千葉大数III高校数学の解法

ド・モアブルの定理を用いて共役複素数を整理する(千葉大)

$z=\cos\cfrac{2\pi}{7}+i\sin\cfrac{2\pi}{7}$ ($i$は虚数単位)とおく。(千葉大2016)

(1) $z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6$ を求めよ。
(2) $\alpha=z+z^2+z^4$ とするとき,$\alpha+\bar{\alpha}$,$\alpha\bar{\alpha}$ および $\alpha$ を求めよ。ただし,$\bar{\alpha}$ は $\alpha$ の共役複素数である。
(3) $(1-z)(1-z^2)(1-z^3)(1-z^4)(1-z^5)(1-z^6)$ を求めよ。

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因数定理を用いて方程式を因数分解する

(1)から進めます。

解き方決まっていてパターンで解く定番。

まず,$\cfrac{2\pi}{7}$ は 7 倍すると $2\pi$ となります。

つまり偏角がちょうどぐるっと 1 周して 0 に戻る。

ド・モアブルの定理より

$z^7=\Big(\cos\cfrac{2\pi}{7}+i\sin\cfrac{2\pi}{7}\Big)^7$
$=\cos\Big(7\cdot\cfrac{2\pi}{7}\Big)+i\sin\Big(7\cdot\cfrac{2\pi}{7}\Big)$
$=\cos 2\pi+i\sin2\pi=1$

次に,$z^7=1$ を移項して

$z^7-1=0$ ・・・①

ここも何で移項するの?とか考えないでパターンとして処理した方がいいだろうね。

方程式の解の一つは 1 だから,因数定理より式は $z-1$ で割り切れる。

組立除法を用いて

$\begin{aligned}z^7&&z^6&&z^5&&z^4&&z^3&&z^2&&z^1&&&&|\underline{1}\\1&&0&&0&&0&&0&&0&&0&&-1\\&&1&&1&&1&&1&&1&&1&&1\\\hline 1&&1&&1&&1&&1&&1&&1&&0\\z^6&&z^5&&z^4&&z^3&&z^2&&z^1\end{aligned}$

よって①は

$(z-1)(z^6+z^5+z^4+z^3+z^2+z+1)=0$

と因数分解できる。

ここで,恒等式が成立するのは $z=1$ か $z^6+z^5+z^4+z^3+z^2+z+1=0$ のときです。

どちらかの状態ならイコール 0 が成り立つってこと。

しかし,もともと問題文で $z=\cos\cfrac{2\pi}{7}+i\sin\cfrac{2\pi}{7}$ となっていたので,$z$ ≠ $1$ です。したがって

$z^6+z^5+z^4+z^3+z^2+z+1=0$
$z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6=-1$ (答え)

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共役複素数との相互関係

(2)に進みます。

$\alpha=z+z^2+z^4$ だから
$\bar{\alpha}=\bar{z}+\overline{z^2}+\overline{z^4}$

ここから計算上,複素数と共役複素数を使っていくんだけど,両者の関係を押さえて。

たとえば

$z=\cos\cfrac{2\pi}{7}+i\sin\cfrac{2\pi}{7}$
$\bar{z}=\cos\cfrac{2\pi}{7}-i\sin\cfrac{2\pi}{7}$
$=\cos\Big(-\cfrac{2\pi}{7}\Big)+i\sin\Big(-\cfrac{2\pi}{7}\Big)$
$=z^6$

ド・モアブルの定理から言えば,複素数を 2 乗することと偏角を 2 倍することは同じであり,3 乗,4 乗・・・とすれば偏角 3 倍,4 倍・・・となります。

また,共役な複素数では偏角が反対回りで進んでいきます。図を見れば,$z^2=\overline{z^5}$,$\overline{z^2}=z^5$ など,共役な複素数との間にさまざまな相互関係があることが分かります。

これらを使って,式を作っていきます。

$\bar{\alpha}=\bar{z}+\overline{z^2}+\overline{z^4}$
$=z^6+z^5+z^3$

したがって

$\alpha+\bar{\alpha}=z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6=-1$ (答え)

次に $\alpha\bar{\alpha}$ を求めます。

$\alpha\bar{\alpha}=(z+z^2+z^4)(\bar{z}+\overline{z^2}+\overline{z^4})$
$=z\bar{z}+z\overline{z^2}+z\overline{z^4}+z^2\bar{z}+z^2\overline{z^2}+z^2\overline{z^4}+z^4\bar{z}+z^4\overline{z^2}+z^4\overline{z^4}$

ここで,公式 $z\bar{z}=|z|^2$ を思い出す。

$|z|=1$ だから $z\bar{z}=|z|^2=1$ より

これどういうことでしたっけ?

