三角形 ABC について
∣AB∣=1,∣AC∣=2,∣BC∣=6
が成立しているとする。三角形 ABC の外接円の中心を O とし,直線 AO と外接円との A 以外の交点を P をする。(北海道大2020)
(1) AB と AC の内積を求めよ。
(2) AP=sAB+tAC が成り立つような実数 s,t を求めよ。
(3) 直線 AP と直線 BC の交点を D とするとき,線分 AD の長さを求めよ。
余弦定理を使ってコサインを求める
(1)から始めます。
内積を求めるので,公式を使います。
a⋅b=∣a∣∣b∣cosθ
よって
AB⋅AC=∣AB∣∣AC∣cos∠BAC
つまり,cos の値が必要になるので,余弦定理を使って求めてみます。
(6)2=12+22−2⋅1⋅2cos∠BAC
6=5−4cos∠BAC
4cos∠BAC=−1
cos∠BAC=−41
したがって
AB⋅AC=1⋅2⋅(−41)
=−21 (答え)
s, t を求める
(2)に進みます。
AP=sAB+tAC
このままではどうしようもないので,AP を別な方法で表してみることを考えます。
このように直線 BP と CP を引いてみると,AP が円の直径であることから,∠ABP = 90°,∠ACP = 90° となります。ここから,内積 0 の性質が使えそうです。
AP=AB+BP より
BP=AP−AB
=sAB+tAC−AB
=(s−1)AB+tAC
また,AP=AC+CP より
CP=AP−AC
=sAB+tAC−AC
=sAB+(t−1)AC
AB⋅BP=0 より
(s−1)∣AB∣2+tAB⋅AC=0
s−1−2t=0 ・・・①
AC⋅CP=0 より
sAB⋅AC+(t−1)∣AC∣2=0
−2s+4(t−1)=0 ・・・②
①,②を連立して
①より s=1+2t
②に代入
−21(1+2t)+4(t−1)=0
−21−4t+4t−4=0
両辺に 4 をかけて
−2−t+16t−16=0
15t=18
t=56
s=1+2t に代入して
s=1+21⋅56=58
したがって
(s,t)=(58,56) (答え)
ベクトルの k 倍を用いて長さを求める
(3)に進みます。
(2)で
AP=58AB+56AC
が分かりました。
ここから,AD を考えていきます。
AD は AP を短くしたものだから,実数 k を用いて
AD=kAP
=58kAB+56kAC
と表してみます。
また,点 D は BC 上の点でもあるので
58k+56k=1
が成り立ちます。
ベクトルの内分点
AB の内分点を C とするとき
OC=sOA+tOB
s+t=1
が成り立つ。
514k=1
k=145
よって
AD=145AP
=145⋅58AB+145⋅56AC
=74AB+73AC
長さを求めるには,両辺を 2 乗して絶対値を求めると良いです。
∣AD∣2=4916∣AB∣2+4924AB⋅AC+499∣AC∣2
=4916+4924(−21)+499⋅4
=4916−4912+4936
=4940
したがって
∣AD∣=7210 (答え)
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