千葉大数III高校数学の解法

【数学III複素数平面】複素数の式と方程式の解(千葉大)

複素数 $z=\cos\cfrac{2\pi}{9}+i\sin\cfrac{2\pi}{9}$ に対し,$\alpha=z+z^8$ とおく。$f(x)$ は整数係数の $3$ 次多項式で,$3$ 次の係数が $1$ であり,かつ $f(\alpha)=0$ となるものとする。ただし,すべての係数が整数である多項式を,整数係数の多項式という。
(1) $f(x)$ を求めよ。ただし,$f(x)$ がただ一つに決まることは証明しなくてよい。
(2) $3$ 次方程式 $f(x)=0$ の $\alpha$ 以外の $2$ つの解を,$\alpha$ の $2$ 次以下の,整数係数の多項式の形で表せ。(千葉大2018)

式変形がかなりやっかいだから,そのへんのテクニックを盗んでいくのが今回の目標。

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2つのルートでαの3乗を求める

(1) から考えていきます。まず,ド・モアブルの定理
$(\cos x+i\sin x)^n=\cos nx+i\sin nx$
を思い出しましょう。そうすると
$z^9=\cos \Big(9\cdot\cfrac{2\pi}{9}\Big)+i\sin\Big(9\cdot\cfrac{2\pi}{9}\Big)$
$=\cos2\pi+i\sin2\pi=1$
が成り立ちます。

$\cos\cfrac{2\pi}{9}$ とかは具体的に求めることができないから,とりあえず $\cfrac{2\pi}{9}$ の倍数で具体的に値が出せるヤツを作ってみようという発想。

よって
$z^9=z\cdot z^8=1$
$z^8=\cfrac{1}{z}$
となります。また,$z$ は複素平面上で原点からの長さが $1$ になるので $|z|=1$ です。
$|z|=1$
$z\bar{z}=1$
$\bar{z}=\cfrac{1}{z}$
つまり
$z^8=\bar{z}$
したがって
$\alpha=z+\bar{z}$

ここから何したらいいの?


問題文を見てみると,求めたい関数 $f(x)$ は
$f(x)=x^3+px^2+qx+r$
という形だと考えられます。そして $x=\alpha$ のとき
$f(\alpha)=\alpha^3+p\alpha^2+q\alpha+r=0$ ・・・①
となります。

とりあえず式に $\alpha^3$ があるので,これを考えてみるといいよ。

これ計算したら $\alpha=z+\bar{z}$ だから, $\alpha=2\cos\cfrac{2\pi}{9}$ ってなります。

そうそう,$\alpha$ って求めることできるよね。で,$\alpha^3$ は?

$\alpha^3=8\cos^3\cfrac{2\pi}{9}$ です。

じゃあ,①に代入して$8\cos^3\cfrac{2\pi}{9}+p\cdot4\cos^2\cfrac{2\pi}{9}+q\cdot2\cos\cfrac{2\pi}{9}+r=0$ってことか。そこから,$p,q,r$ 求められる?

お手上げです。

ということは,それ失敗ってこと。失敗は当然しても良いのだけれど,失敗したときに別の突破口見つけられるかどうかが大事。

別のルート考えるよ。


$\alpha^3=(z+\bar{z})^3=z^3+3z^2\bar{z}+3z\bar{z}^2+\bar{z}^3$
$z\bar{z}=1$ だから
$=z^3+3z+3\bar{z}+\bar{z}^3$
$=z^3+\bar{z}^3+3(z+\bar{z})$
$=z^3+\bar{z}^3+3\alpha$ ・・・②
ここで
$z^3=\Big(\cos\cfrac{2\pi}{9}+i\sin\cfrac{2\pi}{9}\Big)^3$
$=\cos\cfrac{2\pi}{3}+i\sin\cfrac{2\pi}{3}$
同様に
$\bar{z}^3=\cos\cfrac{2\pi}{3}-i\sin\cfrac{2\pi}{3}$
よって
$z^3+\bar{z}^3=2\cos\cfrac{2\pi}{3}$
$=2\cdot\Big(-\cfrac{1}{2}\Big)=-1$
これを②に代入すると
$\alpha^3=-1+3\alpha$
移項して
$\alpha^3-3\alpha+1=0$
これと①を比べると,$p=0$,$q=-3$,$r=1$ とすると,恒等式が成り立つことが分かる。つまり
$f(\alpha)=\alpha^3-3\alpha+1=0$
したがって
$f(x)=x^3-3x+1$ (答え)

実際のところ問題文に断り書きがされている通りで,$x=\alpha$ を代入したときに $=0$ になる関数がこの形だけであると断定することはできず,あくまであり得る形の一つを示したということです。

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3 倍角の公式を使う

(2)に進みます。
まず,(1)をやっているときに $\alpha=2\cos\cfrac{2\pi}{9}$ が解の一つであることが分かりました。
$f(\alpha)=\alpha^3-3\alpha+1=0$
$f\Big(2\cos\cfrac{2\pi}{9}\Big)=8\cos^3\cfrac{2\pi}{9}-6\cos\cfrac{2\pi}{9}+1=0$ ・・・③

ここで使うといいのが3倍角の公式

$\cos 3x=4\cos^3 x-3\cos x$

なんで?

式に $\cos^3$ と $\cos$ 入ってるから上の式と似てるでしょ?だから,これ利用できるんじゃないかってこと。

文字を $\theta$ にして
$2\cos 3\theta=8\cos^3 \theta-6\cos \theta$
$2\cos 3theta=(2\cos\theta)^3-3(2\cos\theta)$
$2\cos 3\theta+1=(2\cos\theta)^3-3(2\cos\theta)+1$ ・・・④
ここで
$f(2\cos\theta)=(2\cos\theta)^3-3(2\cos\theta)+1=0$
とすると,$\theta=\cfrac{2\pi}{9}$ のとき $2\cos\cfrac{2\pi}{9}$ は解の一つである。

ようするに $f\Big(2\cos\cfrac{2\pi}{9}\Big)$ って③の式のことでしょ?