極形式ってもともと $z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ という形だった。問題文の $z=\cos\cfrac{2\pi}{7}+i\sin\cfrac{2\pi}{7}$ は $r=1$ と解釈できるよね。$r$ ってのは原点からの距離で,$|z|$ も原点からの距離のことだから,$|z|=1$ となる。

$r$ と $|z|$ は同じってこと?

そゆこと。同じ。

$z\overline{z^2}=z\bar{z}\cdot\bar{z}=|z|^2\bar{z}=\bar{z}$ のように計算していくと
$=1+\bar{z}+\overline{z^3}+z+1+\overline{z^2}+z^3+z^2+1$

さっきの共役複素数との関係思い出して。

$=1+z^6+z^4+z+1+z^5+z^3+z^2+1$
$=z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6+3$

(1)より $z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6=-1$ を用いて

$=-1+3=2$ (答え)

最後に $\alpha$ を求めます。2 数の和と積を求めたので解と係数の関係を使うとよいでしょう。

解と係数の関係
$ax^2+bx+c=0$ の解を $\alpha$,$\beta$ とすると
$\alpha+\beta=-\cfrac{b}{a}$,$\alpha\beta=\cfrac{c}{a}$

$\alpha$,$\bar{\alpha}$ を方程式の解とみなすと
$\alpha+\bar{\alpha}=-1$,$\alpha\bar{\alpha}=2$ より
$x^2+x+2=0$
$x=\cfrac{-1\pm\sqrt{1-8}}{2}$
$=\cfrac{-1\pm\sqrt{7}i}{2}$

したがって

$\alpha=\cfrac{-1+\sqrt{7}i}{2}$ (答え)

これで,$\bar{\alpha}=\cfrac{-1-\sqrt{7}i}{2}$ って考えたら,ちゃんとつじつまが合う。

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前の問題で用いた形に式を合わせていく


(3)に進みます。

(2)でやった共役複素数の関係と $\alpha$,$\bar{\alpha}$ を使って式を整理していきます。

$(1-z)(1-z^2)(1-z^3)(1-z^4)(1-z^5)(1-z^6)$
$=(1-z)(1-z^2)(1-\overline{z^4})(1-z^4)(1-\overline{z^2})(1-\bar{z})$

$\alpha$ と $\bar{\alpha}$ の中身を見ながら合わせていく感じで。

$=(1-z)(1-z^2)(1-z^4)(1-\bar{z})(1-\overline{z^2})(1-\overline{z^4})$

ここで

$(1-z)(1-z^2)(1-z^4)$
$=(1-z-z^2+z^3)(1-z^4)$
$=1-z^4-z+z^5-z^2+z^6+z^3-z^7$

$z^7=1$ だったのを思い出して。

$=1-z^4-z+\overline{z^2}-z^2+\bar{z}+\overline{z^4}-1$
$=-z-z^2-z^4+\bar{z}+\overline{z^2}+\overline{z^4}$
$=\bar{\alpha}-\alpha$

また

$(1-\bar{z})(1-\overline{z^2})(1-\overline{z^4})$
$=(1-\overline{z^2}-\bar{z}+\overline{z^3})(1-\overline{z^4})$
$=1-\overline{z^4}-\overline{z^2}+\overline{z^6}-\bar{z}+\overline{z^5}+\overline{z^3}-\overline{z^7}$
$=1-\overline{z^4}-\overline{z^2}+z-\bar{z}+z^2+z^4-1$
$=z+z^4+z^4-\bar{z}-\overline{z^2}-\overline{z^4}$
$=\alpha-\bar{\alpha}$

よって与式は

$(\bar{\alpha}-\alpha)(\alpha-\bar{\alpha})=\alpha\bar{\alpha}-\overline{\alpha^2}-\alpha^2+\alpha\bar{\alpha}$
$=2-(\alpha^2+\overline{\alpha^2})+2$
$=4-(\alpha+\overline{\alpha})^2+2\alpha\overline{\alpha}$
$=4-(-1)^2+2\cdot2$
$=7$ (答え)

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