あなたは文系脳?理系脳?それぞれの勉強法
実は存在しない文系脳と理系脳
そもそも、人間の脳に文系や理系というものは存在しません。男子は理系が多くて数学が得意で英語が苦手、女子は文系が多くて英語が得意で数学が苦手。こうした考えには、実際は科学的根拠はありません。学習についての研究によれば、文系科目と理系科目において男女の能力の差を示す統計的データは存在しません。
社会的環境のジェンダー・ギャップが英語・国語の能力を決める
私がこれまでたくさんの生徒を見てきた経験からの話ですが、文系や理系を決める要因にはジェンダー・ギャップが大きく影響しているようです。
例えば、男の子は女の子と比べて年齢が幼いころからタテ社会のルールに順応する傾向があります。これは日本に限った話ではありませんが、男の子は比較的早い段階からいわゆる青年グループに入ることが多く、そうしたタテ社会の中で育つことが多いのです。現代の日本では、スポーツ活動がその中心的役割を果たしています。
タテ社会では、自分の意見を主張することは好まれません。その結果、「寡黙な男子」「おしゃべりな女子」というステレオタイプが形成されていくことになります。
寡黙な男子というステレオタイプが理系男子を生む
こうしたステレオタイプは決して過去の話ではありません。例えば、日本で放送されている深夜アニメでは「主人公は寡黙で知的な男の子」「おしゃべりな軽い感じの男の子は脇役」と決められています。
自分の意見を言うことが認められないタテ社会に生きる男の子にとって、言葉の価値は常に軽んじられることになります。最近はコミュ力の重要性などということが言われますが、実際に求められているのは上司の考えを忖度(そんたく)する能力であって、相互的なコミュニケーション能力が求められているわけではありません。
こうして、男の子は言語コミュニケーションに価値を見出せず、それ以外のものごとに希望を見出す以外になくなるのです。
逆にそうしたタテ社会の圧力にさらされにくい女の子ほど、英語が得意になる傾向があります。しかしそれはあくまで「男子に比べて得意」ということでしかないのですが、それでも「自分が英語が他の人よりもできる」という確信は、その人が英語に夢中になって取り組むには十分な理由と成り得るのです。
小学校~高校までの勉強は単に使った時間の問題
人間に文系脳や理系脳というものは存在しません。得意や不得意というものは単なる思い込みで、実際はその教科に費やした勉強時間によって決まります。
英語が苦手な人は単に英語に費やした時間が短いというだけです。
「英語はいっぱい勉強した!」と言う人もいるかもしれませんが、そこにどれだけ積極的に、能動的に関わったかが大事なのです。学校の授業をただ受け身になって遠巻きに眺めていただけなら、その学習内容が身につかないのは当然です。その時間はただ無意味だったということです。
あとは、どれだけ能動的に勉強に関わる時間を確保できたかの問題です。どんな教科でもきちんと必要な時間を費やすことができれば、国公立大学に合格するレベルに達することが可能です。
ただし、一部の難関大学は必要とされる学習時間が通常の高校生で確保できるとは思えないレベルで要求されます。だからこそ、難関大学と呼ばれるのです。
文系・理系それぞれの長所を生かす方法
いわゆる文系脳の人は、まず数学が論理的思考のトレーニングであることを理解しましょう。そのトレーニングが英語や国語のもっと難しい文章を読むのに役に立つのです。数学を通じた思考の訓練が現国や英語の世界にも役立ちます。
また、教科書を読むより誰かに聞いてみるという勉強法をおすすめします。文系脳の人は相手とのコミュニケーションからものごとを理解するのが得意なので、人に色々聞いてコミュニケーションをとることで効率的に理解を深めることができます。
英語が苦手な理系脳の人はまず英語に触れる時間を増やしましょう。文字を読むのが嫌だったらひたすらリスニングをしてみたり、音読をするなど、別なアプローチを試しましょう。数学が得意なら他の人にその数学を教えてみるのも良い方法です。自分から言葉を組み立てるクセを付けると英語も国語も得意になります。理系の人でも他の人に教えることが上手な人は現国や英語も得意なことが多いものです。自分の意見を他者に伝える力、これが本当のコミュ力です。
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