講義形式の授業は生徒の満足度は高いが… アクティブラーニングとの比較実験で意外な結果に

主体的な学び、と言われるアクティブラーニングですが、その効果について懐疑的な立場の人々は少なくありません。しかし調査によると、授業に対する生徒の満足度に反して、話の上手な先生の講義を一方的に聞くよりもアクティブラーニングによる試行錯誤の方がテストの結果が向上するようです。

”深い学びは困難な作業である。アクティブラーニングに関する努力は、質の悪い学習の証拠だと誤解されることがある。一方で、スーパースターの講師は、学生が実際よりも多く学習していると感じさせるように物事を説明できる。”

テストは生徒や講師の実感と異なる結果に

ハーバード大学の物理の授業で行われた実験によると、従来通りの講義形式の授業とアクティブラーニングを比べた場合、講義形式の授業の方が講師、生徒ともに多くのことを学んだという実感を得ることができました。特に講師が優れた指導力を持っている場合、理解の難しい内容を明快に説明する講師の授業は生徒にとって満足度が高かったようです。一方でアクティブラーニングの場合、講師や生徒は実際に学んだことよりも少なくしか学んでいないと感じることが多かったのです。

しかし、その後行ったテストの点数を比較すると、実際にはアクティブラーニングで学んだ生徒の方が高い点数を取ることが分かりました。

講義形式の授業は生徒の満足度は高いが、アクティブラーニングと比べて必ずしも優れているとは言えない。

講義形式の授業では、講師は効率性を追求した授業を行い、1つの授業時間の中でできるだけ多くの情報を生徒に与えることを目標としました。それに対してアクティブラーニングの授業では、生徒は小グループに分けられ問題を与えられます。講師は教室内を巡回し、生徒に問いかけをして、問題の解き方を話し合わせます。ある程度話し合いをしたのちに、講師は最終的に解説をして答えを導きました。

実験では、両者の方法において同じ時間数で学んだことに差は無かったと結論づけています。しかし、テストの結果では差がつきました。論文では、その理由は講義形式の授業では生徒は受動的であるため、学習した内容が記憶として残りにくいからだと推測されています。このように、アクティブラーニングの導入に当たっては実際の学習レベルと講師や生徒の実感が逆に表れることを念頭に置く必要があるでしょう。