はりつけの刑にされた時、人間の体に何が起こるか? はりつけの歴史と実証実験の結果
イエス・キリストの最後として有名な十字架へのはりつけ(磔)は当時の処刑方法の一つでした。ローマ時代にはキリストだけでなく、多くの人々がはりつけによって処刑されていました。ところで、人間を十字架にはりつけた場合、その体にどのような変化が起こるのでしょうか。それを実際に実験した人がいます。
“1960年代にドイツの研究者たちはボランティアの手首を十字架につなぎ、彼らの呼吸と心臓の鼓動を監視した。 6分以内に、ボランティアは呼吸困難になり、脈拍数は2倍になり、血圧は低下した。 手首の痛みのため、実験は約30分後に中止しなければならなかった。”
はりつけの歴史
十字架のはりつけと言えばキリストが有名ですが、このころのヨーロッパはローマ帝国の時代で、ローマ帝国に逆らった人間を処刑するための方法としてはりつけが発達したと考えられています。もともとはアッシリアやバビロニア(今のイラクのあたり)で始まり、古代ペルシャ(今のイランのあたり)で発達した処刑方法だったようですが、アレクサンダー大王の東方遠征のあとにギリシアと中東地域(オリエント)の文明が混ざり合うヘレニズム文化が起こると、はりつけの風習は地中海東部沿岸地域に広がっていきました。
初めは、はりつけは木の柱や自然に生えている木の幹に腕をくくりつける形だったのですが、次第に十字架が用いられるようになりました。処刑される人はまずムチで打たれます。ムチで打たれると出血するので、場合によってはそのまま死亡することもありました。処刑される人はムチで打たれて弱ったあと、十字架に腕を釘で打ち付けて吊るされます。十字架に吊るされた人間は無理のある姿勢になるため横隔膜を正常に動かすことができなくなり、短時間で呼吸困難に陥り死亡するのです。
これを実験で確かめてみようというのが今回の英文の内容ですが、上に書かれているように被験者の命が危険な状態になったため実験は中止されたようです。
ちなみに日本でもはりつけは行われていたのですが、日本にキリスト教がもたらされた戦国時代に十字架を用いたはりつけが伝えられたのではないかという説があります。はりつけによる処刑は明治時代の初期まで続けられていました。
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