【数III数列の極限】はさみうちの原理をいつ使うのか分からない
不等式を作る
[問題] $a$,$b$ は,$0$ < $a$ < $b$ を満たす定数とし,$n$ を自然数とする。
(1) 不等式 $n\log_2 b$ < $\log_2(a^2+b^2)$ < $n\log_2 b+1$ が成り立つことを証明せよ。
(2) 極限値 $\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\sqrt[n]{a^n+b^n}$ を求めよ。(広島大)
不等式の証明は一気にできなくもないのですが,今回はなるべく丁寧にいきます。まず,不等式を左側と右側に分けて考えましょう。まず対数の公式より
$n\log_2b=\log_2b^n$
と変形できます。また
条件 $0$ < $a$ < $b$ より $b^n$ < $a^n+b^n$
が成り立ちます。$a$ は正の数だから,それを足したらもとの $b^n$ より大きな数になるのは当然です。
対数は $M$ < $N$ なら $\log_a M$ < $\log_a N$ の関係が成り立つので
$\log_2b^n$ < $\log_2(a^n+b^n)$ だから
$n\log_2b$ < $\log_2(a^n+b^n)$
これで不等式の左側の証明ができました。次に右側を考えます。$1$ を対数にしましょう。
$1=\log_2 2$ だから
$n\log_2b+1=\log_2b^n+\log_2 2$
対数の公式 $\log_a M+\log_a N=\log_a M\cdot N$ より
$=\log_2 2b^n$
ここで $2b^n=b^n+b^n$ とすると
$a$ < $b$
$a^n$ < $b^n$
両辺に $b^n$ を加えて
$a^n+b^n$ < $b^n+b^n$
よって
$\log_2(a^n+b^n)$ < $\log_2(b^n+b^n)$
$\log_2(a^n+b^n)$ < $\log_2b+1$
したがって
$n\log_2 b$ < $\log_2(a^n+b^n)$ < $n\log_2 b+1$ (証明終わり)
不等式からはさみうちに持ち込む
次に $\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\sqrt[n]{a^n+b^n}$ を考えます。
$\sqrt[n]{a^n+b^n}=(a^n+b^n)^{\frac{1}{n}}$ だから
$\log_2(a^n+b^n)^{\frac{1}{n}}=\cfrac{1}{n}\log_2(a^n+b^n)$
つまり(1)で証明した不等式は
$n\log_2 b$ < $\log_2(a^n+b^n)$ < $n\log_2 b+1$
$\log_2 b$ < $\cfrac{1}{n}\log_2(a^n+b^n)$ < $\log_2 b+\cfrac{1}{n}$
$\log_2 b$ < $\log_2\sqrt[n]{a^n+b^n}$ < $\log_2 b+\cfrac{1}{n}$
と変形できます。
ここではさみうちの原理を使いましょう。
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\log_2b=\log_2b$
また
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\log_2b+\cfrac{1}{n}=\log_2b+0=\log_2b$
よって,はさみうちの原理より
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\log_2\sqrt[n]{a^n+b^n}=\log_2b$
したがって
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\sqrt[n]{a^n+b^n}=b$ (答え)
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