【数IA確率】5枚のコインを3つの箱に入れるときの確率(千葉大2019第9問)

コインが 5 枚ある。さいころを振って出た目によって,これらのコインを 1 枚ずつ 3 つの箱 A,B,C のいずれかに入れていく。出た目が 1 であればコインを 1 枚,箱 A に入れる。出た目が 2 か 3 であればコインを 1 枚,箱 B に入れる。出た目が 4 か 5 か 6 であればコインを 1 枚,箱 C に入れる。さいころを 5 回振ったとき,次の問いに答えよ。

(1) 箱 A と箱 B にコインがそれぞれちょうど 2 枚ずつ入っている確率を求めよ。

(2) A,B,C いずれの箱にもコインが 1 枚以上入っている確率を求めよ。

(3) 試行の後に箱 A を開けるとちょうど 2 枚のコインが入っていた。このとき箱 B にコインがちょうど 2 枚入っている確率を求めよ。

箱の組合せを考える

(1) 箱 A と箱 B にコインがそれぞれちょうど 2 枚ずつ入っている確率を求めよ。

箱 A と箱 B に 2 枚ずつコインが入る場合を考えると

AABBC

の組合せになります。5 つの文字の並べかたは 5! 通りありますが,重複している分を割る必要があります。

AABBC の並べ方は

$\cfrac{5!}{2!\cdot2!}$ 通り

よって,求める確率は

$\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{2}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{3}{6}\Big)^1\cdot\cfrac{5!}{2!\cdot2!}$
$=\cfrac{12}{6^5}\cdot\cfrac{2\cdot3\cdot4\cdot5}{2\cdot2}$
$=\cfrac{2}{6^4}\cdot2\cdot3\cdot5$
$=\cfrac{2}{6^3}\cdot5$
$=\cfrac{5}{108}$ (答え)

余事象を考える

(2) A,B,C いずれの箱にもコインが 1 枚以上入っている確率を求めよ。

余事象を考えていきます。

ここでの余事象は,A または B または C のいずれかが 0 枚である場合です。よって,A,B,C がそれぞれ 0 枚である事象を $P(A)$,$P(B)$,$P(C)$ として

$P(A\cup B\cup C)=P(A)+P(B)+P(C)-P(A\cap B)-P(B\cap C)-P(C\cap A)+P(A\cap B\cap C)$

を用いましょう。

$\def\arraystretch{1.5}\begin{array}{|c|c|}\hline\textsf{事象}&\textsf{さいころの目}\\\hline\textsf{Aが0枚}&2,3,4,5,6\\\hline\textsf{Bが0枚}&\textsf{1,4,5,6}\\\hline\textsf{Cが0枚}&\textsf{1,2,3}\\\hline\textsf{AとBが0枚}&\textsf{4,5,6}\\\hline\textsf{BとCが0枚}&\textsf{1}\\\hline\textsf{CとAが0枚}&\textsf{2,3}\\\hline\textsf{AとBとCが0枚}&\textsf{なし}\\\hline\end{array}$

たとえば,A と B が 0 枚になるのはコインが 5 枚すべて C に入る場合なので,さいころの目は 5 回とも 4,5,6 のいずれかです。また,A,B,C すべてが 0 枚になることはありません。よって $P(A\cap B\cap C)=0$ です。

$\Big(\cfrac{5}{6}\Big)^5+\Big(\cfrac{4}{6}\Big)^5+\Big(\cfrac{3}{6}\Big)^5-\Big(\cfrac{3}{6}\Big)^5-\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^5-\Big(\cfrac{2}{6}\Big)^5$
$=\cfrac{5^5+4^5-1-2^5}{6^5}$
$=\cfrac{3125+1024-1-32}{7776}$
$=\cfrac{343}{648}$

もとめる確率は

$1-\cfrac{343}{646}=\cfrac{305}{648}$ (答え)

条件付き確率

(3) 試行の後に箱 A を開けるとちょうど 2 枚のコインが入っていた。このとき箱 B にコインがちょうど 2 枚入っている確率を求めよ。

この問題は条件付き確率を求めるものです。

式は

$\cfrac{\textsf{Aが2枚かつBが2枚}}{\textsf{Aが2枚}}$

となります。

まず,A が 2 枚である確率を求めます。A の確率は $\cfrac{1}{6}$ で,残りは B か C だから確率は $\cfrac{5}{6}$ です。

$\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{5}{6}\Big)^3\cdot\cfrac{5!}{2!3!}$

(1)でやったけど,5 つのものを並べる方法は 5! 通りあるけど,A が 2 つで重複ありだから 2! で割るし,B か C も 3 つが重複だから 3! で割る。
ここ反復試行の確率でやったらダメですか?
${}_5\text{C}_2\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{5}{6}\Big)^3$
もちろん良い。答え同じ。

$=\cfrac{5^3\cdot2\cdot3\cdot4\cdot5}{6^5\cdot2\cdot2\cdot3}$
$=\cfrac{5^4}{3\cdot6^4}$

次に,A が 2 枚かつ B が 2 枚である確率を求めます。このとき残りの 1 枚が C になるので

$\Big(\cfrac{1}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{2}{6}\Big)^2\Big(\cfrac{3}{6}\Big)^1\cdot\cfrac{5!}{2!2!}$
$=\cfrac{2^2\cdot3\cdot2\cdot3\cdot4\cdot5}{6^5\cdot2\cdot2}$
$=\cfrac{10}{6^3}$

したがって条件付き確率は

$\cfrac{\space\cfrac{10}{6^3}\space}{\cfrac{5^4}{3\cdot6^4}}=\cfrac{\space\cfrac{10}{6^3}\times3\cdot6^4\space}{\cfrac{5^4}{3\cdot6^4}\times3\cdot6^4}$
$=\cfrac{3\cdot6\cdot10}{5^4}$
$=\cfrac{36}{125}$ (答え)