解と係数を用いて関数の係数を決める問題(神戸大2017文系第2問)
次の 2 つの条件をみたす $x$ の 2 次式 $f(x)$ を考える。
(i) $y=f(x)$ のグラフは点 $(1,4)$ を通る。
(ii) $\displaystyle\int_{-1}^2f(x)\space dx=15$
以下の問に答えよ。
(1) $f(x)$ の 1 次の項の係数を求めよ。
(2) 2 次方程式 $f(x)=0$ の 2 つの解を $\alpha,\beta$ とするとき,$\alpha$ と $\beta$ のみたす関係式を求めよ。
(3) (2)における $\alpha,\beta$ がともに正の整数となるような $f(x)$ をすべて求めよ。
連立方程式を立てる
(1)から始めます。
$f(x)=ax^2+bx+c$ として
$\displaystyle\int_{-1}^2ax^2+bx+c\space dx$
$=\Big[\cfrac{a}{3}x^3+\cfrac{b}{2}x^2+cx\Big]_{-1}^2$
$=\cfrac{8}{3}a+2b+2c+\cfrac{a}{3}-\cfrac{b}{2}+c$
$=3a+\cfrac{3}{2}b+3c=15$
$a+\cfrac{1}{2}b+c=5$ ・・・①
また,グラフは $(x,y)=(1,4)$ を通るので
$f(1)=a+b+c=4$ ・・・②
②-①
$\cfrac{1}{2}b=-1$
$b=-2$
したがって,1 次の項の係数は $-2$ (答え)
解と係数の関係
(2)に進みます。
ここは,解と係数の関係を利用しましょう。
2 次方程式の解と係数の関係
2 次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の 2 つの解を $\alpha,\beta$ とすると
$\alpha+\beta=-\cfrac{b}{a}$,$\alpha\beta=\cfrac{c}{a}$
$f(x)=ax^2-2x+c$ とすると
解と係数の関係より
$\alpha+\beta=\cfrac{2}{a}$ ・・・③
$\alpha\beta=\cfrac{c}{a}$ ・・・④
$a,c$ を消去するためには,もう一つ,②を利用します。
$a-2+c=4$ だから
$a+c=6$
$c=6-a$ ・・・⑤
④に代入して
$\alpha\beta=\cfrac{6-a}{a}$
$=\cfrac{6}{a}-1$
$1+\alpha\beta=\cfrac{6}{a}$ ・・・⑥
③,⑥ を連立して
$3(\alpha+\beta)=1+\alpha\beta$ (答え)
再び因数分解
(3)に進みます。
このままではどんな整数が当てはまるのか見えないので,式を整理してみます。
$3(\alpha+\beta)=1+\alpha\beta$ より
$\alpha\beta-3\alpha-3\beta+1=0$
因数分解して
$(\alpha-3)(\beta-3)-9+1=0$
$(\alpha-3)(\beta-3)=8$
たとえば,$\alpha-3=1$,$\beta-3=8$ とすると,$(\alpha,\beta)=(4,11)$ となります。他のパターンも考えると
$(\alpha,\beta)=(4,11),(11,4),(5,7),(7,5)$
解と係数の関係を用いて,$f(x)$ を作っていきましょう。
$f(x)=ax^2-2x+c$ より
(i) $(\alpha,\beta)=(4,11),(11,4)$ のとき
$\alpha+\beta=\cfrac{2}{a}$
$15=\cfrac{2}{a}$
$a=\cfrac{2}{15}$
⑤より,$c=6-\cfrac{2}{15}=\cfrac{88}{15}$
したがって
$f(x)=\cfrac{2}{15}x^2-2x+\cfrac{88}{15}$ (答え)
(ii) $(\alpha,\beta)=(5,7),(7,5)$ のとき
$\alpha+\beta=\cfrac{2}{a}$
$12=\cfrac{2}{a}$
$a=\cfrac{1}{6}$
$c=6-\cfrac{1}{6}=\cfrac{35}{6}$
したがって
$f(x)=\cfrac{1}{6}x^2-2x+\cfrac{35}{6}$ (答え)
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