北海道大数III高校数学の解法

【数III積分・数IIB数列】数列を奇数列と偶数列に分けて考える(北海道大2019理系第5問)

$f(x)$ を区間 $[0.\pi]$ で連続な関数とする。関数 $f_1(x),f_2(x),\cdots$ を関係式

$f_1(x)=f(x)$,

$\displaystyle f_{n+1}(x)=2\cos x+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin(x-t)dt\space (n=1,2,3,\cdots)$

により定める。さらに,自然数 $n$ に対して

$\displaystyle a_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin t\space dt, b_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\cos t\space dt$

とおく。

(1) $a_{n+1},b_{n+1}$ を $a_n,b_n$ を用いて表せ。

(2) $c_n=a_n-1$ とおく。このとき,$c_{n+2}=-c_n$ が成立することを示し,一般項 $c_n$ を $a_1$ と $b_1$ を用いて表せ。

(3) $a_n,b_n$ が $n$ によらない定数となるような $f(x)$ を 1 つ求めよ。

(北海道大2019)

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三角関数の公式を用いて式を整理する

条件が多すぎて何やればいいのかさっぱり。

大学によって傾向あるけど,北大はとりあえず計算できそうなヤツは先に計算して,いったん式を整理してみるのが吉。

最初の式をみると $\sin(x-t)$ は加法定理が使えそうです。

$\displaystyle f_{n+1}(x)=2\cos x+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin(x-t)dt$
$\displaystyle=2\cos x+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)(\sin x\cos t-\cos x\sin t)dt$
$\displaystyle=2\cos x+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin x\cos t\space dt-\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\cos x\sin t\space dt$

式が $t$ についての積分であることに注意します。このとき,$t$ 以外の文字はすべて定数として扱います。つまり,$x$ は定数であり,積分式の外側に出すことができます。

$\int 3x\space dx=3\int x\space dx$ とできるのと同じ。

$\displaystyle=2\cos x+\cfrac{2\sin x}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\cos t\space dt-\cfrac{2\cos x}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin t\space dt$

問題文より
$\displaystyle a_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin t\space dt, b_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\cos t\space dt$
だから
$=2\cos x+b_n\sin x-a_n\cos x$
よって
$f_{n+1}(x)=b_n\sin x+(2-a_n)\cos x$ ・・・①

式が整理できました。これを使って,$a_{n+1}$,$b_{n+1}$ を求めます。

$\displaystyle a_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\sin t\space dt$ より
$\displaystyle a_{n+1}=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_{n+1}(t)\sin t\space dt$
①より
$f_{n+1}(t)=b_n\sin t+(2-a_n)\cos t$
となるので
$\displaystyle a_{n+1}=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi \{b_n\sin t+(2-a_n)\cos t\}\sin t\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi b_n\sin^2 t\space dt+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi(2-a_n)\sin t\cos t\space dt$

ここも上と同様で,$b_n$ と $2-a_n$ は $t$ を含まない式,つまり定数です。

$\displaystyle=\cfrac{2b_n}{\pi}\int_0^\pi \sin^2 t\space dt+\cfrac{2(2-a_n)}{\pi}\int_0^\pi\sin t\cos t\space dt$

とにかく,$t$ 以外を外に出していく感じですね。

ここで,三角関数の部分を見てみると公式が使えそうです。

半角の公式 $\sin^2 x=\cfrac{1-\cos 2x}{2}$
2倍角の公式 $\sin 2x=2\sin x\cos x$

を用いて

$\displaystyle=\cfrac{2b_n}{\pi}\int_0^\pi \cfrac{1-\cos 2t}{2}\space dt+\cfrac{2-a_n}{\pi}\int_0^\pi\sin 2t\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{b_n}{\pi}\int_0^\pi 1-\cos 2t\space dt+\cfrac{2-a_n}{\pi}\int_0^\pi\sin 2t\space dt$
$\sin 2t,\cos 2t$ が合成関数であることに注意して
$=\cfrac{b_n}{\pi}\Big[t-\cfrac{1}{2}\sin 2t\Big]_0^\pi+\cfrac{2-a_n}{\pi}\Big[-\cfrac{1}{2}\cos 2t\Big]_0^\pi$
$=\cfrac{b_n}{\pi}\cdot\pi-\cfrac{2-a_n}{2\pi}\Big[\cos 2t\Big]_0^\pi$
$=\cfrac{b_n}{\pi}\cdot\pi-\cfrac{2-a_n}{2\pi}(1-1)$

したがって
$a_{n+1}=b_n$ (答え)

また

$\displaystyle b_n=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_n(t)\cos t\space dt$ より
$\displaystyle b_{n+1}=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi f_{n+1}(t)\cos t\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi\{b_n\sin t+(2-a_n)\cos t\}\cos t\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi b_n\sin t\cos t\space dt+\cfrac{2}{\pi}\int_0^\pi(2-a_n)\cos^2 t\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{2b_n}{\pi}\int_0^\pi \sin t\cos t\space dt+\cfrac{2(2-a_n)}{\pi}\int_0^\pi\cos^2 t\space dt$

