【数Ⅱ指数対数】なぜ対数というものがあるのか?(3) n乗根を求める方法

対数の実用例として、ある数の $n$ 乗根を求める方法があります。

これも関数電卓があれば話は早いのですが、関数電卓が無かった時代に戻ってどうすれば $n$ 乗根が求められるのか考えてみましょう。

$139437$ の $4$ 乗根を常用対数表を用いて、近似値で求めよ。
何やっていいかさっぱり分からない。
学校で習った対数の知識を使ってちゃんと解けるから、いっぺんトライしてみて。ちなみに、関数電卓を使えば $19.32399176$ という値が出てくるから、これに近い答えが出ればオッケーだよ。

とりあえず対数を求める

とにかく対数を使うのですから、値を常用対数表で調べられる形に持っていきましょう。

$\sqrt[4]{139437}=\sqrt[4]{1.39\times10^5}$

教科書の常用対数表は3ケタで調べるので、有効数字3ケタの数になおしましょう。

$\displaystyle=(1.39\times10^5)^\frac{1}{4}\\\displaystyle=(1.39)^\frac{1}{4}\times10^\frac{5}{4}$

これの対数を求めます。底は $10$ としますが省略します。

$\displaystyle\log\left\{(1.39)^\frac{1}{4}\times10^\frac{5}{4}\right\}\\=\displaystyle\log(1.39)^\frac{1}{4}+\log10^\frac{5}{4}\\\displaystyle=\frac{1}{4}\log1.39+\frac{5}{4}\log10\\\displaystyle=\frac{1}{4}\log1.39+\frac{5}{4}\cdot1$

ここで常用対数表を見ると、$\log1.39=0.1430$ となっています。

$\displaystyle=\frac{1}{4}\times0.1430+\frac{5}{4}\\\displaystyle=0.03575+1.25\\\displaystyle\text{≒}1.286$

常用対数表で調べるために数値を細工する

ここから常用対数表を逆引きしていくのですが、常用対数表は $0$ から $1$ 未満の値で掲載されているので、$1$ を超えてしまうと逆引きできません。そこで、数値を細工していきます。

ここポイント。

$1.286=2\times0.643$

ここで、$0.643$ を常用対数表で逆引きします。$0.643$ に最も近い値を探してみると、$0.6425$ が見つかりました。元の値は $4.39$ です。よって

$1.286=2\log4.39$
$=\log4.39^2$

つまり

$\log\sqrt[4]{139437}=\log4.39^2\\\sqrt[4]{139437}=4.39^2\text{≒}19.27$

(答え)

本来は $19.32$ だから、誤差が出たけど近い値は出たよね。

対数も意味わからないし、常用対数とかなおさら意味不明って思ってたけど、4乗根出せるとかちょっと見直しました。

そうだね。関数電卓使えば答えはすぐに出せるだろうけど、それを自分の手でやってみるって結構楽しいよね。原理が分かれば楽しくなる、それが勉強だよね。