【数II】3 次関数と直線の共有点が 2 個になるとき(千葉大2020第2問)

kk を定数とし,f(x)=x3kxf(x)=x^3-kx とおく。曲線 C:y=f(x)C:y=f(x) 上に原点と異なる点 P(a,f(a))\text{P}(a,f(a)) をとる。点 P を通り曲線 CC とちょうど 2 点を共有する 2 つの直線のうち,傾きが大きい方を 1\ell_1,小さい方を 2\ell_2 とする。さらに,CC1\ell_1 の共有点のうち P と異なるものを Q1\text{Q}_1CC2\ell_2 の共有点のうち P と異なるものを Q2\text{Q}_2 とする。1\ell_1 および 2\ell_2 の方程式と,Q1\text{Q}_1 および Q2\text{Q}_2 の座標を求めよ。

接線を求める

グラフを描いてみると分かりますが,直線のうち 1 つは x=ax=a における接線です。ただし,これが 1\ell_1 なのか 2\ell_2 なのかはわからないので,あとで決めたいと思います。

微分して
f(x)=x3kxf(x)=x^3-kx
f(x)=3x2kf'(x)=3x^2-k

x=ax=a における接線の傾きは

f(a)=3a2kf'(a)=3a^2-k

これが,(a,a3ka)(a,a^3-ka) を通るので,接線の式は

直線の方程式

(x1,y1)(x_1,y_1)を通り,傾きが mm の直線の方程式は
yy1=m(xx1)y-y_1=m(x-x_1) つまり y=m(xx1)+y1y=m(x-x_1)+y_1

y=(3a2k)(xa)+a3kay=(3a^2-k)(x-a)+a^3-ka

式を整理していきましょう。

=(3a2k)x(3a2k)a+a3ka=(3a^2-k)x-(3a^2-k)a+a^3-ka
=(3a2k)x3a3+ka+a3+ka=(3a^2-k)x-3a^3+ka+a^3+ka
=(3a2k)x2a3=(3a^2-k)x-2a^3 ・・・①

これで直線の方程式が 1 つできました。

接点の x 座標を b とおく

もう一つの直線がうまく求められないです。
少しコツいるよね。

こういう場合,点 P を基準にして直線の式をつくろうとするとうまくいきません。

もう 1 の直線をよく見てみると,点 Q における接線になっていることが分かります。

そこで,点 Q の座標を (b,f(b))(b,f(b)) として直線の式を作ってみましょう。

x=bx=b における接線の傾きは

f(b)=3b2kf'(b)=3b^2-k

これが (b,b3kb)(b,b^3-kb) を通るので,直線の式は

y=(3b2k)(xb)+b3kby=(3b^2-k)(x-b)+b^3-kb
=(3b2k)x2b3=(3b^2-k)x-2b^3 ・・・②

これが (a,a3ka)(a,a^3-ka) を通るので,代入すると

a3ka=(3b2k)a2b3a^3-ka=(3b^2-k)a-2b^3
a3ka=3ab2ka2b3a^3-ka=3ab^2-ka-2b^3
2b33ab2+a3=02b^3-3ab^2+a^3=0

これを bb についての方程式とみなし,方程式を解いて bb を求めます。この方程式は b=ab=a とすると左辺が 0 になります。つまり式は bab-a で割り切れます。

組立除法を用いて因数分解しましょう。

23a0a3a2a2a2a32aa20\begin{matrix}2&-3a&0&a^3|\underline{a}\\&2a&-2a^2&-a^3\\\hline2&-a&-a^2&0\end{matrix}

(ba)(2b2aba2)=0(b-a)(2b^2-ab-a^2)=0

さらに 2b2aba22b^2-ab-a^2b=ab=a とすると 0 になるので,やはり bab-a で割り切れます。

2aa2a2aa22a0\begin{matrix}2&-a&-a^2|\underline{a}\\&2a&a^2\\\hline2&a&0\end{matrix}

(ba)2(2b+a)=0(b-a)^2(2b+a)=0

2b+a=02b+a=0 とすると
b=a2b=-\cfrac{a}{2}

方程式の解は b=a,a2b=a,-\cfrac{a}{2} となりますが,b=ab=a は点 P のことなので,b=a2b=-\cfrac{a}{2} を点 Q の xx 座標としましょう。

