なぜ運動しても痩せないのか? 運動以外のさまざまな要因がダイエットに影響している

現代人にとってダイエットは大きなテーマです。たとえ高額な費用をかけ苦痛を伴うトレーニングを耐えてでも、スリムな体を手に入れたい。それはメディアを通じた刺激の反復によって私たちの意識の中で常に呼び起こされる欲求となっています。もちろんダイエットは健康の面から言っても重要であり、肥満を解消することは悪いことではありません。

私たちがダイエットを想像するとき、ランニングマシーンの上で懸命に走る人の姿をイメージするかもしれません。しかし、肥満についての専門家たちは運動をしてもなかなか痩せられない理由はそれ以外にあると考えています。

”あらゆる科学的証拠がその反対であるにもかかわらず、なぜ人々は運動が体重を減らすことにつながると信じ続けるのだろうか。身体的により活動的である人々ほど、概して、より健康であるので、公衆衛生当局者たちは運動を思いとどまらせることを渋ってきた。そのうえ、運動は体重を減らすために不可欠であるという考えを完全に排除することは専門家でさえ困難である。一つの事例を挙げると、エール大学の心理学者ケリー・ブロウネルは、肥満の患者により運動をし、食事をより減らすように促すことによって長年に渡り治療した。「その結果は非常に失望するものでした。」と彼は言う。「参加者のおよそ5パーセントだけが体重を減らし続けることができました。現在、私はより多く運動することに代わって、より良い食習慣に焦点を当てています。」”(福井県立大)

なぜ、運動しても痩せないのか

運動は大切だが、そこには副作用もある。

運動をしてもやせない理由の一つは、運動をすると食欲が刺激されるということです。運動をすると同時に、より多く食べたいという欲求が生まれます。調査によれば、人間はカロリーを多く燃やすほど燃やした以上のカロリーを求めようとする傾向があるようです。その欲求を精神的にきちんとコントロールしないと、運動したのに余計に太ることになるのです。

二つ目は、私たちにとって脂肪は不要なものではないということです。生物は取り入れる食物の中から不要なものを排出するように進化しますが、そもそも人間は脂肪を不要なものとして排出するように進化していません。従って、人間は体の構造として脂肪を減らすことが得意ではありません。

三つ目の理由は、運動をすることによってむしろそれ意外の時間における活動量が減少することです。運動をすると疲れてぐったりとしてしまうので、運動をしていない時間の活動量が減り、運動によるカロリー燃焼の効果が相殺されてしまうのです。

それ以外にも理由があります。専門家はダイエットに必要な運動は1日に1時間であると推奨しています。しかし、忙しい現代人のライフスタイルを考えたときに、この数字はあまり現実的ではありません。

運動をすることは成人病の予防の観点から言えばとても大切なことです。しかし、ダイエットの視点から言えば、その効果を相殺する要因が多くあるために、結果的に意味がないことが多いのです。