数IAIIB横浜国立大高校数学の解法

横浜国立大2020理系第3問(文系第2問) 確率・箱から球を取り出す:区別するとかしないとか,という話

中身の見えない 2 つの箱 A,B がある。箱 A には白玉と赤玉がそれぞれ 2 個ずつ入っており,箱 B には白玉 1 個だけが入っている。このとき,$n$ を正の整数として,次の操作(*)を考える。

(*)はじめに,箱 A の中身をよくかきまぜて,箱 A から玉を 2 個取り出し,色を確認しないで,箱 B に 2 個とも入れる。次に,「箱 B の中身をよくかきまぜて,箱 B から玉を 1 個取り出し,色を確認した後,箱 B に戻す」という作業を $n$ 回繰り返す。

操作(*)を一度行ったとき,箱 B から取り出した玉が $n$ 回ともすべて白玉である確率を $p_n$ とし,箱 B から取り出した玉が $n$ 回ともすべて白玉であるという条件のもとで,はじめに箱 A から取り出した玉が 2 個とも白玉である条件付き確率を $q_n$ とする。

次の問いに答えよ。

(1) $p_2$,$q_2$ を求めよ。

(2) $p_n$,$q_n$ を求めよ。

(3) $q_n>\cfrac{1}{2}$ をみたす最小の $n$ の値を求めよ。

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箱から玉を取り出す

(1)から始めます。今回は(1)が解ければあとはそれほどややこしいところはないです。

(i) 箱 A から赤玉 2 個を取り出す場合

まず,4 個の玉から 2 個を選ぶ選びかたは $_4C_2$ 通りです。

何となく $_4C_2$ ってしてるけど,意味があんまり分かってないです。

玉に番号付けるといいよ。

4 個の玉を,それぞれ赤1,赤2,白1,白2としてみます。同じ色の玉も区別するということです。

このとき,2 個の玉を 1 個ずつ取り出すと,初めの 1 個目は,赤1,赤2,白1,白2の 4 通りです。

仮に 1 個目で赤1を引いたとすると,次の玉は,赤2,白1,白2の 3 通りです。

つまり $4\times3=12$ 通りです。

ただし,赤1-赤2と赤2-赤1を区別しない場合は,この 2 通りを 1 通りとして数える必要があります。

これ以外にも,たとえば白1-赤2の組み合わせには,赤2-白1という反対の組み合わせが必ず存在する(重複する)ので,簡単に言えば数えすぎているということです。そこで 12 通りを半分にして 6 通りとします。

$_4C_2=\cfrac{4\times3}{2}=6$ 通り

$C$ の計算では割り算をしますが,ここで 2 で割っているのは,重複している分,つまり数えすぎている部分を削る作業をしているのだ,とイメージすると良いでしょう。

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なぜ玉を区別するのか

でもなんで赤1,赤2みたいに区別するんですか?

どんな場合でも区別するよ。

たとえば,赤,赤,白の 3 個の球から 1 個を引く場合を考えてみましょう。

もしこのとき赤球を区別しないとしたら,全事象は赤か白の 2 通りということになります。この考えでいくと赤球を引く確率は $\cfrac{1}{2}$ ということになってしまいます。しかし,どう考えても赤球を引く確率は $\cfrac{2}{3}$ のはずです。

確かに。

どんな場合でも 2 個の赤球は赤1,赤2のように区別します。解説書などで「区別しない」と言っているのは,あくまで引く順番の話であって,球そのものを区別しないという意味ではないことに注意しましょう。

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再び問題に戻る

こうして,赤玉 2 個を箱 B に放り込むと,箱 B の中には赤 2 個,白 1 個の合計 3 個の玉があることになります。

この問題は,問題文の日本語を誤解しやすいかもしれません。ここから繰り返す作業は「箱 B から玉を 1 個取り出して,それをもとに戻す」という作業だけです。玉は箱 B に戻るので,再び 3 個の玉から 1 個の玉を引くことになります。

箱 A の玉 2 個取り出すところから繰り返したので,解けませんでした。

赤玉 2 個,白玉 1 個から白玉を取り出す確率は $\cfrac{1}{3}$ だから,箱 A から赤球 2 個を取り出して箱 B に入れたあと,箱 B から 2 回連続で白玉を取り出す確率は

$\cfrac{1}{6}\times\Big(\cfrac{1}{3}\Big)^2$

ということになります。

(ii) 箱 A から赤玉 1 個,白玉 1 個を取り出す場合

$\cfrac{_2C_1\times_2C_1}{_4C_2}=\cfrac{2}{3}$

(iii) 箱 A から白玉 2 個を取り出す場合

$\cfrac{_2C_2}{_4C_2}=\cfrac{1}{6}$

したがって

$p_2=\cfrac{1}{6}\times\Big(\cfrac{1}{3}\Big)^2+\cfrac{2}{3}\times\Big(\cfrac{2}{3}\Big)^2+\cfrac{1}{6}\times\Big(\cfrac{3}{3}\Big)^2$
$=\cfrac{1}{54}+\cfrac{8}{27}+\cfrac{9}{54}$
$=\cfrac{13}{27}$

また

$q_2=\cfrac{\cfrac{1}{6}\times\Big(\cfrac{3}{3}\Big)^2}{\cfrac{13}{27}}$
$=\cfrac{\cfrac{1}{6}\times27}{\cfrac{13}{27}\times27}$
$=\cfrac{\cfrac{9}{2}}{13}$
$=\cfrac{\cfrac{9}{2}\times2}{13\times2}$
$=\cfrac{9}{26}$

(答え)

一般項を求める

(2)に進みます。ここは(1)で 2 乗していたところを $n$乗にするだけです。

$p_n=\cfrac{1}{6}\Big(\cfrac{1}{3}\Big)^n+\cfrac{2}{3}\Big(\cfrac{2}{3}\Big)^n+\cfrac{1}{6}\Big(\cfrac{3}{3}\Big)^n$

$=\cfrac{1}{2\cdot3^{n+1}}+\cfrac{2^{n+1}}{3^{n+1}}+\cfrac{1}{6}$

通分して

$=\cfrac{1+2^{n+2}+3^n}{2\cdot3^{n+1}}$

また

$q_n=\cfrac{\cfrac{1}{6}\cdot(\cfrac{3}{3})^n}{\cfrac{1+2^{n+2}+3^n}{2\cdot3^{n+1}}}$
$=\cfrac{\cfrac{1}{6}\times6\times2\cdot3^{n+1}}{\cfrac{1+2^{n+2}+3^n}{2\cdot3^{n+1}}\times6\times2\cdot3^{n+1}}$
$=\cfrac{2\cdot3^{n+1}}{6(1+2^{n+2}+3^n)}$
$=\cfrac{3^n}{1+2^{n+2}+3^n}$

(答え)

不等式を解く

(3)に進みます。

$q_n>\cfrac{1}{2}$
$\cfrac{3^n}{1+2^{n+2}+3^n}>\cfrac{1}{2}$
$2\cdot3^n>1+2^{n+2}+3^n$

ここは計算上のテク。$2\cdot3^n$ は $3^n$ が 2 個あるということだから,$3^n+3^n$ と書き換えることができる。

$3^n+3^n>1+2^{n+2}+3^n$
$3^n>1+2^{n+2}$

$n$ は正の整数だから,あとは 1,2,3,・・・と順番に数を当てはめていけば良いです。

$n=4$ のとき

$3^4>1+2^{4+2}$
$81>65$

不等式が成り立つ。

従って,不等式が成り立つ最小の $n$ は $n=4$ (答え)

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