【数IA・整数】5 で割った余りを使って式を証明する
(1) $x$ が自然数のとき,$x^2$ を $5$ で割ったときの余りは $0$,$1$,$4$ のいずれかであることを示せ。
(2) 自然数 $x$,$y$,$z$ が $x^2+5y=2z^2$ を満たすとき,$x$,$y$,$z$ はすべて $5$ の倍数であることを示せ。
(3) $x^2+5y^2=2z^2$ を満たす自然数 $x$,$y$,$z$ の組は存在しないことを示せ。(熊本大2020)
割る数×商+余り で表す
まず,(1)から考えていきましょう。
整数の性質として,ある数は 割る数×商+余り という形で表すことができます。たとえば,$13=5\times2+3$ などです。ある数を $5$ で割ったときの余りを考えるときには,いったんある数を $5$ の倍数×商+余り の形で表してみると良いです。
$x=5k+m$ ($k=0,1,2,\cdots$,$m=0,1,2,3,4$) とおく。
$m$ の値が $0,1,2,3,4$ のとき,$x^2$ を $5$ で割った余りをそれぞれ求めると
$x^2=(5k)^2=25k^2$ より,余りは $0$
$x^2=(5k+1)^2=25k^2+10k+1$
$=5(5k^2+2k)+1$ より,余りは $1$
$x^2=(5k+2)^2=25k^2+20k+4$
$=5(5k^2+4k)+4$ より,余りは $4$
$x^2=(5k+3)^2=25k^2+30k+9$
$=5(5k^2+6k+1)+4$ より,余りは $4$
$x^2=(5k+4)^2=25k^2+40k+16$
$=5(5k^2+8k+5)+1$ より,余りは $1$
したがって,$x^2$ を $5$ で割ったときの余りは $0,1,4$ のいずれかである。(証明終わり)
倍数の性質を利用する
(2)に進みます。
$x=5k+m$ ($k=0,1,2,\cdots$,$m=0,1,2,3,4$) とおく。
$x^2=(5k+m)^2$
$=25k^2+10km+m^2$
これを $x^2+5y=2z^2$ に代入すると
$25k^2+10km+m^2+5y=2z^2$
$5(5k^2+2km+y)+m^2=2z^2$
$2$ と $5$ は互いに素であるから,$z$ が $5$ の倍数になるのは $m^2=0$ のとき。よって $m=0$ である。
次に $x=5k$ とすると,与式は
$25k^2+5y=2z^2$
$5(5k^2+y)=2z^2$
よって,$z^2$ は $5$ の倍数である。$z$ は自然数だから,これを満たす $z$ は $5$ の倍数である。
$z$ は $5$ の倍数だから,$z=5n$ とおくと
$5(5k^2+y)=2(5n)^2$
$5(5k^2+y)=50n^2$
$5k^2+y=10n^2$
$y=10n^2-5k^2$
$y=5(2n^2-k^2)$
よって,$y$ は $5$ の倍数である。
したがって,$x,y,z$ はすべて $5$ の倍数である。(証明終わり)
矛盾を示して証明する
(3)に進みます。
(1)と(2)でやったことを踏まえて,$x=5k+m$ として証明すると良いでしょう。
$x^2+5y^2=2z^2$ を満たす自然数 $x,y,z$ が存在すると仮定すると
$x=5k+m$ $(m=0,1,2,3,4)$ とおくと
$x^2=25k^2+10km+m^2$
これを与式に代入すると
$25k^2+10km+m^2+5y^2=2z^2$
$5(5k^2+2km+y^2)+m^2=2z^2$
$5(5k^2+2km+y^2)=2z^2-m^2$
$5(5k^2+2km+y^2)=2\Big(z^2-\cfrac{m^2}{2}\Big)$
$2$ と $5$ は互いに素であるから,$z^2-\cfrac{m^2}{2}$ は $5$ の倍数である。
これが成り立つのは,$z$ と $m$ がそれぞれ $5$ の倍数であるときだけです。
しかし,$m$ は $0,1,2,3,4$ のいずれかなので,$m$ が $5$ の倍数になることはありません。
$z^2-\cfrac{m^2}{2}$ が $5$ の倍数になることはない。よって,矛盾する。
したがって,式を満たす自然数 $x,y,z$ は存在しない。(証明終わり)
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