ベクトル方程式の基本 スタート地点をそろえて整理する

ベクトル方程式って習ったけど、どこで使うのかイマイチわからないです。
ベクトル方程式って単にベクトルを伸び縮みさせてるだけだから、あんまり意識しないで使う感じだよね。基本的な問題やってみるから、使い方覚えて。

空間内に、3 点 $A(3,-1,1),B(0,2,4),C(1,0,4)$ がある。点 $C$ から直線 $AB$ に垂線を引き、交点を $H$ とする。 $\overrightarrow{AH}=t\overrightarrow{AB}$ とおくとき、実数 $t$ の値を求めよ。(長崎大 2019改)


ベクトルをやるときは、いっぺん問題文から分かることを式に書いてみると手がかりになる。

$\overrightarrow{AH}=t\overrightarrow{AB}$

$\overrightarrow{CH}\cdot\overrightarrow{AB}=0$

ベクトル方程式の始点に合わせて式を書きなおす

全然計算できそうなカンジしないです。

そうね、こういうときは始点をそろえるといいよ。今回はベクトル方程式になっていて、$t\overrightarrow{AB}$ は $A$ をスタート地点として $t$ の値によって長さが変わる。だから、$A$ を始点として式をなおすとうまくいきそうよ。

ここで $\overrightarrow{CH}=\overrightarrow{AH}-\overrightarrow{AC}$
どゆこと?

ベクトルの最初に戻って。原点をスタート地点とするなら、$\overrightarrow{AB}=\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA}$ だったでしょ?

うしろひく前って習いました。

同じように、$A$ をスタート地点にするなら $\overrightarrow{CH}=\overrightarrow{AH}-\overrightarrow{AC}$ と表せる。

もとの式に $A$ ないけどいいんですか?

始点は自分で勝手に決めていい。だけど $\overrightarrow{CH}=\overrightarrow{AH}-\overrightarrow{BC}$ とかはダメよ。始点をそろえること。

座標を代入して計算すれば終わり

$\overrightarrow{CH}=\overrightarrow{AH}-\overrightarrow{AC}$

$\overrightarrow{CH}=t\overrightarrow{AB}-\overrightarrow{AC}$

$\overrightarrow{CH}\cdot\overrightarrow{AB}=0$ に代入して

$(t\overrightarrow{AB}-\overrightarrow{AC})\cdot\overrightarrow{AB}=0$

$t|\overrightarrow{AB}|^2-\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=0$

座標が分かっているから、$|\overrightarrow{AB}|$ と $\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}$ は計算できる。

ここで $A(3,-1,1),B(0,2,4),C(1,0,4)$ より
$\overrightarrow{AB}=(0,2,4)-(3,-1,1)=(-3,3,3)$
$|\overrightarrow{AB}|^2=(-3)^2+3^2+3^2=27$
また、$\overrightarrow{AC}=(1,0,4)-(3,-1,1)=(-2,1,3)$ より
$\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=-3\cdot(-2)+3\cdot 1+3\cdot 3=18$
よって
$t|\overrightarrow{AB}|^2-\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=0$
$27t-18=0$
$\displaystyle t=\frac{2}{3}$ (答え)

ベクトルの問題を解くときは、いったんスタート地点を決めて各ベクトルをそろえていくと整理できる。