【数A場合の数】最短経路の求め方 どうしてCを使うの?

右の図のように、道路が碁盤の目のようになった街がある。地点 A から地点 B までの長さが最短の道を行くとき、次の場合は何通りの道順があるか。(東北大)
(1) 地点 C を通る。
(2) 地点 P は通らない。
(3) 地点 P 、および地点 Q は通らない。


最短経路の問題として基本的なもの。ここで解き方マスターしてね。

Cを用いて場合の数を求める

まずは (1) から。

地点 C を通るので、経路としては A → C → B ということになります。まずは A → C と C → B に分けて考えましょう。

A → C の経路は、矢印で表すと →↑↑ 、↑→↑、↑↑→ の 3 通りがあります。

つまり、右に 1 回、上に 2 回移動すれば地点 C に到着するということ。

これを式で表すと $_3C_1$ となります。
なんで C 使うの?

→↑↑ 、↑→↑、↑↑→ は、言いかえれば → が何番目にくるか、ということです。→ が 1 番目のとき、2番目のとき、3番目のときがあります。

つまり、こう考えてみましょう。袋の中に $\boxed{1}$ ~ $\boxed{3}$ のカードが入っていて、そこから 1 枚のカードを引きます。そしてそれが → が何番目にくるかを表しているとします。

例えばカードを引いて $\boxed{2}$ が出たとすると、→ は 2 番目にくる。つまり、↑→↑ のことです。

3 つから 1 つを取る組み合わせなので $_3C_1$ になるということです。

$_3C_1=3$

次に C → B の経路を考えます。

C → B は →→→→↑↑↑↑ となります。

今度は、$\boxed{1}$ ~ $\boxed{8}$ のカードから、→ が何番目になるかを表したカードを 4 枚ひくと考えます。

例えば、8 枚のカードから 4 枚をひいて、$\boxed{1}$、$\boxed{2}$、$\boxed{5}$、$\boxed{7}$ だったとします。それは →→↑↑→↑→↑ ということになります。

8 枚のカードから 4 枚をひくと、$\boxed{2}$、$\boxed{4}$、$\boxed{6}$、$\boxed{8}$ とか $\boxed{1}$、$\boxed{3}$、$\boxed{6}$、$\boxed{7}$ とかいろんな組み合わせがでてくるんだけど、全部で何通りできる?

$_8C_4$ 通りです。

$\displaystyle _8C_4=\frac{8\cdot7\cdot6\cdot5}{4\cdot3\cdot2\cdot1}=70$

こうして、A → C は 3 通り、C → B は 70 通りなので

$3\times70=210$ 通り(答え)

余事象から考える

(2) に進みます。地点 P を通らないというのは、反対に考えて全ての経路から地点 P を通る場合をひくことで求められます。全ての経路を全事象と言います。

全事象は A → B の経路全てということなので、→→→→→↑↑↑↑↑↑ の組み合わせです。

上でやったように、これは 11 枚のカードから → が何番目にくるかを示したカードを 5 枚ひけばよいことになります。よって

$_{11}C_5=462$ 通り

また、P を通る組み合わせは A → P → B の経路です

でも P って中途半端な位置にありますよね。どうしたらいいんですか?

考え方としては上の図のような感じ。A → (P の左側) → P → (P の右側) → B と進めばよい。そして、(P の左側) → (P の右側) の部分は結局 1 通りしかなくて、計算しても $\times 1$ となるから無視してよい。

A → P
→→↑↑↑
$_5C_2=10$

P → B
→→↑↑↑
$_5C_2=10$

よって A → P → B の組み合わせは
$10\times10=100$
P を通らない場合は、(全事象)ー(Pを通る場合) だから
$462-100=362$ 通り(答え)

和集合の要素の個数を考える

(3) に進みます。

地点 P、および地点 Q を通らない場合というのは少し注意が必要です。

余事象で考えるのですが、全事象から地点 P かつ Q を通る場合をひけばよい、とはなりません。

どういうこと?

日本語の問題。「地点 P および Q を通らない」なら「P も Q も通らないとき」となるけど、「地点P 、および Q を通らない」は「P を通らないときと、Q を通らないとき」という解釈になる。「、」があるかないかで意味がまったく違う。

日本語難しすぎ!

場合の数と確率のところって日本語の解釈がややこしいときがあるね。でも、論理的思考力を鍛える上で役に立つから、日本語と格闘するの大事よ。

そして P の場合と Q の場合 を数えるとき、P かつ Q の部分が重なっています。P の場合+Q の場合 の計算をするとこの部分で 2 度数えてしまうことになるので、1 回分をひくことで帳尻合わせをします。

和集合の要素の個数
$$n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)$$

従って作る式は

全事象ー(Pを通る+Qを通るーPかつQを通る)

となります。

まず、P を通る場合は (2) で 100 通りであることが分かっています。

次に Q を通る場合の経路は A → Q → B です。

A → Q
→→→↑↑↑↑
$_7C_3=35$ 通り

Q → B
→↑↑
$_3C_1=3$ 通り

よって $35\times 3=105$ 通り

そして、P と Q の両方を通る場合を考えます。

経路は A → P → Q → B となります。

A → P
$_5C_2=10$ 通り

P → Q
(P の右側)→(Q の左側)なので $1$ 通り。

Q → B
$_3C_1=3$ 通り

よって $10\times 1\times 3=30$ 通り

これをまとめます。全事象は (2) で求めていて、$462$ 通りでした。

したがって
$462-(100+105-30)=287$ 通り(答え)