頭こんがらがってきた。


話を始めから整理すると,もともと
$f(x)=x^3-3x+1$
という関数があって,$x$ に $2\cos\cfrac{2\pi}{9}$ を代入するとイコール $0$ になるということでした。このように値を代入してイコール $0$ になるものを方程式の解と言います。

でしたね。


ここで,代入してイコール $0$ になる $2\cos\theta$ は,実は $\cfrac{2\pi}{9}$ だけではなく,他にも存在します。

他に何があるの?

それを3倍角の公式使って求める。

$f(2\cos\theta)=(2\cos\theta)^3-3(2\cos\theta)+1=0$
④より
$f(2\cos\theta)=2\cos3\theta+1=0$
$2\cos3\theta+1=0$
$\cos3\theta=-\cfrac{1}{2}$
これが成り立つ $\theta$ はたくさんあると言えますが,関数が3次関数であるなら解は3つです。
$3\theta=\cfrac{2\pi}{3},\cfrac{4\pi}{3},\cfrac{8\pi}{3}$
$\theta=\cfrac{2\pi}{9},\cfrac{4\pi}{9},\cfrac{8\pi}{9}$
つまり,$\theta$ がこれらの値のときに $f(2\cos\theta)=0$ が成り立つということです。

言い換えると,$\Big(2\cos\cfrac{4\pi}{9}\Big)^3-3\Big(2\cos\cfrac{4\pi}{9}\Big)+1=0$が成立する。ただこれはそのまま計算できないから,3倍角の公式を使って初めてわかることだよね。

じゃあ,$2\cos\cfrac{4\pi}{9}$ と $2\cos\cfrac{8\pi}{9}$ が残りの2つの解か。

そういうこと。ただ,今回の問題がやっかいなのはそれを $\alpha$ 使って表せってところ。しかも2次以下って言ってるから,$\alpha^3$ とか却下っていうルール設定。

$\cfrac{2\pi}{9}$ を2倍したものが $\cfrac{4\pi}{9}$ だから,もう一度ド・モアブルの話に戻る。

今回,ドさん大活躍ですね。

普通そう呼ばない。

$\alpha^2=(z+\bar{z})^2=z^2+2z\bar{z}+\bar{z}^2$
$=z^2+\bar{z}^2+2$

確認だけど,もともと $z$ は原点からの距離が1だから $|z|=1$ で $|z|^2=1$,$z\bar{z}=1$ ってことだったよね。

ここで
$z^2=\Big(\cos\cfrac{2\pi}{9}+i\sin\cfrac{2\pi}{9}\Big)^2$
$=\cos\cfrac{4\pi}{9}+i\sin\cfrac{4\pi}{9}$
同様にして
$\bar{z}^2=\cos\cfrac{4\pi}{9}-i\sin\cfrac{4\pi}{9}$
よって
$\alpha^2=\cos\cfrac{4\pi}{9}+i\sin\cfrac{4\pi}{9}+\cos\cfrac{4\pi}{9}-i\sin\cfrac{4\pi}{9}+2$
$\alpha^2=2\cos\cfrac{4\pi}{9}+2$
移項して
$2\cos\cfrac{4\pi}{9}=\alpha^2-2$
また
$\alpha^4=(z+\bar{z})^4=\{(z+\bar{z})^2\}^2$
$=(z^2+\bar{z}^2+2z\bar{z})^2$
$=(z^2+\bar{z}^2+2)^2$
ここで,公式 $(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca$ を用いると
$=z^4+\bar{z}^4+4+2z^2\bar{z}^2+4\bar{z}^2+4z^2$
$=z^4+\bar{z}^4+4z^2+4\bar{z}^2+6$
$=z^4+\bar{z}^4+4(z^2+\bar{z}^2)+6$
また
$z^4=\Big(\cos\cfrac{2\pi}{9}+i\sin\cfrac{2\pi}{9}\Big)^4$
$=\cos\cfrac{8\pi}{9}+i\sin\cfrac{8\pi}{9}$
同様に
$\bar{z}^4=\cos\cfrac{8\pi}{9}-i\sin\cfrac{8\pi}{9}$
よって
$\alpha^4=\cos\cfrac{8\pi}{9}+i\sin\cfrac{8\pi}{9}+\cos\cfrac{8\pi}{9}-i\sin\cfrac{8\pi}{9}+4\Big(2\cos\cfrac{4\pi}{9}\Big)+6$
$=2\cos\cfrac{8\pi}{9}+8\cos\cfrac{4\pi}{9}+6$
$=2\cos\cfrac{8\pi}{9}+4\Big(2\cos\cfrac{4\pi}{9}\Big)+6$
$=2\cos\cfrac{8\pi}{9}+4(\alpha^2-2)+6$
$=2\cos\cfrac{8\pi}{9}+4\alpha^2-8+6$
$\alpha^4=2\cos\cfrac{8\pi}{9}+4\alpha^2-2$
移項して
$2\cos\cfrac{8\pi}{9}=\alpha^4-4\alpha^2+2$
(1)で求めた $\alpha^3=-1+3\alpha$ を用いて
$=\alpha\cdot\alpha^3-4\alpha^2+2$
$=\alpha(-1+3\alpha)-4\alpha^2+2$
$=-\alpha+3\alpha^2-4\alpha^2+2$
$=-\alpha^2-\alpha+2$
したがって
$\alpha^2-2$,$-\alpha^2-\alpha+2$ (答え)

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