アメリカで広がる大学eスポーツ 巨大な専用施設に奨学金支給も

eスポーツは、コンピューターゲームを一種のスポーツとして捉えるものです。プレイヤーは単にディスプレイに向かってゲームをしているだけでなく、複数のプレイヤーとネット回線を通じてチームプレイを行い、大勢の観客の前でプレーすることもあります。

もちろん、コンピューターゲームをスポーツの一つとして捉えるべきかどうかについては議論があり、否定的な考え方を持つ人々の方が多数派かもしれません。

アメリカにおいてもその点は同様なのですが、一方でeスポーツは徐々に広がりを見せ始めており、大学における主要な部活動の一つとして認知されるケースも増えてきているようです。

”最新のPCゲーム機器、フェラーリから取り外してきたかのような椅子、プレイオプションへの支払い満たされたこれらのeスポーツアリーナは、ますます大学や大学施設の大黒柱になりつつあります。”

大学におけるeスポーツの意味

eスポーツは大勢の観客を前にプレーされることもある。

大学でeスポーツが広がりつつある理由は、他のスポーツと同じです。大学が環境の行き届いたスポーツチームを持つことで魅力を高めて入学希望者を増やそうとするのと同じように、eスポーツの設備を充実させることはIT分野で優秀な能力を持つ学生を集める呼び水になると考えているのです。

2014年、イリノイ州ロバートモリス大学がアメリカではじめてeスポーツを競技の一つとして認めました。日本で言えばサークル活動から正式な部活動への格上げというところでしょうが、興味深いの他の運動部と同じようにユニフォームが支給され、奨学金の対象になることです。eスポーツチームのメンバーは条件を満たせば授業料・寮費・食費の最大50%について奨学金を受けることができます。

500人の観客を収容できる最大のeスポーツアリーナ

現在、アメリカ最大のeスポーツ施設はフロリダ州のフルセイル大学にあります。施設面積は約1,000平方メートル、100人のプレイヤーが同時にプレイし、500人の観客がライブで観戦することができます。こうした施設はアメリカだけでなくヨーロッパの大学でも少しずつ設けられるようになってきています。大学がこのような施設に投資しているのは驚くべきことかもしれませんが、ゲームがすでに産業として巨大な市場規模を誇っていることを考えれば、無意味な投資とも言えません。

全世界で見た場合、映画の市場規模はおよそ4.5兆円(2017年)であるのに対し、ゲームコンテンツの市場規模は13兆円(2018年)と推定され、ゲームはすでに映画を大きく上回り急成長を続ける産業となっています。また市場拡大の原動力は新興国であり、グローバルな市場を相手とするようになってきてるのです。

もちろん、こうした動きはアメリカでも始まったばかりであり、eスポーツが競技として広く定着するまでにはかなりの時間がかかるでしょう。それでも、世界的なゲーム市場の拡大がけん引役となってeスポーツが普及し続けるのは間違いなさそうです。