【数IIB】相加相乗平均を使って最大値を求める 分数式での使い方(千葉大2010第9問)
$a$ を 1 より大きい実数とし,座標平面上に,点 O(0,0),A(1,0) をとる。
曲線 $y=\cfrac{1}{x}$ 上の点 P $\Big(p,\cfrac{1}{p}\Big)$ と,曲線 $y=\cfrac{a}{x}$ 上の点 Q $\Big(q,\cfrac{a}{q}\Big)$ が,3条件
(1) $p$ > 0,$q$ > 0
(2) ∠AOP < ∠AOQ
(3) △OPQ の面積は 3 に等しい
をみたしながら動くとき,$\tan$ ∠POQ の最大値が $\cfrac{3}{4}$ となるような $a$ の値を求めよ。(千葉大2010)
ここでは相加相乗平均の使い方を学習します。
tan の加法定理を使う
$\tan(\alpha+\beta)=\cfrac{\tan\alpha\pm\tan\beta}{1\mp\tan\alpha\tan\beta}$
∠AOP = $\alpha$,∠AOQ = $\beta$ とすると
$\tan(\beta-\alpha)=\cfrac{\tan\beta-\tan\alpha}{1+\tan\alpha\tan\beta}$
となります。
ここで,$\tan$ を求めると
$\tan\alpha=\cfrac{\space\cfrac{1}{p}\space}{p}=\cfrac{\space\cfrac{1}{p}\times p\space}{p\times p}=\cfrac{1}{p^2}$
また
$\tan\beta=\cfrac{\cfrac{a}{q}}{q}=\cfrac{a}{q^2}$
よって
$\tan(\beta-\alpha)=\cfrac{\cfrac{a}{q^2}-\cfrac{1}{p^2}}{1+\cfrac{1}{p^2}\cdot\cfrac{a}{q^2}}$
$=\cfrac{\Big(\cfrac{a}{q^2}-\cfrac{1}{p^2}\Big)\times p^2q^2}{\Big(1+\cfrac{1}{p^2}\cdot\cfrac{a}{q^2}\Big)\times p^2q^2}$
$=\cfrac{ap^2-q^2}{p^2q^2+a}$ ・・・①
三角形の面積
問題文より,これの最大値が $\cfrac{3}{4}$ になる場合を考えることになります。とは言え,このままではどうしようもないので面積が 3 であるという条件について式を立ててみます。
ここで公式を思い出しましょう。
三角形の面積 $S=\cfrac{1}{2}|x_1y_2-x_2y_1|$
△OPQ = $\cfrac{1}{2}\Big|p\cdot\cfrac{a}{q}-\cfrac{1}{p}\cdot q\Big|$
$\cfrac{1}{2}\Big|\cfrac{ap^2-q^2}{pq}\Big|=3$
$\cfrac{|ap^2-q^2|}{|pq|}=6$
$p$ > 0,$q$ > 0 だから $|pq|=pq$
$|ap^2-q^2|=6pq$
これを①に代入します。①が $\cfrac{3}{4}$ だとしたら,それは正の値です。①の分母は正の値だから分子も正の値です。よって絶対値の記号をはずしても構いません。
$\tan(\beta-\alpha)=\cfrac{6pq}{p^2q^2+a}$
相加相乗平均の用い方
ここから式の最大値が $\cfrac{3}{4}$ である,という条件を考えます。
相加相乗平均
$a+b$ ≧ $2\sqrt{ab}$ (等号成立は $a=b$ のとき)
相加相乗平均より
$p^2q^2+a$ ≧ $2\sqrt{ap^2q^2}$
$p^2q^2+a$ ≧ $2pq\sqrt{a}$
等号成立は $p^2q^2=a$ つまり $pq=\sqrt{a}$ のとき。
よって
$\cfrac{6pq}{p^2q^2+a}=\cfrac{6\sqrt{a}}{a+a}=\cfrac{3\sqrt{a}}{a}$
最大値は $\cfrac{3}{4}$ だから
$\cfrac{3\sqrt{a}}{a}=\cfrac{3}{4}$
$\cfrac{1}{\sqrt{a}}=\cfrac{1}{4}$
$a=16$ (答え)
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