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アメリカで普及の進む人工肉とは?ビヨンド・ミートとインパッシブル・フーズ

2010年代に入り、アメリカの新興企業によって従来の肉に代わる植物由来の人工肉の商品化が進んでいます。代表的なものはビヨンド・ミートBeyond Meatとインポッシブル・フーズImpossible Foodsの2つです。今回は、今アメリカで広がっている人工肉とはどのようなものなのか、そしてその課題について紹介します。

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スーパーなどで販売されているビヨンド・ミート

アメリカの食品テクノロジー企業ビヨンド・ミートは、カリフォルニア州エル・セグンドに本部を置き、植物由来の人工肉を製造・開発しています。主要株主はビル・ゲイツです。現在、スーパーマーケットでの販売をはじめ、A&WレストランやベアバーガーBareburgerのようなファストフードチェーン店で提供されています。人工肉が優れているのは健康面だけでなく、肉牛の飼育に比べて環境の負荷が大幅に軽減される点です。水の使用量は99パーセント減り、二酸化炭素の排出量も90パーセント減少します。

 

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ビヨンド・ミートの原料・栄養

ビヨンド・ミートの原材料はエンドウマメから抽出されたたんぱく質です。エンドウマメは人間が体内で合成することができない必須アミノ酸を豊富に含んでいます。私たちが肉を食べる必要があるのは、肉はたんぱく質と脂質が豊富に含まれているからであり、ビヨンド・ミートはそれを植物由来のたんぱく質で代用しています。その他の原材料の一覧も見てみましょう。

水、エンドウ豆たんぱく質単離物、搾油カノーラ油、精製ココナッツ油、以下を2%以下含む:竹由来セルロース、メチルセルロース、ジャガイモデンプン、天然フレーバー、マルトデキストリン、酵母エキス、塩、ひまわり油、植物性グリセリン、 乾燥酵母、アラビアゴム、柑橘類抽出物(品質を維持するため)、アスコルビン酸(色を維持するため)、ビートジュース抽出物(色用)、酢酸、コハク酸、加工食品でんぷん、アナット(色用)

添加物が色々と含まれていますが、主体としては水、エンドウマメ、植物油で構成されていると考えられます。この材料でビーフと変わらない味を作り出しているのです。

ビヨンド・ミートの栄養分を見てみましょう。以下はハンバーガーのパテ1個分です。

カロリー270kcal、脂質20g、ナトリウム380mg、炭水化物5g、食物繊維3g、糖質0g、たんぱく質20g

これは牛肉のパテと比べてほぼ同じ栄養素と言えます。

カルフォルニアを拠点とするインポッシブル・フーズ

 

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カルフォルニアを拠点とする新興企業であるインポッシブル・フーズも人工肉を製造しています。インポッシブル・フーズの特徴は大豆の根から取り出したヘム(ヘモグロビンの酸素と結合する部分)を利用することで本物のビーフのような肉汁を再現している点です。

実際の味はと言えば、海外の記事を見る限りでは、本物のビーフにかなり近いとは言え違いが分からないほどそっくりとまでは言えないようです。しかしそれでもこれらの人工肉が話題になっているのは、これまでの野菜バーガーと比べて遥かに本物に近い味がするからということのようです。

インポッシブル・フーズの原料・栄養

今度はインポッシブル・フーズの原料を見てみましょう。

水、大豆たんぱく質濃縮物、ヤシ油、ひまわり油、天然香味料、2%以下:ジャガイモタンパク質、メチルセルロース、酵母エキス、養殖デンプン、食品添加物、大豆レグヘモグロビン、塩、大豆タンパク質分離物、混合トコフェロール(ビタミンE) )、グルコン酸亜鉛、塩酸チアミン(ビタミンB1)、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)、ナイアシン、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、ビタミンB12。

インポッシブル・フーズの場合は大豆から抽出したたんぱく質を用いている点が特徴です。

インポッシブル・フーズの栄養分は以下の通りです。

カロリー200kcal、脂質13g、ナトリウム430mg、炭水化物5g、食物繊維0g、糖質1g未満、たんぱく質20g

ビヨンド・ミートに比べこちらの方がカロリーや脂質は控えめのようです。

ビヨンド・ミートに使われているエンドウマメはトウモロコシや大豆のように大規模に生産され取引される作物ではありません。しかし、人工肉の生産拡大やペットフードの需要の伸びに応じてエンドウマメの取引価格は上昇傾向にあり、アメリカの生産農家は作付面積を20パーセント拡大すると見られています。

肉の代用品ではあっても野菜ではない

このように肉の代用品として優れた能力を持つ人工肉ですが、植物由来とは言っても野菜を食べることと同等ではない点に注意する必要があります。ビーフを人工肉に変えた場合でも野菜を多く含むバランスの取れた食事を心がける必要がある点については変わりはありません。また、あくまでも塩分や添加物を含む加工食品であるため、その成分の安全性についても配慮が必要になります。人工肉はいわゆる健康食品とは異なるものであることを理解しなければなりません。

人工肉の利点は家畜を飼育することによる環境への負荷を大幅に減らすことができる点にあって、健康面での貢献はそれほどではないというのがアメリカにおける人工肉に対する大方の見解のようです。

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