【IIB数列III極限】右辺がan^2である漸化式と帰納法/漸化式から極限を求める(東京都立大2016理系第1問)

漸化式の性質を帰納法で示すパターンやる。あと,漸化式から極限求める方法もマスターするには良い練習問題。

$a$ と $b$ を $0\leqq a\leqq1$,$0\leqq b<1$ をみたす定数とする。数列 $\{a_n\}$ を次の条件によって定める。

$a_1=a$,$a_{n+1}=\cfrac{1}{2}(a_n^2+b)$ $(n=1,2,3,\cdots)$

$c=1-\sqrt{1-b}$ とおく。以下の問いに答えなさい。(東京都立大2016)

(1) $0\leqq a_n\leqq 1$ が成り立つことを示しなさい。

(2) $a_{n+1}-c=\cfrac{1}{2}(a_n+c)(a_n-c)$ が成り立つことを示しなさい。

(3) $\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}a_n=c$ が成り立つことを示しなさい。

帰納法を用いる

(1)から始めます。

ここは,問題文の解釈の仕方に慣れましょう。すべての自然数 $n$ について不等式から成り立つことを示せば良いのだから,こうした場合は,帰納法を用いることがひらめくようになると良いです。

$0\leqq a_n\leqq1$ ・・・(*) とする。

[I] $n=1$ のとき

$a_1=a$

$0\leqq a\leqq1$ より,(*)が成り立つ。

[II] $n=k$ のとき(*)が成り立つ,すなわち

$0\leqq a_k\leqq1$

が成り立つと仮定すると

$0\leqq {a_k}^2\leqq 1$

また $0\leqq b<1$ より

$0\leqq {a_k}^2+b<2$
$0\leqq\cfrac{1}{2}({a_k}^2+b)<1$
$0\leqq a_{k+1}<1$

よって,$a_{k+1}$ のときも(*)が成り立つ。

[I],[II]より,すべての自然数 $n$ において

$0\leqq a_n\leqq1$

が成り立つ。(証明終わり)

等式を変形する

(2)に進みます。ここは,右辺を変形して左辺に合わせていきましょう。

右辺について

$\cfrac{1}{2}(a_n+c)(a_n-c)=\cfrac{1}{2}({a_n}^2-c^2)$
$=\cfrac{1}{2}\{{a_n}^2-(1-\sqrt{1-b})^2\}$
$=\cfrac{1}{2}({a_n}^2-1+2\sqrt{1-b}-1-b)$
$=\cfrac{1}{2}\{{a_n}^2-2(1-\sqrt{1-b})-b\}$
$=\cfrac{1}{2}({a_n}^2-2c-b)$
$=\cfrac{1}{2}({a_n}^2-b)-c$
$=a_{n+1}-c$

右辺=左辺より,題意は示された。(証明終わり)

極限を求める

(3)に進みます。

ここは,(2)で示した

$a_{n+1}-c=\cfrac{1}{2}(a_n+c)(a_n-c)$ ・・・①

を何とか利用する方法を考えると良いでしょう。

どうしたらいいの?
左右に $a_{n+1}-c$ と $a_n-c$ っていう形があるから,これを漸化式として捉えると良い。

$a_n-c=b_n$ をすると,①は

$b_{n+1}=\cfrac{1}{2}(a_n+c)b_n$

次に,$\cfrac{1}{2}(a_n+c)$ について考えましょう。

$0\leqq b<1$ より

$-1<-b\leqq0$
$0<1-b\leqq1$
$0<\sqrt{1-b}\leqq1$
$-1\leqq-\sqrt{1-b}<0$
$0\leqq1-\sqrt{1-b}<1$
$0\leqq c<1$

(1)より $0\leqq a_n\leqq1$ だから

$0\leqq a_n+c<2$
$0\leqq\cfrac{1}{2}(a_n+c)<1$

$\cfrac{1}{2}(a_n+c)$ が 1 より小さいということは,$b_{n+1}<b_n$ が成り立つということであり,$n$ を大きくすると $b_n$ はどんどん小さくなっていくことが分かります。

したがって

$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}b_{n+1}=0$
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}a_n-c=0$
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}a_n=c$ (証明終わり)