これを②に代入して

y=(3b2k)x2b3y=(3b^2-k)x-2b^3
={3(a2)2k}x2(a2)3=\Big\{3\cdot\Big(-\cfrac{a}{2}\Big)^2-k\Big\}x-2\Big(-\cfrac{a}{2}\Big)^3
=(34a2k)x+a34=\Big(\cfrac{3}{4}a^2-k\Big)x+\cfrac{a^3}{4} ・・・③

直線の決定

y=(3a2k)x2a3y=(3a^2-k)x-2a^3 ・・・①
y=(34a2k)x+a34y=\Big(\cfrac{3}{4}a^2-k\Big)x+\cfrac{a^3}{4} ・・・③

2 つの直線の式ができあがったので,傾きを比べて 1\ell_12\ell_2 を決めましょう。

aa がどんな値でも a2a^2 は正の数です。ということは

3a2>34a23a^2>\cfrac{3}{4}a^2
3a2k>34a2k3a^2-k>\cfrac{3}{4}a^2-k

が成り立ちます。よって,①の式が 1\ell_1,③の式が 2\ell_2 です。

1:y=(3a2k)x2a3\ell_1:y=(3a^2-k)x-2a^3
2:y=(34a2k)x+a34\ell_2:y=\Big(\cfrac{3}{4}a^2-k\Big)x+\cfrac{a^3}{4}
(答え)

共有点の座標を求める

あとは Q1\text{Q}_1Q2\text{Q}_2 の座標を求めましょう。

まずは Q1\text{Q}_1 から。

Q1\text{Q}_11\ell_1CC の交点だから,式を連立して

x3kx=(3a2k)x2a3x^3-kx=(3a^2-k)x-2a^3
x3kx(3a2k)x+2a3=0x^3-kx-(3a^2-k)x+2a^3=0
x3kx3a2x+kx+2a3=0x^3-kx-3a^2x+kx+2a^3=0
x33a2x+2a3=0x^3-3a^2x+2a^3=0

式を因数分解します。

ここも x=ax=a とすると左辺が 0 になるし,そもそも共有点の 1 つは x=ax=a なんだから,解の 1 つは x=ax=a であるとも考えられるよね。

103a22a3aaa22a31a2a20\begin{matrix}1&0&-3a^2&2a^3&|\underline{a}\\&a&a^2&-2a^3\\\hline1&a&-2a^2&0\end{matrix}

(xa)(x2+ax2a2)=0(x-a)(x^2+ax-2a^2)=0

x2+ax2a2=0x^2+ax-2a^2=0 とすると,同様に xax-a で割り切れるので

1a2a2aa2a212a0\begin{matrix}1&a&-2a^2&|\underline{a}\\&a&2a^2\\\hline1&2a&0\end{matrix}

(xa)2(x+2a)=0(x-a)^2(x+2a)=0

よって x=a,2ax=a,-2a

x=ax=a は点 P のことなので,Q1\text{Q}_1xx 座標は 2a-2a です。これを y=x3kxy=x^3-kx に代入して

y=(2a)3k(2a)y=(-2a)^3-k(-2a)
=8a3+2ka=-8a^3+2ka

したがって

Q1(2a,8a3+2ka)\text{Q}_1(-2a,-8a^3+2ka) (答え)

さらに Q2\text{Q}_2 の座標を求めましょう。

Q2\text{Q}_2xx 座標は上でいったん求めていて,x=a2x=-\cfrac{a}{2} でした。これを y=x3kxy=x^3-kx に代入して

y=(a2)3k(a2)y=\Big(-\cfrac{a}{2}\Big)^3-k\Big(-\cfrac{a}{2}\Big)
=a38+ka2=-\cfrac{a^3}{8}+\cfrac{ka}{2}

したがって

Q2(a2,a38+ka2)\text{Q}_2\Big(-\cfrac{a}{2},-\cfrac{a^3}{8}+\cfrac{ka}{2}\Big) (答え)