最も学習効果が高いのは「85%ルール」 機械学習の実験が示唆

教育に関わる人々にとって、生徒に最も適した教材を選ぶことはいつも大きな悩みです。難しすぎる問題に取り組ませても生徒たちは疲弊するだけで結果に結びつかず、反対に簡単すぎる問題を与えても単純作業を繰り返すだけで実力は伸びません。生徒にとって適切な問題とは何か、その答えを求めて実験が行われました

”教師と教育学者は、学習に関して「スイートスポット」のようなものがあることを長い間認識していきた。つまり、私たちは既存の知識の範囲を超えて何かを把握しようとするときに最もよく学習する。”

学習効率が最も高いのは「正答率85%」

アメリカの複数の大学の共同研究者は、コンピューターを用いた機械学習のプログラムを使って、最も学習効果が高くなる場合を検証しました。実験は、手書きの数字の写真が奇数か偶数か、または2つの数字のどちらか大きいかを分類するというものでした。実験の結果、コンピューターが最も高い効率で学習を行ったのは、正解が85パーセント、不正解が15%のときでした。この結果は、動物を対象に行った実験の結果とも一致すると研究者は主張しています。

研究者によると、不正解の率が高すぎる課題を与えても学習効率は下がり、同様に正解率が高すぎる課題を与えても学習効率は下がります。こうして様々な条件で実験を行った結果、最も学習の効率が高いのは正解率が85%のときであるという結論に至ったのです。

もちろん、この結果はコンピュータによる機械学習の場合なので、人間の学習効率の問題にそのまま当てはめることはできないのかもしれません。しかし、もし教育者が生徒に試験を行うとき、その生徒の学力を最も効率良く伸ばしたいならば、生徒が85点をとれる試験を作ることが最適であることを実験は示唆しています。

教師が生徒に課題を与えるとき、正答率85%という数字は直感的な数値をかなり上回るものかもしれません。今回の実験結果は、生徒にどのくらいのレベルの課題を与えるべきかということを考える上で一つの指標となるでしょう。