【数IA確率】反復試行の確率のしくみ(千葉大)

確率で反復試行ってあるじゃないですか?
あるね。
習ったときは分かってたつもりなんだけど,模試で出てきてどこで反復試行使うのか全然分かりませんでした。
使い方復習しようか。

反復試行の気づき方

〔問題〕$\boxed{1}$ から $\boxed{6}$ まで6枚のカードが袋に入っている。この中から1枚のカードを引き,数字を確認したあとカードを袋に戻す。これを3回行う。このとき $\boxed{1}$ がちょうど1回出る確率を求めよ。

こういうのを反復試行という。

反復試行の確率 $_nC_rp^r(1-p)^{n-r}$

このとき大事なのは,$\boxed{1}$ がちょうど1回出るとき,残りの2回は $\boxed{1}$ 以外である,つまり余事象に気づくことです。

言われたら気づく。
問題文に書いてないからね。

反復試行の公式を使うタイミングは,まずさいころを何回か投げるような繰り返しの動作があることです。また,その繰り返しはそれぞれ独立していなければなりません。

独立?
たとえばさいころを投げて1が出る確率は $\cfrac{1}{6}$ だけど,二回目投げても $\cfrac{1}{6}$ であるということ。
当たり前。
問題文の条件による。たとえば $\boxed{1}$ ~ $\boxed{6}$ の6枚のカードがあって,カードを引いても戻さないっていう条件なら違うよね。最初に $\boxed{1}$ を引く確率は $\cfrac{1}{6}$ でも,2回目に $\boxed{1}$ を引く確率は $\cfrac{1}{6}$ じゃないでしょ?
$\cfrac{5}{6}\times\cfrac{1}{5}$ ですよね?
それそれ。だから繰り返しだからって何でも独立ということじゃない

つまり,1回目に1が出ようが2回目に1が出ようが,その確率は同じ $\cfrac{1}{6}$ であるというのが反復試行を使う条件です。

反復試行の式の作り方

実際に確率を求めてみましょう。
カードを引いて $\boxed{1}$ が出る確率が $\cfrac{1}{6}$ であるとき,$\boxed{1}$ 以外が出る確率は $\cfrac{5}{6}$ です。
カードを3回引くとき,求める確率は $\cfrac{1}{6}\times\cfrac{5}{6}\times\cfrac{5}{6}$ と表すことができます。しかし,これだけではありません。
$\boxed{1}$ が出てくるのは1回目,2回目,3回目のときがあります。つまり
$\bold{\cfrac{1}{6}}\times\cfrac{5}{6}\times\cfrac{5}{6}$
$\cfrac{5}{6}\times\bold{\cfrac{1}{6}}\times\cfrac{5}{6}$
$\cfrac{5}{6}\times\cfrac{5}{6}\times\bold{\cfrac{1}{6}}$
の3通りが存在します。
確率は
$\bold{\cfrac{1}{6}}\times\cfrac{5}{6}\times\cfrac{5}{6}+\cfrac{5}{6}\times\bold{\cfrac{1}{6}}\times\cfrac{5}{6}+\cfrac{5}{6}\times\cfrac{5}{6}\times\bold{\cfrac{1}{6}}$
$=3\times\cfrac{1}{6}\times\Big(\cfrac{5}{6}\Big)^2=\cfrac{25}{72}$

つまり和事象というヤツだよね。$\boxed{1}$ が1回目に出るとき,2回目に出るとき,3回目に出るときを足し算するってのがもともとやってること。でも,結局は同じ数を足すだけだから,じゃあかけ算でいいじゃん,ってなことになって反復試行の公式ができあがる。

そこで,この3通りを $_3C_1$ と表します。
$_3C_1\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^1\Big(\cfrac{5}{6}\Big)^2=\cfrac{25}{72}$

$C$ を使う意味を考える

〔問題〕コインを4回投げ,表が2回出る確率を求めよ。

表が出る確率は $\cfrac{1}{2}$,裏が出る確率も $\cfrac{1}{2}$ です。
反復試行の確率を用いて
$_4C_2\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^2\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^2$
$=\cfrac{4\cdot3}{2}\cdot\cfrac{1}{4}\cdot\cfrac{1}{4}=\cfrac{3}{8}$

$\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^2$ が2つありますが,一つは表が出る確率の $\cfrac{1}{2}$ で,もう一つは裏が出る確率の $\cfrac{1}{2}$ です。混乱しないように注意します。

まず,コインを4回投げて表が2回出る組合せは $_4C_2$ 通りです。

ピンと来ない。

$_4C_2=\cfrac{4\cdot3}{2}$ となります。これはコインの表が2回出るとして,何回目と何回目に出るかを考えています。
例えば,表が1回目と2回目に出るとき,1回目と3回目に出るとき・・・と考えていきます。表が1回目と2回目に出ることを $(1,2)$ として表すと
$(1,2),(1,3),(1,4)$
$(2,1),(2,3),(2,4)$
$(3,1),(3,2),(3,4)$
$(4,1),(4,2),(4,3)$
$4\times3=12$ 通りが考えられます。
しかし,$(1,2)$ と $(2,1)$ は1回目と2回目,2回目と1回目ということだから,これらは同じことです。
考えてみると,$(1,2),(2,1)$ のように本来の2倍で数えてしまっているので,2で割れば計算が合うことになります。よって
$\cfrac{4\times3}{2}=_4C_2=6$ 通り

このように数えすぎている部分を割り算で消去するのが $C$ の計算です。

$C$ の数え方をさらに考える

〔問題〕コインを6回投げ,表が3回出る確率を求めよ。

$_6C_3\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^3\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^3$
$=\cfrac{6\cdot5\cdot4}{2\cdot3}\times\cfrac{1}{64}=\cfrac{5}{16}$

上と同じように,表が何回目と何回目と何回目に出るかって数える。

最初は1~6回目の中から1つ選んで6通り。次は残り5回から1つ選ぶので5通り。最後は,さらにその残りから選ぶので4通りです。
例えば,表が1,2,3回目で出たとき,それを $(1,2,3)$ と表すと
$(1,2,3),(1,3,2)$
$(2,1,3),(2,3,1)$
$(3,1,2),(3,2,1)$
と $2\times3=6$ 通りの組合せが考えられます。
これも先ほどの問題と同じで,$6\times5\times4=120$ 通りの中には,実際には1つの組合せにつき6通りの重複があるので割り算によって消去する必要があります。

考え方こんな感じ。確率は全部 $\cfrac{1}{2}$ なんだけど,単に $\Big(\cfrac{1}{2}\Big)^6$ ではなく,表の $\cfrac{1}{2}$ が何番目に来るかによって,いろんな組み合わせができる。だから $C$ を使ってそれらを足し合わせるってのが反復試行。