【数IA整数の性質】互いに素である自然数の組を用いた数式の証明(千葉大)

$p$ を $2$ でない素数とし,自然数 $m$,$n$ は

$(m+n\sqrt{p})(m-n\sqrt{p})=1$

を満たすとする。(千葉大2016)

(1) お互いに素な自然数の組 $(x,y)$ で

$m+n\sqrt{p}=\cfrac{x+y\sqrt{p}}{x-y\sqrt{p}}$

を満たすものが存在することを示せ。

(2) $x$ は (1) の条件を満たす自然数とする。$x$ が $p$ で割り切れないことと,$m$ を $p$ で割った余りが $1$ であることが,同値であることを示せ。

互いに素である自然数の組

(1)から進めます。

まず,問題文の式を変形していきます。

$(m+n\sqrt{p})(m-n\sqrt{p})=1$
$m^2-n^2p=1$ ・・・①

この式はあとで使います。次に

$m+n\sqrt{p}=\cfrac{x+y\sqrt{p}}{x-y\sqrt{p}}$ を変形して

$(m+n\sqrt{p})(x-y\sqrt{p})=x+y\sqrt{p}$
$mx-my\sqrt{p}+nx\sqrt{p}-npy=x+y\sqrt{p}$
$(m-1)x+nx\sqrt{p}=npy+(m+1)y\sqrt{p}$

左右で,実数=実数,無理数=無理数の関係が成り立つことを思い出しましょう。

$(m-1)x=npy$ ・・・③
$nx=(m+1)y$ ・・・④

③を $k$ 倍したものが④であるとすると

$(m-1)k=n$
$k=\cfrac{n}{m-1}$

また

$npk=m+1$
$k=\cfrac{m+1}{np}$

さらに

$\cfrac{n}{m-1}=\cfrac{m+1}{np}$
$n^2p=(m+1)(m-1)$
$n^2p=m^2-1$
$m^2-n^2p=1$

よって,①と一致する。

これで,$m$ と $n$ の関係が条件を満たすことが証明できました。あとは,③,④を満たす自然数の組 $(x,y)$ が存在することを示します。

④を $n$ と $m+1$ の最大公約数 $g$ で割ると

$\cfrac{n}{g}x=\cfrac{m+1}{g}y$

このとき,$\cfrac{n}{g}$ と $\cfrac{m+1}{g}$ は互いに素である自然数である

$x$ は $\cfrac{m+1}{g}$ の倍数,$y$ は $\cfrac{n}{g}$ の倍数だから,互いに素である自然数の組 $(x,y)$ が存在する。(証明終わり)

A → B,B → A の順に証明する

(2)に進みます。

まず,$x$ が $p$ で割り切れないとき,$m$ を $p$ で割った余りが $1$ であることを示し,次のその逆も成り立つことを示すことで,証明します。

(i) $x$ が $p$ で割り切れないとき

$(m-1)x=npy$ ・・・③

で考えてみます。$p$ が 2 でない素数で,かつ $x$ が $p$ で割り切れないということから,$x$ と $p$ は互いに素であると言えます。

つまり,$m-1$ は $p$ の倍数となるので,$k$ を整数とすると

$m-1=pk$
$m=pk+1$

となり,$m$ を $p$ で割ると 1 余る。

(ii) $m$ を $p$ で割った余りが 1 のとき

$nx=(m+1)y$ ・・・④

今度は④で考えます。

$k$ を整数として $m=pk+1$ とすると

$nx=(pk+1+1)y$
$nx=(pk+2)y$

$x,y$ は互いに素だから,$x$ は $pk+2$ の倍数である。

$h$ を整数とすると

$x=h(pk+2)$
$x=hk\cdot p+2h$

となる。$p$ は 2 でない素数だから,$x$ は $p$ で割り切れない。

(i),(ii)より,$x$ が $p$ で割り切れないことと,$m$ を $p$ で割った余りが $1$ であることが,同値である。(証明終わり)