{32+5+23(1+5)−23(5−1)−35−2}
=8π(34+3)
=8π⋅313
=2413π
次に真ん中の空洞部分の体積を求めましょう。
接線 ℓ の方程式は y=5−2 でした。ただし,ここで必要なのは円の半径を表す x の値です。
y=5x−2
x=5y+2
これを円の半径として積分しましょう。
V2=∫0y0πr2 dy
=π∫0y0(5y+2)2 dy
=5π∫0y0y2+4y+4 dy
=5π[3y3+2y2+4y]0y0
=5π(3y03+2y02+4y0)
ここで,いっぺん
y0=21 を求めていたことを思い出して。
=5π(31⋅81+2⋅41+4⋅21)
=5π(241+21+2)
=5π⋅241+12+48
=12061π
最後に引き算をして体積を求めましょう。
V=V1−V2
=2413π−12061π
=240130−122π
=2408π
=301π (答え)
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