けものフレンズが動物保護への関心を高める アニメと自然保護のコラボレーション

日本国内でも報道されていましたが、東京大学の深野祐也助教授らによる調査で、テレビアニメ「けものフレンズ」の放送によって絶滅危惧種動物への関心が高まり、実際に寄付が増加するという現象が起こりました。論文が海外の学術誌で取り上げられたことで、アニメと自然保護のコラボレーションの取り組みが世界に向けて伝えられています。

”「初めはアニメは単なるエンターテイメントだと思っていたので、データを真剣に考えることはできませんでした。しかし、グーグルトレンドは一般大衆の興味についての記録であり、データは明らかにけものフレンズが種の保護の状況に関係なく、大衆の野生動物への関心に肯定的な影響を与えていることを示します。」と深野は述べた。”

けものフレンズの効果

けものフレンズは2017年1月から3月、2019年1月から4月まで放送されたアニメです。アニメには動物を模したキャラクターが数多く登場します。研究者はグーグルトレンドというウェブサービスを用い、特定のキーワードの相対的な検索量の推移や地理的なばらつきを調べました。また、ウィキペディアの閲覧数のデータも用いています。

まず分かったことは、地域の動物園と検索量の関係です。例えば、動物園がある県とない県を比較すると、動物園のある県では検索量が2倍になることが分かりました。また、その動物園で飼っている特定の動物についての検索量が増加することも分かっています。

次に研究者たちはアニメの放送後半年間に渡って、そのアニメに登場した動物の検索量が大幅に増加していることを発見しました。また、研究者たちは動物園での寄付の記録を調べ、アニメに登場した30種の動物への寄付が放送後に増加したことを突き止めました。アニメが動物への関心を高め、実際に野生動物保護への動きにつながったことが明らかになったのです。

エンターテインメントと自然保護の協働

こうした影響は場合によっては悪いものになることもあります。例えばアメリカのアニメ映画「ファイティングニモ」が上映された後、カクレクマノミの密猟が増加したことが知られています。アニメで動物を用いることが必ずしも良い結果を生むとは限りません。

けものフレンズの製作者は、動物園と協力して動物園のポスターなどにアニメのキャラクターを使用できるようにし、協力している動物園や世界自然保護基金への寄付も行っています。このアニメはエンターテインメントと自然保護を上手に結び付けた事例として注目すべきものと言えそうです。