教養

殺されたのは誰か? インターネット探偵が解き明かした悲しい物語

2006年10月29日、テキサス州の森の中で燃やされた女性の遺体が発見されました。女性の体内には精液が残されており、衣服のポケットには40ドルが残されていました。身につけていた衣服のブランドから「ラベンダードゥ」というニックネームを与えられた彼女は、その身元が分からないまま年月だけが経過していきました。

”数日、数週間、そして数年が経ちました。彼女の名前を知っている人は誰もいませんでした。テキサスの保安官事務所に電話した友人や家族はいません。行方不明者報告を提出した者はいなかった。オンラインの見知らぬ人から授けられたラベンダードゥは、彼女が持っていた唯一の名前でした。”

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ボランティアプロジェクトの結成

事件から12年が経過したとき、地域のボランティアによってDNAドゥ・プロジェクトがスタートします。ボランティアのメンバーはインターネットを駆使した未解決事件の解明に夢中になっている人々です。メンバーはFacebookでやり取りを行い、遺伝子データベースを駆使してラベンダードゥの起源と死に至るまでの経緯を探り始めました。

DNAドゥはクラウドファンディングで1,400ドルを調達し、DNAの再分析を行うことによって、警察が所有するよりも多くの情報を得ることに成功します。

ボランティアの取り組みとは別に、地元の警察は体内に残された精液からジョセフ・バーネットという人物を特定していました。そして取り調べにより彼は殺人を認めます。しかし、彼はウォルマートの駐車場で見知らぬ女性を襲って殺害したことを認めても、その身元については知りませんでした。犯人は見つかったものの、被害者の女性が一体誰なのか、謎のままでした。

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家系図の発見

メンバーはラベンダードゥのDNA情報をGEDmatchと呼ばれるデータベースにアップロードします。その結果、彼らはラベンダードゥがチェコ出身の祖先を持ち、その子孫がテキサス州にいることを発見します。遺伝的なつながりから、ラベンダードゥはその子孫のいとこの子供である可能性が高いと思われました。メンバーはいとこを調査し、ロビンという女性にたどり着きます。

ロビンはアルコール依存症で、何度も結婚と離婚を繰り返し、2006年に死亡していました。メンバーは3番目の夫のときの名前である「ロビン・ウィルマ・ドッド」という名前をネット上で検索し、ラベンダードゥと同じ年齢の子供がいることを突き止めます。そして、ついにラベンダードゥと思われるMyspace(SNSサイトの一つ)のページを発見します。

彼女の名前はダナ・リン・ドッド。殺されたとき21歳でした。

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ダナの人生

ダナの父親はホームレスで、実の母親がいなくなったあと継母に育てられます。その後ダナは継母の家族の家に引き取られますが、問題行動を起こして高校を中退します。その後、彼女は旅行雑誌の販売員(売り上げノルマを達成できないと暴行を受ける)を引き受けます。殺人犯のバーネットは、彼女が初め雑誌を売ろうと声をかけてきたと証言しています。バーネットが断ると、ダナはバーネットの車に乗せてほしいと頼み込んできました。その行為が、彼女を死に導くことになります。

彼女が死に至るまでの経過はこうして判明したものの、メンバーにとっては後味の悪いものでした。彼女の人生はアメリカの闇の部分そのものと言えるものだったのです。

身元の分からなかったラベンダードゥの墓石は、ダナ・リン・ドットの名前に書き直されました。DNAデータベースを駆使したボランティアによる犯罪捜査は近年アメリカの中でも存在感を増しつつあります。しかし、行方不明の捜索願いすら出されないこうした人々は、アメリカの社会のもう一つの側面を私たちに示しているのかもしれません。

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