【高校化学基礎】酸化と還元,酸化数の求め方

まずいくつかの形を覚えるところから始める。最初は酸化銅 $\text{CuO}$ から。

$2\text{Cu}+\text{O}_2\rightarrow2\text{CuO}$

このとき,銅 $\text{Cu}$ は酸素を受け取って酸化されたという。単に「酸化した」という言い方だと,その物質自身が酸化したのか相手を酸化させたのか分からないから,「酸化された」という言い方をすることになっている。

次に酸化銅を還元すると

$\text{CuO}+\text{H}_2\rightarrow\text{Cu}+\text{H}_2\text{O}$

このとき $\text{Cu}$ は O を失って還元された,$\text{H}_2$ は O を受け取って酸化された,という。

こうやって酸化と還元は必ず対になって同時に起こる。これを酸化還元反応という。

要するに酸素くっつけば酸化で,酸素離れたら還元ですよね。

初めはそうだったんだけど,その後いろいろ他のヤツも酸化と還元って言うことになった。

酸化された

酸素受け取る

水素失う

電子失う

これの反対が,還元された。

電子の受け渡しを基準とした酸化還元反応

何で水素失うが還元なんですか?

その前に電子の方から話した方がいい。さっきの酸化銅に戻るけど

$2\text{Cu}+\text{O}_2\rightarrow2\text{CuO}$

このとき酸化銅 $\text{CuO}$ の中では電子 2 個をやり取りしてる。電気陰性度の違いで $\text{Cu}$ が持ってた電子が $\text{O}$ に引き寄せられる。だから,$\text{Cu}$ は電子を失った,そしてこれを酸化された,と言うことになった。反対に $\text{O}$ は電子を受け取っていて,これを還元された,と言ってる。

分かりにくい。

そうでもない。$\text{O}$ がくっついて酸化されるとき $\text{O}$ に電子持っていかれるんだから,酸化される=電子失う,って覚えておけばよい。
ただ,電子の受け渡しは化学式では表面的には分かりにくい。だから,あとでやるけど酸化数という考え方がでてくる。

次に水素の話。過酸化水素 $\text{H}_2\text{O}_2$ の水溶液と硫化水素 $\text{H}_2\text{O}$ が反応すると水溶液が白濁して硫黄 $\text{S}$ の沈殿ができる。

$\text{H}_2\text{O}_2+\text{H}_2\text{S}\rightarrow2\text{H}_2\text{O}+\text{S}$

このとき $\text{H}_2\text{O}_2$ は $\text{O}$ を 1 個失って $\text{H}_2\text{O}$ になってるから還元されてるのが分かる。一方で,$\text{H}_2\text{S}$ は水素を失って $\text{S}$ になってるよね。こっちは還元の反対だから酸化になる。つまり,水素 $\text{H}$ を失うのを酸化された,と言うことになった。

何かムリヤリな感じ。

確かに。ただ,こう決めておくと次にやる酸化数を決めるときに基準として使えるから便利なの。水素は相手に電子を 1 個与える側になる。

酸化数の決め方

原子やイオンがどの程度酸化・還元されているかを示す数値が酸化数。また,酸化数が増加したときその原子は酸化された,減少したとき還元されたという。

(各元素の下の数値は酸化数を表す。)

単体中の原子の酸化数は 0

例:$\underset{0}{\underline{\text{H}_2}}$,$\underset{0}{\underline{\text{O}_2}}$,$\underset{0}{\underline{\text{Cl}_2}}$,$\underset{0}{\underline{\text{Fe}}}$

化合物中の水素元素 $\text{H}$ の酸化数は+1,酸素元素 $\text{O}$ の酸化数は-2

例:$\underset{+1}{\underline{\text{H}}_2}\underset{-2}{\underline{\text{O}}}$,$\underset{+4}{\underline{\text{C}}}\underset{-2}{\underline{\text{O}}_2}$

化合物中の $\text{Li}$,$\text{Na}$,$\text{K}$ などの1族金属元素は+1。$\text{Mg}$,$\text{Ca}$,$\text{Ba}$ などの2族金属元素は+2

電荷をもたない化合物では,酸化数の総和が 0 になる。ある原子の酸化数を $x$ とおいて方程式をつくる。

例1:$\text{K}\underline{\text{Mn}}\text{O}_4$

$\text{K}$ は1族金属元素だから+1。$\text{O}$ は-2で,これが 4 個ある。方程式を作ると

$+1+x+(-2)\times4=0$

$x=+7$

例2:$\text{KH}\underline{\text{C}}\text{O}_3$

$\text{H}$ は+1だから

$+1+1+x+(-2)\times3=0$

$x=+4$

例3:$\underline{\text{Fe}}\text{SO}_4$

$\text{SO}_4$ のときは注意が必要。イオンになると ${\text{SO}_4}^{2-}$ となるので,$\text{SO}_4$ を1つのかたまりとして酸化数-2とする。よって,$\text{Fe}$ の酸化数は+2。

例4:$\text{H}_2\underline{\text{O}}_2$

$+1\times2+2x=0$

$x=-1$

$\text{O}$ は-2ですよね?

酸化数はたまにこういう例外がある。過酸化水素 $\text{H}_2\text{O}_2$ は例外として覚える。

例5:$\text{Na}\underline{\text{H}}$

$\text{Na}$ は1族金属元素だから+1。よって,$\text{H}$ の酸化数は-1。これも例外として覚える。

単原子イオンの酸化数はイオンの電荷に等しい

例:$\underset{+1}{\underline{\text{H}}}^+$,$\underset{-1}{\underline{\text{Cl}}}^-$,$\underset{+2}{\underline{\text{Ca}}}^{+2}$

多原子イオンでは,酸化数の総和はイオンの電荷に等しい

例1:$\underline{\text{N}}{\text{H}_4}^+$

これは1価の陽イオンだから総和は 0 じゃなくて +1 とする。

$x+1\times4=1$

$x=-3$

例2:$\underline{\text{P}}{\text{O}_4}^{3-}$

$x+(-2)\times4=-3$

$x=+5$