α を複素数とする。z=−α をみたす複素数 z に対して,w=z+αz+2α と定める。∣z−1∣=1 をみたすようなすべての z に対して,∣w−1∣=1 が成り立つ。次の問いに答えよ。
(1) α を求めよ。
(2) w=z をみたす z を求めよ。
(3) z0=1+i とし,z=z0 かつ z=−α とする。複素数平面上の 3 点 A(z0),P(z),Q(w) を考える。直線 AP と直線 AQ が垂直に交わるような点 P の全体が表す図形を,複素数平面上に図示せよ。
z の式になおす
(1)から始めます。
一つの考え方は,w=z+αz+2α を ∣w−1∣=1 に代入してみることです。しかし,この方法ではうまくいかないはずです。別な方法を考えなければいけません。
問題集などでは,w の式が出てきたら,何となく z の式になおすのがやり方でした。今回もそれでいくとうまくいきます。
w=z+αz+2α
(z+α)w=z+2α
zw+α w=z+2α
zw−z=2α−α w
z(w−1)=α(2−w)
z=w−1α(2−w)
これを ∣z−1∣=1 に代入すると
∣∣w−1α(2−w)−1∣∣=1
通分して
∣∣w−1α(2−w)−w+1∣∣=1
∣w−1∣∣α(2−w)−w+1∣=1
∣w−1∣=1 だから
∣α(2−w)−w+1∣=1
ここから,w を消去する方法を考えます。
α=−1 とすると,左辺は
∣−(2−w)−w+1∣
=∣−2+w−w+1∣
=∣−1∣
=1
左辺=右辺が成り立つので,α=−1
一応,これで答えとしても良いのですが,問題文の「∣z−1∣=1 をみたすようなすべての z に対して,∣w−1∣=1 が成り立つ。」ことを示しておいた方が良いでしょう。
w=z−1z−2 として,∣w−1∣=1 に代入すると,左辺は
∣∣z−1z−2−1∣∣
=∣∣z−1z−2−z+1∣∣
∣z−1∣=1 だから
∣−1∣=1
左辺=右辺より,式は成り立つ。
従って
α=−1 (答え)
w=z になる場合
(2)に進みます。
(1)より α=−1 とすると
w=z−1z−2
w=z より
z=z−1z−2
z(z−1)=z−2
z2−2z+2=0
z=1±1−2
z=1± i (答え)
垂直になる条件
(3)に進みます。
複素数平面上に点A(z),B(w) があり,OA と OB が垂直に交わるとき,zw は純虚数になります。
z と w を極形式で表してみます。
z=r1(cosθ1+isinθ1)
w=r2(cosθ2+isinθ2)
とすると
zw=r1r2{cos(θ2−θ1)+isin(θ2−θ1)}
OA⊥OB のとき,θ2−θ1=90° だから
=r1r2(cos90°+isin90°)
=r1r2 i
こうして,実数の部分が 0 になって消えて,虚数の部分だけが残るという仕組みです。
ただし,今回は始点が z0 なので,z0 を引いて原点に戻した上で割り算します。
z−zow−z0=ki とする
r1r2 の値は分からないので,k としています。
(1)より,z=w−1w−2,w=z−1z−2
(2)より z=1± i のとき,z=w が成り立つ。よって,z を z0=1+i におきかえると,z0=w が成り立つ。したがって
z0=z0−1z0−2
あくまで,
z0=1+i という条件で成り立つということ。
z0 が他の値なら,当然,成り立たない。
z−z0z−1z−2−z0−1z0−2=ki (k=0)
ここ,
z0 を
z0−1z0−2 にするの何で?
置き換えないで計算すると,全然解けないから。大体,入試問題って上で解いた答えを利用するのが普通だから,計算行き詰ったときに「(2)の答え使ったらいいんじゃね?」っていう発想ができるかどうかが勝負。理屈というより,(2)の答えを利用したら,たまたまラッキーで解けちゃうカンジ。
左辺について整理すると
(z−z0)(z−1)(z0−1)(z−2)(z0−1)−(z−1)(z0−2)
=(z−z0)(z−1)(z0−1)zz0−z−2z0+2−zz0+2z+z0−2
=(z−z0)(z−1)(z0−1)z−z0
=(z−1)(z0−1)1
=(z−1)(1+i−1)1
=i(z−1)1=ki
両辺に i をかけると
z−11=−k
両辺の逆数をとって
z−1=−k1
z=1−k1
z は実数なので,複素数平面上では x 軸上の点ということになります。また,k に 0 以外の値が入るので,z は 1 になることはありません。
したがって
x 軸上の 1 を除く部分(答え)
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