【数IIB】2段階さかのぼりがポイント!数学的帰納法で数列の漸化式を証明する・基本レベル(北海道大2021理系第4問)

$a_1=2,b_1=1$ および

$a_{n+1}=2a_n+3b_n$,$b_{n+1}=a_n+2b_n$ $(n=1,2,3,\cdots)$

で定められた数列 $\{a_n\},\{b_n\}$ がある。$c_n=a_nb_n$ とおく。(北海道大2021)

(1) $c_2$ を求めよ。

(2) $c_n$ は偶数であることを示せ。

(3) $n$ が偶数のとき,$c_n$ は 28 で割り切れることを示せ。

初項を代入する

(1)から始めます。

$a_2=2a_1+3b_1$ より

$=2\cdot2+3\cdot1=7$

$b_2=a_1+2b_1$ より

$2+2\cdot1=4$

$c_2=a_2b_2$ より

$=7\cdot4=28$ (答え)

数学的帰納法で偶数を証明する

(2)に進みます。ここも,とりあえず式を代入するだけです。証明は数学的帰納法を用います。

[1] $n=1$ のとき

$c_1=28$

よって,$n=1$ のとき,$c_n$ は偶数である。

[2] $n=k$ のとき $c_k$ は偶数であると仮定すると,$n=k+1$ のとき

$c_{k+1}=a_{k+1}b_{k+1}$
$=(2a_k+3b_k)(a_k+2b_k)$
$=2{a_k}^2+4a_kb_k+3a_kb_k+6{b_k}^2$
$=2{a_k}^2+7a_kb_k+6{b_k}^2$
$=2({a_k}^2+3{b_k}^2)+7c_k$

よって,$n=k+1$ のときも $c_n$ は偶数である。

[1],[2]から,すべての自然数 $n$ について $c_n$ は偶数である。(証明終わり)

$c_1$ が偶数なら $c_2$ も偶数になる,$c_2$ が偶数なら $c_3$ も偶数になる・・・の繰り返しで,すべての $c_n$ は偶数であると言える,っていう理屈。
$7c_k$ の部分でこれでいいの?
$c_k$ は偶数だから 7 倍しても偶数。$2({a_k}^2+3{b_k}^2)$ は偶数で $7c_k$ も偶数だから,偶数+偶数=偶数ということ。

数学的帰納法で2つ前の項までさかのぼる

$n$ が偶数ということは,$c_2$,$c_4$,$c_6$ ・・・ということです。偶数を $2k$ として $c_{2k}$ が 28 で割り切れることを証明すれば良さそうです。

[1] $n=2$ のとき

$c_2=28$

よって,$n=2$ のとき,$c_n$ は 28 で割り切れる。

[2] $n=2k$ のとき,$c_{2k}$ は 28 で割り切れると仮定すると

$n=2(k+1)=2k+2$ のとき

$a_{n+1}=2a_n+3b_n$,$b_{n+1}=a_n+2b_n$ を 1 つ減らすと

$a_n=2a_{n-1}+3b_{n-1}$
$b_n=a_{n-1}+2b_{n-1}$

となるので,これをもとに式を作ります。

$a_{2k+2}=2a_{2k+1}+3b_{2k+1}$
$=2(2a_{2k}+3b_{2k})+3(a_{2k}+2b_{2})$
$=7a_{2k}+12b_{2k}$

偶数は 1 つおきに現れる数だから,1 つ前の偶数の式にするためには 2 段階戻るのがポイント。

$b_{2k+2}=a_{2k+1}+2b_{2k+1}$
$=2a_{2k}+3b_{2k}+2(a_{2k}+2b_{2k})$
$=4a_{2k}+7b_{2k}$

よって

$c_{2k+2}=(7a_{2k}+12b_{2k})(4a_{2k}+7b_{2k})$
$=28a_{2k}+97a_{2k}b_{2k}+84b_{2k}$
$=28(a_{2k}+3b_{2k})+97c_{2k}$

$c_{2k}$ が 28 の倍数なら,それを 97 倍したものも 28 の倍数になる。
[1],[2]から,$n$ が偶数のとき,$c_n$ は 28 で割り切れる。(証明終わり)