2倍角の公式と
半角の公式 $\cos^2 x=\cfrac{1+\cos 2x}{2}$

を用いて

$\displaystyle=\cfrac{b_n}{\pi}\int_0^\pi \sin 2t\space dt+\cfrac{2(2-a_n)}{\pi}\int_0^\pi\cfrac{1+\cos 2t}{2}\space dt$
$\displaystyle=\cfrac{b_n}{\pi}\int_0^\pi \sin 2t\space dt+\cfrac{2-a_n}{\pi}\int_0^\pi 1+\cos 2t\space dt$
$=\cfrac{b_n}{\pi}\Big[-\cfrac{1}{2}\cos 2t\Big]_0^\pi+\cfrac{2-a_n}{\pi}\Big[t+\cfrac{1}{2}\sin 2t\Big]_0^\pi$
$=-\cfrac{b_n}{2\pi}(0-0)+\cfrac{2-a_n}{\pi}\cdot\pi$

したがって
$b_{n+1}=2-a_n$ (答え)

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循環する数列を求める

(2)に進みます。

まず,$c_{n+2}=-c_n$ は簡単に示すことができます。
$c_n=a_n-1$ より
$c_{n+2}=a_{n+2}-1$
(1)より
$=b_{n+1}-1$
$=2-a_n-1$
$=-a_n+1$
$=-c_n$ (答え)

次に一般項を求めます。

とは言っても,規則性みたいなのがみつからないよね。

等比とか階差数列とかの形にならないです。

こういうときは,とりあえず $c_1$ から順番に作ってみて考えてみます。

$c_1=a_1-1$
$c_2=a_2-1=b_1-1$
$c_3=-a_1+1$
$c_4=-b_1+1$
$c_5=a_1-1$

規則性見える?

一つ飛びで符号が逆になってますね。

もう一つ言えば,$c_5=c_1$ です。よって,これ以降の項は $c_1$ ~ $c_4$ を繰り返していくはずです。

奇数と偶数のときで式が違うので,分けて考えてみます。

(i) $n$ が奇数のとき

$k$ を整数として
$c_n=(a_1-1)(-1)^k$

$k$ を順番に変化させると,$(-1)^0=1,(-1)^1=-1,(-1)^2=1,\cdots$ となり,$k$ の値によって符号が入れ替わることになります。
ただし,答えは $k$ のままではダメなので,$n$ の式に直します。
$n$ が $1,3,5,\cdots$ のとき $k$ を $0,1,2,\cdots$ と変化させたいので
$n=2k+1$
とすればつじつまが合います。よって
$k=\cfrac{n-1}{2}$

したがって
$c_n=(a_1-1)(-1)^{\small\frac{n-1}{2}}$

(ii) $n$ が偶数のとき
$c_n=(b_1-1)(-1)^k$
今度は $n$ が $2,4,6,\cdots$ のとき $k$ を $0,1,2,\cdots$ と変化させたいので
$n=2k+2$
$k=\cfrac{n-2}{2}$

したがって
$c_n=(b_1-1)(-1)^{\small\frac{n-2}{2}}$

(答え)
$c_n=(a_1-1)(-1)^{\small\frac{n-1}{2}}$ ($n$ が奇数のとき)
$c_n=(b_1-1)(-1)^{\small\frac{n-2}{2}}$ ($n$ が偶数のとき)

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定数となる条件を見つける

(3)に進みます。
(2)を手掛かりに考えていきます。

$a_n$ と $b_n$ が $n$ の値によらず定数になるということは,$c_n$ も定数になるはずです。

$c_n=a_n-1$

でした。

また,(1)より $a_{n+1}=b_n$ だから,$a_n$ が定数であれば $b_n$ も定数です。

さらに

$c_n=(a_1-1)(-1)^{\small\frac{n-1}{2}}$ ($n$ が奇数のとき)
$c_n=(b_1-1)(-1)^{\small\frac{n-2}{2}}$ ($n$ が偶数のとき)

から考えると,$c_n$ が$n$ の値によらず定数になる条件は,

$a_1-1=0$
$b_1-1=0$

ということになります。つまり,0 のかけ算なら,$n$ の値によらず,$c_n$ はすべて 0 ということです。

よって
$a_1=1,b_1=1$ とすると
(1)より,$a_{n+1}=b_n$,$b_{n+1}=2-a_n$ だから
$a_2=b_1=1$
$b_2=2-a_1=1$
$a_3=b_2=1$
$b_3=2-a_2=1$
・・・

となり,$a_n=1,b_n=1$ である。

したがって
$f_{n+1}(x)=1\cdot\sin x+(2-1)\cos x$
$=\sin x+\cos x$

つまり,$f_{n+1}$ は $n$ の値によらず,一定です。

$f_1(x)=f(x)$ だから
$f(x)=\sin x+\cos x$ (答え)

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