f(t)が出てくる定積分の意味を考える 積分して微分するとaが消える不思議

f(t) の定積分で積分して微分したら a が消えるんです。意味が分かりません。
あー、これのこと?
$\displaystyle\frac{d}{dx}\int_a^x f(t)\enspace dt=f(x)$
それそれ!何で a 消えるの?

a が消える仕組み

f(t) だと分かりにくいから、たとえば $ f(t)=2t$ で考えてみよう。

$\displaystyle\int_a^x 2t\enspace dt=\left[ t^2\right]_a^x\\\displaystyle =x^2-a^2$

で、これを今度は $x$ で微分する。このとき注意しないといけないのは $x$ で微分するということは、この式を $x$ の関数として考えるということであって、$x$ 以外の文字はすべて定数として解釈するの。

なるほど、じゃあ $a$ は定数ってこと?

そういうこと。微分では定数項は消えるんだったよね。よって

式を $x$ で微分すると

$2x$

よって

$\displaystyle\frac{d}{dx}\int_a^x 2t\enspace dt=2x$

a が消えた!

つまりこういうことだよね。式を積分して微分したら元に戻るんだけど、微分するときに式を $x$ の関数として解釈するから $a$ で表される部分は定数項として消えて $x$ の部分だけ残る。

でも何でそんなことするの?

それを使って解ける問題があるからだよ。次にそれをやってみようか。

例題

次の等式を満たす関数 $f(x)$ と定数 $a$ の値を求めよ。
$\displaystyle\int_a^x f(t)\enspace dt=x^2-2x-8$

両辺を $x$ で微分すると

$f(x)=2x-2$ (答え)

ここから

$f(t)=2t-2$

与式に $x=a$ を代入すると

$\displaystyle\int_a^a f(t)\enspace dt=a^2-2a-8$
$\displaystyle 0=a^2-2a-8$
$(a+2)(a-4)=0$

$a=-2,4$ (答え)

 

もともと $t$ の関数だったけど、積分すると$t$ が $x$ と $a$ で表される式になって、それを今度は $x$ の関数としてみなすから、微分すると $a$ の部分は定数になって消えるという流れ。

やっと意味わかった!

微積の問題では関数が x の関数なのか t の関数なのか、とにかく「何についての関数?」ってのを常に意識してね。そしてそれ以外の文字は常に定数扱いするっていう原則を覚えていくと理解できるようになるから。

りょーかいです!