SNSにアップした思い出はある日消えるかもしれない インターネット情報の危うさと保存への試み
SNSサイトに自分の日常の出来事や写真をアップする-自分の大切な思い出をこうしたサイトに保存している人も多いのではないでしょうか。しかしこうしてアップされた情報は、予告なくある日突然消えてしまうかもしれません。
”2013年4月、AOLは全ての音楽サイトと長年に渡る何十人もの編集者と何百人もの寄稿者による共同作品を唐突に閉鎖した。それらはコンピューターエンジニアのブリュースター・ケールによって1990年代後半に設立されたサンフランシスコに拠点を置く非営利財団インターネット・アーカイブによって救われた一握りの記事を除いてほとんど残っていない。”
ネットに蓄積された情報が消える恐怖
膨大な情報が消失した事例は、上に紹介したAOLの音楽サイトだけではありません。
ミュージシャンが自分の楽曲や写真をアップロードしてファンと交流することができるMySpaceは、facebookが普及する前はアメリカで最も人気のあるSNSサイトでした。しかしMySpaceはアクセスの伸び悩みから他社に売却され、その後2018年に行われたサーバ移行の際に2003年~2015年のおよそ12年分のデータが消失したことが発表されました。これらのデータはおそらく二度と復活することはなく、消失した楽曲は5000万曲以上に上ると見られています。
またfacebookなどと似たような機能を持っていたグーグルプラスも2019年4月にサービスを終了しました。この記事を読んでいる皆さんの中にもfacebookに自分や家族の大切な思い出を保存している人が大勢いるのではないでしょうか。
もし、ある時あなたが長年使ってきたSNSが閉鎖し、その告知をたまたま見逃していたとしましょう。あなたはある日突然アクセスできなくなり、エラーの表示されたブラウザの画面を前に頭が真っ白になるかもしれません。あなたの思い出はまるで家族のアルバムが火事でみんな焼けてしまったときのように永久に消えてしまうのです。
データを保管する試み
各国の公立図書館は、長年に渡り個人的な情報の蓄積を担ってきました。そこには数百年も前に書かれた本や雑誌、新聞、手紙などが大切に保存されています。それらは貴重な歴史的資料として研究者の分析の対象とされてきました。
インターネットが普及し始めてから情報の蓄積が行われるようになるまで、しばらくの時間がかかりました。そのため、残念ながら初期のインターネットに流れていた情報は永久に損なわれてしまい、今となってはその情報のほとんどは見ることができません。
インターネットの情報を蓄積して公開している団体、インターネット・アーカイブが設立されたのは1996年です。この団体は現在でもネット上で日々更新される莫大な情報を収集し、蓄積し続けています。いずれこうして蓄積された情報が歴史の貴重な資料として活用される日が来るのかもしれません。
またイギリスの大英図書館はイギリスのドメインで発行された情報のすべてを定期的に保存しています。ただし、各サイトにつき500MBという制限があるようです。情報の保存・蓄積においてこれまで主要な役割を果たしてきた図書館もまたインターネット上の情報を同じように歴史的資料として蓄積するようになってきているのです。
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