「子どもにコーヒーを飲ませてはいけない」に科学的根拠は無い 飲みすぎなければよい

「カフェインの摂りすぎは体に悪い」という意見は一般的に広く受け入れられている考えです。カフェインの摂取量が多すぎると,めまいや心拍数の増加,興奮,不安,震え,不眠が起こります。また,消化器管の刺激により下痢や吐き気,嘔吐することもあります。そのため,自分の子どもにコーヒーなどのカフェイン入り飲料を飲ませないようにしている親も多いようです。

コーヒーを飲む人は牛乳を飲む量が減る

子どもにコーヒーを飲ませるべきではないという考え方が広まったのは1980年代であると考えらています。その当時,カフェインは体内のカルシウムの排出を増加させる可能性があり,骨粗しょう症の原因になることを示唆するいくつかの研究結果が発表されました。こうした情報から,子どもにコーヒーを飲ませるとその成長に悪影響を与えると考える人々が増えたのです。

しかし,こうした個々の研究結果はあくまで小規模な被験者を対象にしたものに過ぎず,複数の調査結果を経た今日ではこの説は科学的に否定されています。

実は,これにはもう一つの要因がありました。コーヒーを飲む量が多い人は,その分牛乳を飲む量が少なくなる傾向があったのです。つまり,骨粗しょう症の原因がカルシウムの不足だったようです。

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過剰に摂取しない限り,若者がカフェインを摂ることに問題はない。

カフェインについての賛否

カフェインに関する研究では,その利点と欠点が混在しています。カフェインは過剰に摂取しない限り,2型糖尿病,不整脈,脳卒中,パーキンソン病,アルツハイマー病,肝疾患,肝臓がんなどのがん,痛風などの病気を予防する効果があると考えられています。

その一方で,妊婦がカフェインを摂ると流産のリスクが高くなるという研究結果もあります。このことについては,今のところはっきりした結論が出ていないため,世界保健機関(WHO)は妊婦はカフェインの摂取量をなるべく減らすことを勧告しています。

カフェイン接種は適度な量であればまったく問題ない

もちろん,子どもが大人と同じ量のコーヒーを飲むことはおすすめできません。子どもは大人に比べて体重が少ないため,カフェインの影響を強く受けやすいからです。また,コーヒー飲料を飲む際には,カフェインよりもそれに含まれる砂糖の方を心配した方が良いと主張する人もいます。

コーヒーを飲んだら背が高くならないと心配する必要はないようです。ただし,大人と同様に飲み過ぎには注意が必要です。