教養

機械学習で段ボールを減らす Amazonにとって段ボール箱は重要なブランド戦略

ネット通販をよく利用する人にとって、Amazonのロゴが入った段ボール箱が部屋にいくつも放置されている風景はもはや日常的なものになっているかもしれません。一方で、商品を段ボールに入れて送り出しているAmazonにとって、段ボールはブランドイメージとして重要な位置を占めています。そのため、AmazonはAIを活用するなど様々な手段を講じて効率化や環境へのアピールを行っているのです。

”Amazonの段ボール箱デザインの中核は、その包装技術者が「マトリクス」と呼んでいるものである。それは、新しい製品についてのデータを絶え間なく取り入れる機械学習アルゴリズムで、壊れやすさ、重量、大きさを分析し、製品を入れて送るのに最適な段ボール箱を決定する。人が壊れたものを受け取り、それを報告するたびに、そのデータポイントはマトリックスに送られる。そして、あるティーセットが壊れた状態で到着していることが分かると、AmazonのAIは将来自動的に新しい箱をそれに割り当てる。”

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増大し続ける段ボールの需要

段ボールはイギリスで1850年代に発明されました。汗を吸収するために帽子の裏地に紙をプリーツ加工したものを入れたのが始まりです。やがてプリーツ加工した紙が高い強度を保つことが発見され、1870年代に入ると段ボールの大量生産が始まり、軽くて衝撃を吸収できる便利な包装材として世界に広がっていきました。段ボールの歴史は150年にも及ぶのです。日本では戦後に入ってから普及するようになりました。現在、日本の段ボール生産量は中国、アメリカに続いて世界第三位です。
とは言え、かつて段ボール箱は身近な存在ではあるものの日常生活では余り縁がなかったかもしれません。こうした中で近年はAmazonなどのネット通販が段ボールの需要を押し上げてきました。日本の段ボール生産量はリーマンショックのときに大きく落ち込んだのち、現在年1パーセント強のペースで増加し続けています。

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Amazonが行うディープラーニングによる段ボールの削減

ネット通販が急成長する一方で段ボールの需要も増大している。

ネット通販をよく利用する人にとってAmazonのロゴが入った段ボール箱はお馴染みの存在でしょう。昔で言えばみかんの空き箱のようなものかもしれませんが、最近はリビングルームの片隅に段ボール箱が置かれたままになっている風景が珍しくなくなっています(そして私の家では、それはネコの格好のおもちゃになっているのですが)。同時にAmazonにとっても段ボール箱は重要なブランド戦略の一つになっています。Amazonが取り組んでいるのは段ボール箱の効率化です。Amazonは2017年だけで3億5000万箱の段ボールを減らしました。また、リサイクルしやすくするために梱包用のビニールテープを紙製のテープに変更しています。こうした効率化は上の英文で書かれているマトリクスというコンピューターによるディープラーニングによって実現しているのです。

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フラストレーション・フリー・パッケージ

次にAmazonが取り組んでいるのは、フラストレーション・フリー・パッケージと呼ばれる簡易包装です。
例えば、店頭に並ぶSDカードを思い出してください。商品は買い物をする人の目にとまるように、本体の大きさに見合わないようなサイズのパッケージに包まれています。その上、その包装の大部分が透明なプラスチックで覆われていることにも気づくはずです。

これまでネット通販でSDカードを注文すれば、店頭向けのプラスチックのパッケージで包まれ体積の大きくなった商品を、さらに配送用の段ボールで包むという無駄の多い仕組みでした。そして、家に届けられた段ボール箱から商品を取り出す手間も無駄が多かったのです。

しかし、通販ならば店頭でディスプレイするための包装は不要なわけですから、リサイクル可能な紙をベースにした包装に置き換えても構いません。商品を取り出す手間も省け、ゴミを出す手間も省けるということでフラストレーション・フリーと呼んでいるのです。

ビニール袋にまつわる賛否両論

2018年になりAmazonは包装を簡略化するためにさらに進化した方法を採用することになりました。それは段ボール箱の代わりにビニール袋に商品を入れて送ることです。

ビニール袋による配送は長所と短所があるため、賛否両論を巻き起こしています。

その長所は、ビニール袋なら段ボール箱よりもさらに体積を減らすことができるため、輸送にかかるコストを抑えることができ、燃料の節約が環境にも良い影響を与えている点です。

一方で短所は、紙の代わりにビニールを使っている点です。ビニールもリサイクルに回すことは可能かもしれませんが、消費者はビニール袋をいちいちリサイクルに回すよりゴミ箱に入れてしまう可能性の方がはるかに高いだろうと予想されています。そしておそらくもっと問題なのは、ビニール(プラスチック)のリサイクルは実際はそれほど進んでおらず、大抵は埋め立てによって処理されているという事実です。

結局、環境に優しいのか優しくないのか、結論は出ていませんが、消費者にとっても興味深い議論でしょう。

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