【数Ⅱ剰余の定理】剰余の定理の応用 余りをさらに割っても余りが一致する仕組み

数式 $p(x)$ を $(x-1)^2$ で割ると余りが $4x-5$、$x+2$ で割ると余りが $-4$ である。このとき、$p(x)$ を $(x-1)^2(x+2)$ で割ったときの余りを求めよ。


今回ポイントになるのは、式を A で割った余りと、A×B で割った余りをさらに A で割った余りが一致するというところです。

さっぱり意味が分からないです。
実際の数字で考えてみると分かってくる。

余りをさらに割る、をコインでやってみる

ここにコインが17枚あるとします。コインを2で割ると商は8余りは1です。これは

17 = 2 × 8 + 1

と表すことができます。

もとの数 = 割る数 × 商 + 余り だったね。
2で割るんだから8のかたまりにならないの?
ものの見方の問題。17=2×8+1としても17=8×2+1としても同じようにイコールは成り立つよね?割り算って実はこうやって2で割るなら2ずつ引いていって何回引けるか?っていうやり方で求めることもできるのよ。
知らなかった。
コンピューターなんかも割り算を計算するときには電気回路の中で同じ方法で計算しているよ。

今度は17を2×3つまり6で割ってみます。そうすると商は2余りは5になります。そしてこの5を2で割ると商は2余りは1になります。さっきの場合と一致しました。式で表すとこういうことです

17 = ( 2 × 3 ) × 2 + 5

17 = ( 2 × 3 ) × 2 + 2 × 2 + 1

ここで上と下の図を比べてみましょう。

比べると分かるけど、結局上と下ってやってること同じだよね。
地道に2個ずつ引くか、最初はかたまりで引くかの違いってことね。

まとめるとこういうことです。17を2で割った余りと、17を2×3で割った余りをさらに2で割った余りは一致する。この考え方を使って実際の問題を解いてみましょう。

剰余の定理を用いて余りを求める

問題に戻りましょう。

数式 $p(x)$ を $(x-1)^2$ で割ると余りが $4x-5$、$x+2$ で割ると余りが $-4$ である。このとき、$p(x)$ を $(x-1)^2(x+2)$ で割ったときの余りを求めよ。

まずは もとの数 = 割る数 × 商 + 余り を使って式を作るよ。

$p(x)=(x-1)^2Q_1(x)+4x-5$ …①
$p(x)=(x+2)Q_2(x)-4$ …②

また、$p(x)$ を $(x-1)^2(x+2)$ で割った余りを $R(x)$ とすると

$p(x)=(x-1)^2(x+2)Q_3(x)+R(x)$ …③

$p(x)$ を $(x-1)^2(x+2)$ で割った余りをさらに $(x-1)^2$ で割った余りは $p(x)$ を $(x-1)^2$ で割った余りと一致する。

$R(x)$ を $(x-1)^2$ で割ったときの商を $k$ とすると、$R(x)=(x-1)^2k+4x-5$ となる。

こうやって余りをさらに割って,その商を $k$ でおくのが今回のポイント。

よって③は

$p(x)=(x-1)^2(x+2)Q_3(x)+(x-1)^2k+4x-5$ …④

同様に,$p(x)$ を $(x-1)^2(x+2)$ で割った余りをさらに $x+2$ で割った余りは $p(x)$ を $x+2$ で割った余りと一致する。

②からすると,この余りは $-4$ だよね。

ここで、④に $x=-2$ を代入すると

$p(-2)=(-2-1)^2k+4\cdot(-2)-5=9k-13$

また、②に $x=-2$ を代入すると

$p(-2)=-4$

よって

$9k-13=-4$

$x=1$ で代入したらダメですか?
ここでは $k$ の値を求めたいの。$x=1$ を④に代入すると $k$ が消えちゃうから、他の値じゃないとダメってこと。

よって $k=1$

$R(x)$ に $k=1$ を代入すると

$(x-1)^2\cdot 1+4x-5$
$=x^2-2x+1+4x-5$
$=x^2+2x-4$ (答え)

流れとしては、余りをさらに割った余りを考えてその商を求めると良い。