人類学と社会学の違いは? 大学で学ぶこととキャリア

大学で文系に進学することを考えている高校生のみなさんにとって、人類学と社会学の違いは分かりにくいものかもしれません。また、こうした学問が将来就職で役に立つのかどうか疑問に思う人もいるでしょう。ここでは人類学や社会学で学ぶことや、学んだことを将来に生かす方法について紹介します。

”どちらの分野も人間の行動を研究する一方で、人類学と社会学の間の議論は視点の問題である。人類学は個人のミクロレベルで文化をより詳しく調べる。人類学者は一般にそれを大きな文化の事例として解釈する。さらに、人類学はある集団や地域社会の文化的に特有なものに焦点を当てている。一方で、社会学はより全体像を見る傾向があり、多くの場合、機関(教育、政治、宗教)、組織、政治運動、そして互いに異なる集団の権力関係を研究している。”

人類学の4分野

人類学には概ね4つの分野があります。考古学は人間が大昔に作ったものや文明を調査するものです。自然人類学は類人猿や人間の進化について研究します。文化人類学は人間の文化や生活に焦点をあて、民間伝承や芸術、社会規範などを対象とします。言語人類学は言語と文化の関係を研究し、異なる文化間におけるその伝播を調べます。日本の大学の文系で人類学と言えば、文化人類学と言語人類学が該当します。

文化人類学は主に外国の文化について研究します。元々は欧米の人々に余り知られていない未開の文化について調査することが多かったのですが、近年ではその対象は様々な文化に及び、また伝統的な文化だけではなく近代的なメディアなども対象とされるようになっています。外国の文化に興味のある人におすすめする学部です。

また、日本独自の分野として民俗学があります。民俗学は主に日本の農村の文化や伝承を調査する学問で、日本文化に興味がある人におすすめです。

社会学

人類学が文化の多様性や違いを理解する学問であるのに対し、社会学は私たちが生きる現代社会における問題の解決を目指す学問です。社会学では人間の作る集団を研究の対象とすることが多く、家族や性別、若者、高齢者、教育、宗教、労働、人種や民族などその対象も様々です。社会学は人類学と違い、外国について研究するよりは日本の社会について研究することの方が多いです。また、統計学的手法を用いてデータに基づいた社会分析を行うことも多く、統計的な調査方法を学びたい人にとってもおすすめできる学問です。新聞や雑誌、広告分野との関連が強い分野でもあります。

キャリア

社会や文化について多角的な視点で洞察し調査する能力がグローバル社会で求められる。

人類学や社会学を学んでも何かの資格が得られるわけではありませんが、今の日本でこの資格を持っておけば一生いい暮らしができるという特権的な資格はほとんどありません。それだけ私たちの生きる現代社会は変化が激しいのです。こうした時代において重要な能力とは、変化する時代を正しく把握し予測する情報処理の力です。これらの学問ではグローバル化する世界や激しく変化する社会で生き抜くためのリソースにアクセスする技能を身に付けることができます。大学卒業後の進路は様々で多彩な業界に進むことができます。先に資格は得られないと述べましたが4年制大学卒自体が重要な資格として役に立ちます。また、自分の専門能力を活かしたいならば、莫大な情報力を武器にできる分野を目指すとよいでしょう。